経済産業省は、7月24日、太陽光発電による余剰電力の倍額買い取り案(素案)を公表しました。これは、住宅向け太陽光発電システムの普及促進を目的とする政策で、経済産業省資源エネルギー庁の買取制度小委員会で検討されているものです。これにより、太陽光発電システムへの初期投資(平均で185万円~225万円程度)の回収期間が短縮され、10~15年程度で投資を回収できるようになると経済産業省は試算しています。
太陽光発電で発生した余剰電力は電力会社に売電しますが、現在、この際の価格は電気代(買電価格)と同額になっています。電力会社や契約内容にもよりますが、住宅向けの平均金額は24円/kWh程度とされています(下の図の左側)。これに対し現在検討されている新しい制度(図の右側)では、売電価格が2倍の48円/kWhになります。これにより太陽光発電システム・ユーザーは、太陽光発電により、余剰電力を高い価格で売れることになり、導入初期にかかる設置費用の回収期間を短縮できるわけです。
経済産業省が公表した素案によれば、この倍額買い取りの実施期間は10年間です。また家庭用燃料電池(エコウィル)などを太陽光発電システムと併用している場合には、買い取り価格は39円/kWhになるとしています。
倍額買い取りに必要となる資金は、国民全員で負担することになっており、具体的には、全国民の電気代に負担が上乗せされる予定です。経済産業省の試算では、キロワット時あたりの負担増は約0.1円程度、標準的な世帯の月額負担増は30円から100円程度とされます。
できるだけ売電額を増やすには、昼間の太陽光発電中にできるだけ電気を使わず、余剰電力を増やすことです。電気製品の使い方を工夫したり、昼間のエアコン稼動を押さえたりと、太陽光発電が新しいライフスタイルをもたらすかもしれません。
(2009/7/24公開)