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よくある質問

余剰電力の買取と全量買取は何が違うんですか?

太陽光発電システムを自宅に設置した人は、発電した電気を電力会社に売ってお金をもらうことができます。住宅での太陽光発電では、「余剰電力の買取制度」が採用されており、太陽光発電した電気から、自分の家で使った電気を引き算し、余った電気があればこれを売電できます。

この「余剰電力の買取制度」とは異なる買取方式として、「全量買取制」(→用語解説)があります。全量買取制は、自分で消費した電力とは無関係に、太陽光発電したすべての電力を売電できるという方式です。ただし、この全量買取制が適用されるのは、設置するソーラー・パネルの総出力が10kW以上のものだけです。具体的には、事業者が設置する太陽光発電所や、賃貸集合住宅の屋根、工場や学校の屋上にソーラー・パネルを設置する場合など、産業用途が前提となっています。日本の標準的な住宅の屋根に設置できるパネルの総出力は、せいぜい4~5kW程度といわれます。ですから基本的に、個人住宅にソーラー・パネルを設置する場合には、余剰電力の買取制しか使えないものと考えたほうがよいでしょう。

ただし例外的に、個人住宅であっても広い屋根があるときや、屋根だけでなくカーポートの屋根にもパネルを設置するなどして総出力を10kW以上にすれば、全量買取制度を利用できる(制度利用の条件を満たす)場合があります。買取期間が20年と長いので、全量買取のほうが有利に見えますが、全量買取の場合は設置時の補助金はありません。実際に自宅にどれくらいのパネルを搭載できるかは、設置工事業者に相談して見積もってもらう必要があるでしょう。

余剰電力と全量買取

買取制度の違い
ソーラー・パネルの総出力によって買取制度が異なる。一般的な個人住宅で10kW以上のパネルを設置することはできないので、通常、個人住宅では余剰電力の買取制度が適用される。買取期間と買取価格が異なる。

このように、一般的な個人住宅にソーラー・パネルを設置する場合は、制度の違いを意識する必要はありません。とはいえ、後で述べるように、住宅用も産業用も、電力買取に使われるお金は、私たちが電気代に上乗せして支払う賦課金です。つまりこれは、ソーラー・パネルを設置する、しないにかかわらず、国民全員に影響する問題なのです。ここでは、「余剰電力の買取制度」と「全量買取制度」がどう違うのか、賦課金に対する影響がどうなるのか、などについてまとめましょう。

しくみの違い

それでは、両制度のしくみの違いをもう少し詳しく見ていきます。まずは住宅向けの太陽光発電に適用される「余剰電力の買取制度」です。これを図にすると次のようになります。

余剰電力の買取制度

余剰電力の買取制度(住宅向け太陽光発電)
余剰電力の買取制度では、太陽光発電した電気から、使った電気をまず引いて、それで残った電気があれば売電する。

このように余剰電力の買取制度では、太陽光発電した電気から、まずは自分の家で使った電気を引き算して、余り(余剰電力)が出たときに売電できます。どれだけ発電しても、消費する電気の量が発電量と同じか、それよりも多ければ、余りは出ないので売電はできません。逆に家で使う電気を節約すればするほど、余剰電力を多く出してたくさん売電できることになります。このため、ユーザーの節電努力を促しやすい制度だといえます。

次は全量買取制度を見てみましょう。次の図のように全量買取制度では、余剰電力とは無関係に、太陽光発電したすべての電気を売電できます。

全量買取制度

全量買取制度(産業向け太陽光発電)
全量買取制度では、太陽光発電した電気のすべてを売電できる。消費した電気については、通常どおりに料金を支払う(買電する)。

このとき、自分で消費する電気については、通常どおり電力会社から必要な電気を買います(買電します)。たとえ太陽光発電した電気より多くの電気を消費して、余剰電力がなかったとしても、太陽光発電した全部の電気を売電できます。全量買取制度では、「余剰電力」という考え方自体がなくなるわけです。買電した電気料金は通常どおりに支払うので、電気代を節約したければ節電する必要がありますが、売電という観点では消費電力も余剰電力も無関係です。

ここで、実際の売電額やトータルの電気料金が両制度で具体的にどのようになるか、例をあげて紹介しましょう。家庭用と産業用では、発電する電気にせよ、使う電気にせよ、規模が違うと思いますが、ここでは普通の人がわかりやすいように、住宅レベルの水準で考えてみます。売電単価は、全量買取も余剰電力買取も、38円/kWh(2013年度の売電単価)だとしましょう。また買電単価は、住宅向け従量型契約の買電単価に近い26円/kWhだとして計算します。発電の想定としては、ある晴れた日に、3kWの電気を3時間にわたって太陽光発電する一方で、1kWの電気を3時間にわたって使っていたと仮定します。

