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よくある質問

余剰電力があっても売電できない場合があると聞きました。どんな場合でしょうか?

条件によっては、そういう状態が発生する場合があります。またまれですが、地域の電力事情によっては、そういう状態が継続的に発生するケースもあるようです。

たいていの場合はほとんど起こらないか、起こったとしても一時的なものなので、あまり深刻にとらえる必要はありませんが、知識として知っておく必要はあるでしょう。また太陽光発電システムを設置したが、思ったように売電ができないというような場合には、この問題を疑ってみる必要があります。

ここではなぜそのようなことが起こるのかを知るために、電力会社が供給している電気がどのようになっているかを簡単に説明しましょう。

住宅に供給されている電力は100Vピッタリとは限らない

ご承知のように、日本の家庭向けには、100Vの交流電力が供給されています。普段の生活ではあまり意識する必要はありませんが、電気製品のコンセントとか、取り扱い説明書などをよく見ると、「100V」という表記を見つけられるでしょう(海外では、100V以外の国もあります)。つまり、外の電力会社の電線から、家に引き込まれてくる電線には、100Vの交流が流れています。

Vは「ボルト」と読みます。これは電圧を表す単位で、簡単にいえば電気を流すための圧力のようなものです。水の流れにたとえるとわかりやすいでしょう。水は高いところから低いところに流れます。これと同じように、電気は電圧の高いところから、電圧の低いところに流れる性質を持っています。水圧が大きければ大きいほど、流れる水の勢いが強くなるように、電圧が高ければ、それだけ電気を流す力も強くなります。

もう少し、水の流れにたとえて考えます。家のキッチンで水道を使っているときに、洗面台や風呂場で水を使うと、それぞれの水の流量は、ほかを使っていないときに比べると出方が悪くなります。これは、複数の個所で水を流したために水圧が低くなるからです。

電気でもこれと同じようなことが起こります。いまのは水道の話で、同じ水道管を共有している1軒の家の蛇口に限った話でしたが、電力会社の電線を共有しているという意味では、地域レベルで同じようなことが起こる可能性があります。

たとえば、大量の電気を使う工場が隣接した地域で、同じ電力系統を住宅でも共有した地域があったとしましょう。電線の電圧はほぼ一定に保たれていますが、朝、工場が一斉に稼働して、大量の電気を一斉に使い始めると、一時的に電線の電圧が下がります。

工場が一斉に大量の電気を使い始めると電線の電圧が下がる

電力会社は、できるだけ100Vの電力を安定的に供給する努力をしています。しかしこのようなケースもあるので、実際には100Vよりもすこし高い電圧の電気を供給していることが多いようです。また電気製品も、「100V対応」とうたっていても、多少電圧が下がったくらいでは誤動作したりしないように設計されています。ですから上のような理由で瞬間的に電圧が下がったとしても、ほとんど問題は起こりません。

さて、先ほど稼働していた工場が終業時間をむかえ、一斉に設備を停止したらどうなるでしょうか。いままで流れていた大量の電気が一気に止まるわけですから、電線の電圧は一時的に上がります。キッチンと洗面台で水を出しているときに、洗面台だけ止めると、キッチンの水量が増えますね。原理的にはこれと同じようなことです。

工場が電気を使わなくなると、電線の電圧が上がる

このように、電力会社は100Vの電気を供給する努力をしていますが、実際には、電気がどのように使われるかによって、電圧は97Vだったり、103Vだったりと、下がったり上がったりしているのです。電力会社の供給電力品質を規定した法律では、「101Vの上下6Vを超えない値を維持すべき」とされています。つまり「95V~107Vの間にあればよい」ということです。しかもこの値の算出には、「30分移動平均」(30分間の平均値がこの範囲にあればよい)という方法を使うので、瞬間的には92Vになったり、110Vになったりすることもありえます。

少々込み入ってきましたが、電力会社から供給される電気の電圧は、きっちり100Vが常に維持されているわけではなく、一定幅の範囲で変化している、目安は「95V~107Vの間」だが、瞬間的にはこれよりも低くなったり、高くなったりすることもある、ということです。

余剰電力が売電できないケースとは?

それでは本題である「余剰電力が売電できない場合」に話を進めましょう。

通常の買電では、電力会社の電線から電気を住宅内に流し込んで使うわけですが、売電は、これとは逆に、住宅から電線に電気を流し込みます。ここで「電気は電圧の高い方から低い方に流れる」という性質を思い出してください。余剰電力が発生して、外の電線に電気を流すためには、住宅側の電圧が電線の電圧よりも高くなければなりません。このため太陽光発電システムのパワーコンディショナ(→用語解説)の出力電圧は、100Vよりも高く、通常は107V程度になっています。電線側の電圧がこれよりも低ければ、問題なく余剰電力は外の電線に流れ、売電ができます(このときに流れた電気の量が売電メーターに記録されます)。

通常の場合
パワーコンディショナの出力電圧は100Vよりも高く設定してあり、通常は問題なく売電ができる。

繰り返しになりますが、普通はこのような状態になるので、問題なく売電できます。しかし最初に説明したように、電線の電圧は必ずしも一定ではなく変化しています。仮に何らかの理由から、電線の電圧が108Vだったときには、パワーコンディショナの出力電圧(この例では107V)よりも高くなってしまうため、電気が流れません。つまり余剰電力があったとしても、売電できなくなってしまうわけです。実際には、パワーコンディショナがこのような状態(外の電線の電圧が高い状態)を検出すると、出力を抑制する(電気を流さないようにする)ようになっています。このような制御は「出力抑制」とか「電圧上昇抑制」と呼ばれています。

電力会社の電線が一時的に高電圧になった場合
パワーコンディショナの出力電圧(この例では107V)よりも外の電線の電圧(この例では108V)が高いと、余剰電力があっても電線へ電気が流れない。

通常は起こってもごく一時的。心配なら相談を

いま、余剰電力があっても売電できないケースを見ました。しかしこのような状態が継続的に発生することは、普通はありません。発生したとしても一時的なもので、電線の電圧が下がれば通常どおりに売電できるようになります。厳密にいえば、売電できなかった分は損になりますが、普通は気づかないし、損といっても問題になる規模ではないでしょう。

ただし、ごくまれなケースでは、常態的に電力会社からの供給電圧が高かったり、高電圧の瞬間が多発したりする場合もあるようです。また、現在のレベルではあまり問題になりませんが、周囲の多数の家が太陽光発電システムを設置して、天気のよい昼間に一斉に余剰電力を出そうとすると、電線の電圧が上がって出力抑制がかかる可能性はあります。

困ったことに、この問題は起こっていてもわかりにくいのと、仮に問題があっても自分だけでは解決できません。太陽光発電システムを設置して、快晴の日に節電努力もしていて、さぞ売電できているかと思って発電モニタを見ても売電していなかったことがあるとか、設置当初のシミュレーションと比較すると、あまりに売電量が少ないなどの場合には、この問題を疑ってみる価値はあるでしょう。

なお最近のパワーコンデョショナの中には、出力抑制が発生したことを記録して利用者に報告するものがあります。このようなパワーコンデョショナを使っているときには、機器が表示するエラーメッセージなどに注意するようにしましょう。

今回の問題が発生している疑いがある場合には、設置工事業者の担当者や、電力会社に連絡して相談し、対策を依頼しましょう。

(2012/12/10 更新)

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