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教えて!太陽光発電

第3時限目 どんな屋根でも発電するの? その1

光(ひかり)博士:
本業は太陽光発電システムの研究だが、世の中に太陽光発電を普及させるために、初心者を対象とした太陽光発電の教室を開いている。

緑(みどり)ソーラー(ソーラーママ):
一男一女を持つ専業主婦。クリーンで家計も助かると聞き、太陽光発電に興味津々。わからないことだらけなので、光博士の教室に勉強しにやってきた。

太陽光発電に必要な機材、買電に売電と、太陽光発電の基本はだいぶわかってきたソーラーママ。3時限目となる今回、そして次回4時限目のテーマは、普段はあまり考えたこともない「家の屋根」。屋根と太陽光発電。関係があるのはわかるけど、何がどう影響するのかしら?

博士、こんにちは! だいぶわかってきて、勉強するのが楽しくなってきました。さあさあ、今日の授業は何ですか?

こりゃまたずいぶん積極的じゃのう。よしよし。それじゃあさっそく3時限目を始めよう。

あなたの家の屋根、どんな形?

今回と次回は、2回にわたって家の屋根について考えてみるぞ。

屋根ですか。太陽光発電モジュールは屋根に載せるんですもんね。

そうじゃ。まずはソーラーさんに質問。ソーラーさんの家の屋根は、どんな形をしているか、知っているかな?

屋根の形ですか……。どんな形っていわれても…。博士、だいたい、屋根ってそんなに種類がありましたっけ?

まあ普通はそんなもんじゃろうな。普段、家の屋根なんて気にする必要はないからのう。じゃが、太陽光発電するには屋根の形と大きさ、そして方角はたいへん重要なんじゃ。場合によっては、太陽光発電システムの設置が推奨できない家もある。

えっ? 太陽光発電が難しい家があるんですか。

そうじゃ。今回と次回はそれを教えるから、しっかり勉強するんじゃぞ。

はいっ、博士!

太陽の角度とエネルギー

まず最初は、太陽から降り注ぐ光と太陽光発電モジュールの角度、エネルギーの関係について知っておこう。

はあ? 光の角度とエネルギー、ですか…。

そう。この関係を図にしてみた。ここでいいたいのは、「太陽の光が太陽光発電モジュールに直角に当たるとき、エネルギーは最大になる」ということじゃ。

太陽光発電モジュールと太陽光の角度

ああ、何となくわかりますよ、博士。早朝とか夕方とか、太陽が傾いているときより、昼間、太陽が真上にあるときのほうが暑いですものね。

そうそう、そのとおり。これは直感的にわかるのう。さて、では次の図をご覧あれ。

太陽の軌道と季節での変化

あー、小学校のときに勉強しましたよ、これ。季節と太陽の軌道の関係ですね。

そうじゃな。太陽は図の点線の軌道に従って東から登って西に沈むんじゃ。太陽の軌道は季節によっても変化する。夏は昼の時間が長く、太陽の位置が高い。逆に冬は昼の時間が短く、太陽の位置が低いんじゃな。

ところで、これは太陽光発電とどう関係するんですか?

さっき、太陽光発電モジュールに太陽光が直角にあるのが一番エネルギーが大きいと教えたな。

はい。それはわかりました。

しかし太陽というのは、ゆっくりじゃが常に動いておる。じゃからモジュールの方が動かないとすると、太陽光発電モジュールと太陽光の角度も常に変化するということじゃ。

あっ、そうか。それじゃあ、モジュールをちょっとずつ動かして、いつも太陽のほうを向くようにすればいいんですね。

そうすれば、常に最大の太陽光のエネルギーをモジュールで受けられるな。実際、モジュールが動くようにして、センサーで常に太陽のほうを向くようにした設備もあることはある。じゃがそれは発電所などの特別な施設で使うもので、住宅用としてはお金がかかりすぎる。住宅用のモジュールは、普通は屋根に固定するものじゃ。

そうですか……。

じゃから、太陽が昇って沈むまでの間をトータルして、最も多くのエネルギーを受けられるように、どの方角に、どれくらいの角度(設置角度)でモジュールを設置するかということが重要になる。向きが悪いと、光のエネルギーを十分に受けられないから、あまりたくさん発電できないぞ。

それは困りますね。

1年を通して日射量が一番多いのは真南、設置角度30度くらい

細かくいうと緯度で違ってくるから、例えば北海道と沖縄では違うんじゃが、だいたい東京のあたりなら、真南に向けて、水平から30度くらいの角度で太陽光発電モジュールを設置するのが一番よいとされておる。

ふむふむ。それじゃあ発電モジュールは全部真南に向けて、水平から30度で設置すればいいんですね!

うむ。ただそれはそうなんじゃが、全部の家でそれができるわけじゃない。普通、家の屋根はいくつかの面があって、それぞれ別の方向を向いておるからのう。

そうかあ。簡単にはいかないんですね。じゃあ、南側以外の面には発電モジュールは付けられないんですか?

そんなことはないぞ。ある調査によれば、南東や南西なら、日照量は真南から比べて5%くらいの低下、真東や真西なら10~15%くらいの低下だという。ちなみに、真東や真西の場合は、水平にモジュールを設置するのが一番多くのエネルギーを受けられるそうじゃ。とはいえ、普通屋根には角度がついているから、水平に設置できるとは限らんがの。さて、次のグラフは、水平から30度でモジュールを設置したとして、方角によって受けられる光のエネルギーがどれくらい変わるか、年間の平均日射量を真南を100%として比較したものじゃ。

方角と年間平均日射量の違い
水平から30度でモジュールを設置した場合の年間平均日射量を真南を100%として比較した結果。グラフは東京の場合。
(NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)提供のツールを利用して算出)

グラフが長いほど、年間をとおした日射量が大きいということですね。やっぱり、北側はだいぶ少ないなぁ。北面にはモジュールは置けないんですか?

だめということはないが、真北だと真南から比べて大幅に受けられる日射量が減ってしまう。発電はできるにはできるが、投資に見合う発電量はなかなか見込めないから、普通は北側には設置しないんじゃ。

そうですか。日当たりが大事なのは、お洗濯ばかりじゃないんですね。

そうじゃな。さて、これで、屋根と太陽光発電の関係を考えるための下準備は完了じゃ。今日はこのへんにして、この先は次回にしよう。

あれあれ、まだ下準備でしたか…。

そう。ここから先は具体的な屋根の形とか、方角と太陽光発電の関係について説明することになるが、けっこう説明せにゃならんことが多いんじゃよ。

はぁ、そうなんですか。

最初にいったとおり、実際には、屋根の形や大きさ、方角などが太陽光発電向きではなくて、設置しても十分な発電ができない住宅はけっこうあるんじゃよ。

それはちょっと心配ですね。うちは大丈夫かしら……。

特に土地の狭い都心部の住宅では、狭い土地を工夫して、できるだけ広い居住空間を確保するとか、デザイン的に凝った作りにした家が多い。じゃがこうしたデザインの前提として、太陽光発電というのはあまり念頭には入っていない。今日教えたように、できるだけ南側に広い面積があるほど有利なんじゃが、実際にはそうでない家がたくさんあるんじゃよ。次回は具体的に、そのあたりを教えようと思っておる。

いよいよ大事なところですね。次回が楽しみです。それじゃあ博士、また次回、よろしくお願いします!

(2009/8/28公開)

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