太陽光発電システムのカタログや、関連するWebサイトの情報などを見ていると、「kW」(キロワット)という単位の表記と、「kWh」(キロワット・アワー)という単位の表記の2種類があることに気づきます。最後に「h」があるかないかの違いなのですが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、太陽光発電システムの発電モニタでこれら両方の単位が使われているところを確かめてみましょう。
まずは「kW」から。こちらは、現在太陽光発電で作っている電気(上)と、家で使っている電気(真ん中)、これらの差引で売電している電気(下)を表示しているところです。
次に「kWh」の例です。こちらは、今日1日に発電した電気(左)と家で使った電気(真ん中)、これらの差引で売電した電気(右)を表示しています。
どちらも似たような値を表示しているのに、「kW」と「kWh」と単位が違うのはなぜでしょうか? 上の説明では、「電気」とあいまいに表記したのですが、実はこれらは「電力」(kWのほう)と「電力量」(kWhのほう)の違いを表しています。電力と電力量では何が違うのか、水道の蛇口から流れる水にたとえて説明してみましょう。
太陽光発電システムでは、kW(キロワット)の単位が使われますが、1kWは1000Wのことで、単位はあくまでW(ワット)です。以下では、Wで説明していきます(kWとWの関係については別記事を参照)。
W(やkW)は「電力」の単位です。電力をたとえれば、蛇口から出る水の流れと考えることができます。
たとえばここに、10Wと100Wの白熱電球があったとしましょう。両方を点灯すると、10Wの電球よりも100Wの電球のほうがずっと明るいのですが、当然ながら100Wの電球にはより多くの電気が流れます。電力を水流にたとえて図にすると、次のようになります。
ECONONAVITのほうの「kW」という表記は、これと同じ水の流れの大きさ(=電力)を表しているのです。電力の値が大きければ大きいほど、電気の流れが大きいことを表しています。太陽光発電でいえば、日射が強ければ強いほど、発電する電力は大きくなります。
10Wの電球と100Wの電球を家で使ったとき、電気代が高いのは(消費電力量が多いのは)どちらでしょうか。すぐに「100Wのほう」と思いがちですが、ここで少し考えてみましょう。
100Wの電球は、10Wの10倍の電気が流れるわけですから、両方を同じ時間点灯すれば、当然ながら100Wの電球のほうが10倍の電力を消費します。けれど10Wの電球でも、長時間つけっぱなしにすれば、たくさんの電力を消費してしまいます。この様子を図にしてみましょう。
10Wの蛇口の水流は小さいのですが、10時間にわたって出しっぱなしにすると、100Wの蛇口を1時間開けた場合と同じ量の水が流れます。流れた水の量が使った電気の量(消費電力量)ですから、両者の電気代は同じになります。
このように使った電気の量(消費電力量)は、蛇口の大きさ(水流の大きさ)だけでは計算できません。これを求めるには、水流の大きさと、水を流した時間を掛け算する必要があります。W(ワット)と時間(h)を掛け算したものがWh(ワットアワー)というわけです。この例でいえば、10Wの電球を10時間点灯した場合も、100Wの電球を1時間点灯した場合も、同じ100Whの電力を消費します。
つまりkWhというのは、電気の流れの大きさではなく、流れた電気の総量を表しているわけです。エコガイドTVのほうの表示をよく見ると、「今日の発電電力量」と表記されています。つまりこちらは、その瞬間の電力(水流の大きさ)ではなくて、1日でどれだけの電気を作り出したのか(消費したのか)という、電力の量を表しているのです。このためエコガイドTVのほうの単位はkWhとなっています。
このように、kWのほうは瞬間、瞬間の電力(水の流れの大きさ)であり、kWhのほうはそれに時間を掛け算して、使った(発電した)電力の量を表しているというわけです。kWとkWhの違いがわからなくなったら、kWのほうは「蛇口から流れる水の大きさ」、kWhのほうは「蛇口から流れた水の総量」というふうに思い出すといいでしょう。
(2011/10/20 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。