一般的に太陽光発電システムは、故障や不具合の発生が少なく、点検などのメンテナンスはあまり重要ではないと説明されることが多いようです。特にセールスマンの中には、購入後も面倒がないこと、点検などで追加費用がかからないことを強調するために、安易にこのような説明をする人がいます。けれども実際には、太陽光発電システムも故障/不具合を起こす場合があります。そしてやっかいなのは、故障/不具合が起こっていても気づきにくいため、問題の発覚を遅らせ、長期にわたって発電量が低下して、ずっと損をし続けてしまう恐れがあることです。
とはいえアフター・メンテナンスにきちんと対応してもらえる業者に設置してもらい、発電量の変化に注意し、数年に1回程度の定期点検を実施しておけば、大きな問題になることはありません。それほど大変なことでも、多額の費用がかかったりすることもでもないのですが、実際には、これらを実施せず、故障/不具合が放置されているケースも少なくないようです。
まずはソーラー・パネルの汚れによる影響と、定期的な清掃について。これについては、それほど神経質になる必要はないでしょう。ソーラー・パネルは傾斜をつけて設置されるため、ホコリや砂などが一時的にモジュールの表面に付着しても、雨が降るとほとんどは自然に洗い流されます。ただし鳥のフンなど、頑固に付着してしまった汚れは、雨ではうまく洗浄されないこともあります。こうした頑固な汚れでソーラー・パネルの一部に常態的に陰が入るようになると、陰の面積以上に発電量が低下してしまう場合があります(この問題の詳細は、別稿の「パネルに陰が入ったときの影響について教えてください」を参照)。パネルを簡単に目視できるときは、こうした汚れがないかどうか、ときどき確認するとよいでしょう。汚れを発見して、自分でも安全に掃除できるなら、掃除するとよいでしょう。しかし目視で確認できないとき、汚れを見つけても、掃除するには転落の危険を押して屋根に登る必要がある場合などは、安易に自分で対処したりせず、次に述べる定期的な点検で併せてチェックしてもらうようにしましょう。
ソーラー・パネルの故障実態については、別稿「ソーラー・パネルだって故障や不具合が起こります!」が詳しいのでそちらを参照してください。取り立てて多いということはありませんが、ソーラー・パネルも一定の割合で故障が起こることがわかります。
太陽光発電システムに故障や不具合が起こったらどうなるでしょうか。たとえばまったく発電しなくなれば、誰が見ても故障とわかります。しかしおそらく、ソーラー・パネルの故障/不具合で一番多いのは、パネルの一部が正しく機能せず、発電量が少し減ることです。半分とか、劇的に減ればわかるかもしれませんが、たとえば10%程度少ないくらいだと、なかなかわかりません。発電量は天気によって変わるので、それが天気のせいなのか、故障/不具合のせいなのか判断が難しいからです。
ソーラー・パネルは、一部が故障/不具合を起こしていても気づきにくい
太陽光発電システムは設置に数百万円かかる高価な買い物ではありますが、しっかり発電すれば10年前後で元がとれるといわれます。けれども故障や不具合を放置したり、知らずに使い続けたりすると、その間ずっと損をすることになります。太陽光発電システムの故障/不具合を早期発見するには、以下の点が大事です。
太陽光発電システムを設置したら、毎月の発電量を記録しましょう。季節によって発電量は変わりますから、故障/不具合をここから見つけるのは簡単とはいいませんが、記録を毎年続ければ、変化に気づきやすくなるはずです。また発電量を記録しておけば、設置工事業者やメーカーに故障の疑いがあることを連絡するときにも、データとして役立ちます。
専門家に定期的に検査してもらいましょう。設置工事業者やメーカーにもよりますが、最初の数年は無料で点検を受けられるはずです。また無料であることにこだわらず、多少の費用がかかっても、点検は実施すべきです。当面は余剰電力を高額で売電できますので、多少費用がかかっても、太陽光発電システムを健全な状態に保って、たくさん発電するほうが得策です。
もう1つ。点検は設置工事業者にお願いすることになると思いますが、残念ながらアフター・メンテナンスを十分に提供しない業者もあるようです。点検などで、業者とは10年、20年と付き合うことになるわけですから、できるだけ顔の見える、地域で実績のある設置工事業者に工事を依頼すべきです。設置費用の見積もりが安いことばかりに気をとられて、安かろう悪かろうの工事をする業者に設置を依頼してしまうと、何かあってもすんなり対応してくれなかったり、最悪の場合は会社がなくなって連絡できなくなったりすることもあります。工事業者選びの詳細は「設置工事業者選び10のポイント」を参照してください。
(2010/8/13 改定)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。