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よくある質問

余剰電力の高額買取のお金を、国民全員が負担しているというのは本当ですか?

本当です。この件に関して、主管する経済産業省は広報誌を作るなど努力はしていますが(→経済産業省の広報誌)、多くの一般消費者に理解が進んでいるかというと、決してそうとはいえません。ここで、負担の目的や金額、お金の使われ方についてまとめておきましょう。

ご存じのとおり、現在は地球温暖化問題がクローズアップされており、温暖化ガスであるCO2(二酸化炭素)を発生することなく電気を作れる太陽光発電はクリーンなエネルギー源として注目されています。日本の鳩山首相は、2009年末に開催された国連会議において、2020年までに、温暖化ガス排出を1990年比で25%削減すると発表しました。これは現時点(2010年1月時点)では正式な国際公約ではありませんが、それに準じるものとして諸外国に受け止められています。

さまざまな温暖化ガス排出削減の取り組みのうち、特に個人の住宅分野で最も期待されている削減策の1つが太陽光発電です。25%削減案に対する正式な設置目標数値は未公表ですが、麻生前首相時代に目標とされていた「2020年までに1990年比15%削減」のときには、530万戸の住宅に太陽光発電システムを設置する必要があるとされていました。人口1億数千万の国で、530万戸の住宅に設置するという話ですから、どれだけ多いか想像できるでしょう。ましてや鳩山政権の目標は、これより大幅に高い25%削減なのですから、必要設置数はさらに増えるはずです。

太陽光発電システムを設置するには、一般に200~300万円程度のお金がかかります。太陽光発電システムを設置すると、発電した電気を使えるようになるため、電力会社から買う電気の量が減ったり、余った電気(余剰電力→用語解説)を電力会社に売ったりできるため、結果として電気代が安くなったりします。つまり設置当初は多くのお金が必要ですが、その後は少しずつ、発電による電気代の削減で、設置費用を回収していけるわけです。

しかし、純粋に太陽光発電による創電分だけで設置費用が回収できるかというと、現在のレベル(設置コスト200~300万円)ではそう簡単ではありません。たとえ設置コストを回収できないとしても、地球環境にやさしいなら太陽光発電を始めよう、という人もいますが、大多数の消費者はそれでは固いサイフのひもを開けないでしょう。より多くの消費者に設置してもらうには、最低でも「ある程度の年月はかかるが、長い目でみれば設置コストは回収できる」、できれば「長い目で見たら利益が出る」という状態にする必要があります。このため、日本政府は2つの支援策を実施しています。

支援策1:設置時補助金

1つは、太陽光発電を設置するときに、国や都道府県、市区町村が支給している補助金です。国、都道府県、市区町村と、運がよければ3個所からそれぞれ補助金を受け取れます(都道府県や市区町村は、補助金を実施していない場合もあります)。2010年1月現在、国は太陽光発電システムの出力1kWあたり、7万円を補助しています(上限10kW未満)。平均的な住宅用の太陽光発電システムの容量は、3.5kW程度とされていますから、仮に3.5kWのシステムを設置するなら、7万円×3.5kW=24万5000円の補助金を国から受け取れます。平成22年度(2010年4月~2011年3月)についても、すでに予算が承認されており、同等の補助政策が継続されるものと考えられます。

実際の補助金支給は、いったん設置工事の支払いを終えてからになりますが、この設置時補助金により、実質的に設置に必要なコストがそれだけ下がるため、設置のハードルは低くなります。ここではだれもが受給できる国の補助金だけを説明しました。都道府県や市区町村の補助金も合わせて受給できる場合、3.5kWクラスでも100万円近い補助金を受け取れる場合もあります。

支援策2:余剰電力の高額買い取り

太陽光発電普及に向けた第2の支援策は、余剰電力の高額買取です。太陽光発電された電気は、まずは自分の家で使い、それでも余った電気は、余剰電力として電力会社に売電(→用語解説)できます。従来、このときの売電価格は通常の電気代(使用時に支払う電気代)と同等の24円/kWhで売っていましたが、2009年11月1日からは、この売電価格が2倍の48円/kWhになりました。つまり同じ量の電気を売っても、2009年11月1日以降は2倍の金額を受け取れるようになったわけです。この売電価格は向こう10年間有効です。つまりいま太陽光発電を開始すれば、10年後まで余剰電力を48円/kWhで売電できます。ただしこの売電価格は、太陽光発電をスタートした年度によって変わる可能性があります。太陽光発電システムの市況価格が値下がりした場合などは、売電価格も見直されて値下げされます。平成22年度については、前年度と同じ48円/kWhで売電できる予定です(→関連ニュース)。