売電額、光熱費のシミュレーション

売電額、光熱費のシミュレーション

まずは余剰電力買取制での売電に注目します。3kWの電気を3時間太陽光発電したので、全部では9kWhの電気を発電しました。消費電力のほうは、1kWを3時間ですから3kWhになります。従ってこの間の余剰電力は、9kWh-3kWh=6kWhになります。売電単価は38円/kWhですから、売電額は6kWh×38円/kWh=228円になります。この3時間で、228円の収入が発生しました。

次は全量買取制です。こちらは9kWhの発電すべてを売電できますから、売電額は9kWh×38円/kWh=342円になります。一方、3kWhを消費していますから、この分の電気料金は3kWh×26円=78円です。つまり売電で342円の収入が得られますが、78円の支出も発生するので、差引では342円-78円=264円の利益ということになります。余剰電力買取制の利益である228円と比較すると、約16%の収入アップです。

わかりやすくするために、ここでは具体的な数字で計算してみましたが、売電単価次第で結果は異なります。売電単価は年度ごとに見直されます。売電単価と買電単価の差が大きいほど、余剰電力買取制に比較した全量買取制のメリットは大きくなります。

全量買取制では総発電電力計が必要

最終的には、住宅向けは余剰電力の買取制、全量買取制が適用されるのは産業向けだけということになったのですが、制度設計の過程では、「住宅向けにもより設置メリットの大きい全量買取制を適用すべき」という議論もありました。住宅向けで余剰電力制の継続が決まった理由の1つは、「節電意識」でした。上で説明したとおり、余剰電力買取制では、自家消費する電力を減らすほど、売電できる電気が増えて、売電額が増えるので、より節電意識を促しやすいというわけです。

そしてもう1つ、住宅向けで全力買取制の導入が見送られた背景に、電力計の追加設置の問題がありました。予備知識として、少しだけ説明しておきましょう。

余剰電力買取制度では、特に理由がないかぎり、ソーラー・パネルを設置するときに、余剰電力計だけを追加設置します。この結果、もともとある買電計(電力会社から買った電気の量を計測するメーター)に並べて、余剰電力計が取り付けられます。たとえば次のような状態になります。

買電メーターと余剰電力メーター

買電メーター(左)と余剰電力メーター(右)

太陽光発電システムの設置では不可欠なパワーコンディショナ(→用語解説)には、通常、太陽光発電した電気の全量を計測する機能がありますが、計測の精度などは保証されておらず、また検針員も簡単に検針できません。そこで全量買取制に移行するには、さらに総発電電力計(→用語解説)を設置する必要があります(一部配線を変更して設置します)。すでに買電計と余剰電力計の2つを設置している場合は、さらにもう1つ総発電電力計が設置されて、メーターはトータルで3個になります。追加設置の費用は、ケース・バイ・ケースですが、工事費も入れて5万円程度といわれています。

途中で全量買取制に移行するとなると、それ以前にソーラー・パネルを設置してしまった人は、総発電電力計を追加設置しなければならず、その費用をだれが負担するのかという問題が発生します。余剰電力買取制を継続すれば、この問題が起こらないという事情もあったわけです。

電力買取のお金は、再エネ賦課金で全国民が負担

太陽光発電の買取制度というと、ソーラー・パネルを設置した人だけに関係することと思いがちですが、買取りに使われるお金の原資には、賦課金として、電気の使用量に応じて、電気料金に加算して全国民から徴収したお金が使われます。つまり太陽光発電する人はもちろん、しない人も買取の資金を支払っているわけです。全量買取制が始まるまでは、太陽光発電だけが買取対象だったので、この賦課金は「太陽光サーチャージ(→用語解説)」と呼ばれていたのですが、全量買取制度では、太陽光発電だけでなく、風力発電や地熱発電などの再生可能エネルギー由来の電気が幅広く買取対象となったため、名称が「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と変わりました。省略して「再エネ賦課金」と呼ばれています。これからは比較的小容量の住宅向け太陽光発電だけでなく、大規模な太陽光発電所なども買取対象になります。国産エネルギーの確保は国民全体の問題とはいえ、電気料金の値上がり負担がどれくらいになるのか、生活者としては気になるところです。

(2013/09/24 更新)

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