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教えて!太陽光発電

第11時限目 太陽光サーチャージ、何で私が払う必要があるの!?(後編)

光(ひかり)博士:
本業は太陽光発電システムの研究だが、世の中に太陽光発電を普及させるために、初心者を対象とした太陽光発電の教室を開いている。

緑(みどり)ソーラー(ソーラーママ):
一男一女を持つ専業主婦。クリーンで家計も助かると聞き、太陽光発電に興味津々。わからないことだらけなので、光博士の教室に勉強しにやってきた。

前編のあらすじ前編はこちらから。

太陽光サーチャージは、太陽光発電しない人が太陽光発電している人を一方的に助けるものだと勘違いして激怒したソーラーさん。けれど博士の説明を聞き、太陽光発電している人も負担するし、太陽光発電が増えて国内のエネルギー自給率が少しでも上がれば、国民全員の利益になることがわかりました。この後編では、太陽光サーチャージが私たちにもたらすメリットについて、さらに説明を進めます。

太陽光発電を爆発的に普及させるには

太陽光発電がどんどん普及すれば、純国産のエネルギー源が増えて、CO2を排出しないクリーンなエネルギーをたくさん作れるようになるんですね。

うむ。じゃがいま、太陽光発電システムを住宅に設置しようとすると、200~300万円の費用が必要じゃ。そう簡単に普及するものではないな。

そうなんですよねー。太陽光発電がいいってわかっても、なかなかそれだけまとまったお金を使うとなると考えちゃいます。

そうじゃな。日本のためにも、環境のためにもいいといわれても、だから200万円出しなさいといわれても、おいそれとは出せんじゃろう。じゃあ、どうすればよいかな、ソーラーさん?

そうですねぇー、もっともっと安くなれば一番いいんでしょうけど…。それが難しいなら、大儲けできる必要はないけど、せめて買っても損じゃないって思わせてほしいですよね。

うーむ、相変わらずお金のこととなると鋭い! そのとおりじゃな。それがいまある補助金と、余剰電力の高額買い取り策というわけじゃ。

うーん、どういうことでしょう?

それじゃあ次のグラフを見てみよう。これは太陽光発電システムを設置して、以後の発電で最初の設置費用を毎年少しずつ回収する様子を示したものじゃ。

太陽光発電システムの購入と、発電による購入費用の回収

太陽光発電システムの購入と、発電による購入費用の回収

えーと、ああ、一番左にある赤い縦棒が最初の設置費用で、その右隣の青いのが補助金ですね……。

そう、後は太陽光発電で、電気代の支払いが少し減るのと、売電収入で少しずつ当初の設置資金を回収していくというわけじゃな。

ふむふむ。それで2年、3年と進んで、「x年目」ってのは何ですか?

「x」というのは、何年目になるかわからないという意味じゃ。じゃがこのx年目に初期費用を回収して、そこから先は利益になるというわけじゃな。問題は、この「x年」が実際に何年目になるかということじゃ。

もちろんx年までの期間は短いほどいいわけですよね。

そうじゃ。ソーラー・パネルはきちんと点検やメンテナンスをすれば、20年程度は使えるといわれておるが、このx年は太陽光発電システムの寿命より短くないと意味がないのぅ。

そりゃそうですよね。

このグラフを見ればわかるとおり、「x年目」を短くするために、補助金と余剰電力の高額買い取り策があるのじゃ。まず補助金で初期費用を少し回収する。そして余剰電力の買取価格を高めにすることで、その後毎年回収できる金額を増やすということじゃ。

なーるほど。

ケースにもよるんじゃが、試算では、現在の条件で10~15年くらいで初期費用を回収できるとされておる。つまり「x年」は10年から15年くらいということじゃ。

ソーラー・パネルが20年もつというのが本当なら、15年でも利益が出せますね。

きちんとした点検やメンテナンスをすれば、大丈夫だと思うぞ。

15年で初期費用を回収できれば、そこから先は利益を増やせるってわけですね。ちょっと時間はかかるけど、ちゃんと使えば元をとって利益も出せるんですね。

そうじゃ。そして大切なこととして、太陽光発電システムが普及すると、大量生産できるようになって製造コストが下がり、価格が安くなる。価格が安くなると、買う人が増えて普及が広がるという好循環をもたらすんじゃ。

普及とコスト削減による価格低下の好循環

普及とコスト削減による価格低下の好循環

ああわかります。パソコンだって最初は高かったのに、最近は5万円も出すと立派なノートパソコンが買えますものね。でも近いうちに値段が安くなるんだったら、あわてて買わないで安くなるのを待ったほうがいいんじゃないですか?

まあ安くなるといっても少しずつじゃし、何より、補助金にせよ、買取価格にせよ、そのときどきの太陽光発電システムの価格水準をにらみながら、値段が下がれば補助のほうもそれに合わせて下げるといっているから、待つのが得というわけでもないじゃろうな。

ふうん、そうですか。

太陽光発電システムで景気対策

でもやっぱり、太陽光発電システムをつける人が得をするんじゃないですか? たとえばマンション住まいの人とか、設置したくてもできない人だっているというのに。

そうじゃな。ただその意味でもう1つ考えてほしいことがある。それは太陽光発電システムの設置拡大による景気対策という側面じゃ。

景気対策? 無理やり違う話を持ち出さないでくださいよ。

いやいや、そんなことはないぞ。ソーラーさんも知ってのとおり、いまは景気低迷で国内企業はどこもたいへんじゃ。

私だって毎日、新聞くらい読んでいますから、それくらい知っていますよ。でもそれと太陽光発電と何の関係があるっていうんですか。

太陽光発電システムの設置には200~300万円くらいかかるという話はしたな。

ええ。そんなに高いから、うちも簡単には買えないんですから。

まあまあ、そう怒らずに。J-PEC(→用語解説)さんが毎月の国の補助金の申請件数を発表しとるんじゃが(→関連ページ)、これを見ると、2010年は月に1万5000件の申し込みが入っておる。仮に300万円で1万5000件なら、450億円のお金が動いていることになるのう。

よ、よんひゃくごじゅうおくえん!

太陽光発電システムの設置では、そのうちの半分くらいが太陽光発電システムの製造メーカーにわたり、残る半分が設置工事業者にわたるとされておる。

ふうん。

裾野の広い太陽光発電産業

裾野の広い太陽光発電産業

メーカー経由で関連する製造業各社にお金がまわる。また地域によって違いはあるじゃろうが、太陽光発電の設置工事は全国で行われているから、設置工事では全国の業者にお金が回るわけじゃな。

なーるほどねぇ。

長い目で見れば利益になると考えて太陽光発電システムを設置するわけじゃが、必ず元を取れると保証されているわけではない。ひょっとしたら元をとる前に壊れてしまうかもしれんからのぅ。

そうですね。

じゃから見方によっては、太陽光発電システムを設置した人は、元がとれるかどうかわからないリスクをとって、虎の子の数百万円を支払って、景気対策に一役かっていると考えることもできるんじゃな。

ああそうかー。そう考えれば国民全員の利益になっているというのも一理ありますかね。

ほっ。やっとソーラーさんもわかってくれたか。

ええ。最初聞いたときは腹が立って腹が立ってどうしようかと思いましたけど、やっと納得できました。ありがとうございます!

そりゃよかった。

博士、それじゃ夕食の支度があるんで、また今度! さようならー。

やれやれ、嵐のような人じゃのぅ、ソーラーさんは…。

(2010/11/17 公開)



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