支援策1のほうは、新規で太陽光発電システムを設置した人だけが支給対象ですが、この支援策2のほうは、すべての太陽光発電システム保有者が対象です。余剰電力をいままでよりも高く売れるようにすることで、太陽光発電システムの設置コスト回収を早めることが目的です。

支援策のお金の出所はどこか?

太陽光発電システムを設置する人からすれば、支援策は手厚いほどありがたいのはいうまでもありません。問題は、その支援策に使うお金がどこからくるのかということです。

まず、支援策1の国の補助金は、国の予算から割り当てられます。つまり、税金などで国が徴収したお金、いわゆる「国のサイフ」から出されるわけです。都道府県や市区町村が支給する設置時補助金も、主体が各自治体になるだけで、基本的なしくみは同じです。

支援策2のほうはどうでしょうか? 支援策2の余剰電力の高額買い取り分についても、支援策1と同じく、国の予算から割り当てられていると思っている人が多いようですが、それは間違いです。支援策2に必要なお金は、電気料金に加算される形で、電気の利用者が負担します。この負担金は太陽光サーチャージ(→用語解説)と呼ばれています。経済産業省の試算では、標準的な世帯あたりの負担額は、月額30~100円程度だとされています。

太陽光サーチャージ

つまり支援策2にかかるお金は、「国のサイフ」ではなく、「国民のサイフ」から直接的に集められます。CO2排出を伴う電気を使う国民全員が、CO2排出を伴わない電気を作ってくれている太陽光発電システムのオーナーを直接的に支援するということです。

「国のサイフ」にしたところで、そもそもは国民の税金ですから国民負担であることは変わらないのですが、太陽光サーチャージは国民が直接負担するということで、抵抗感を持つ人もいます。いずれにせよ問題なのは、国民が直接、間接に負担する支援策であるのに、その内容が国民に広く知られていないことでしょう。

太陽光発電システムを設置できるのは、戸建て住宅を自己所有している一部の人だけで、集合住宅に住んでいる人や、賃貸住宅に住んでいる人は、通常は太陽光発電システムを設置するのは不可能で、支援策の恩恵に浴することができません。このため一部の人だけが優遇される不公平な制度ではないかという声もあります。

余剰買取から全量買取への移行が検討中

もう1つ。政権与党である民主党は、現在、支援策1の導入時補助金を取りやめにして、その代わりに電力買取策を拡充するという方向で検討を進めています。具体的には、現在のような余剰電力だけでなく、太陽光発電された電力をすべて買い取る全量買取(→用語解説)に移行するというものです。余剰電力の買取では、たとえ太陽光発電していても、発電した分の電気をまるまる自分で使ってしまうと、余剰電力は生まれず、売電はできません。しかし全量買取になると、自分でどれだけ電気を使っていたとしても、太陽光発電した電気はすべて売電の対象になります(使用した電気の料金は通常どおりに支払います)。全量買取の売電価格は明らかになっていませんから、はっきりしたことはいえませんが、設置時補助金を終了する影響分もカバーするとなると、現在(48円/kWh)よりも高額で買い取ってもらえる可能性があります。

単なる制度の変更ととらえている人が多いようですが、財源という観点で、現在の太陽光サーチャージを単純に拡大するということなら、支援に必要なお金を「国のサイフ」から出すのをやめにして、「国民のサイフ」に一本化するということになります。ご存じのとおり、政府は国の財政圧縮を強化しています。この点「国民のサイフ」に一本化できれば、国の予算を割くことなく、CO2削減策を進められるというわけです。しかし当然ながら、その負担は電気料金に上乗せされ、私たち国民全員が直接的に負担することになります。

太陽光発電の普及に対する支援策の動向は、こうした背景を踏まえながら注目する必要があるでしょう。

(2010/2/3 更新)

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