2009年11月1日より、太陽光発電で生じた余剰電力の買い取り額が従来の24円/kWhから48円/kWhの倍額になりました(→関連ニュース)。しかし、太陽光発電に加え、ガスを利用した家庭用コージェネレーション・システム(エネファームやエコウィルなど)を併設している場合(いわゆるW発電(→用語解説)の場合)には、この買い取り価格は39円/kWhと、太陽光発電単独の場合と比較して、キロワット時あたり9円安くなります。
電気に色は付いていませんから、太陽光発電による電気も、ガス利用のコージェネレーション・システムを利用して発電した電気も見分けはつきません。このため、コージェネレーション・システムを設置して発電すれば、その分をまるまる余剰電力として売電できる可能性があります。この際の売電額がガスの燃料代よりも高額だとすると、コージェネレーション・システムで発電するほど利益が生み出せることになります。これでは、資金に余裕のある家庭が有利に売電し、そのための資金を全国民が負担することになってしまいます。こうした理由から、W発電時の余剰電力の買い取り価格は、太陽光発電単独時よりも9円安い、39円/kWhになったわけです。
しかし利用者から見れば、家庭用コージェネレーション・システムを設置すると、売電価格が安くなることになり、設置を阻害する要因になってしまいます。このため、W発電によって低減する売電価格を、ガス会社が負担し、家庭用コージェネレーション・システムの普及を促そうとするのが狙いだと考えられます。
具体的に支援策を発表したのは、東京ガスと大阪ガスの2社です。基本的な支援内容は似通っていますが、大阪ガスが支援するのは余剰電力1kWhあたり9円で、W発電による低減分だけですが、東京ガスは1kWhあたり10円を支援するとしており、この場合、売電価格はトータルで49円/kWhとなり、太陽光発電単独の場合と比較して1円有利になります。以下は、この東京ガスの例を図にしたものです。
家庭用コージェネレーション・システムも、設置にはまとまった金額が必要ですので、長い目で見た設置の経済的メリットについては慎重に検討する必要があります。ただ今回の施策により、設置のハードルが大きく下がることは間違いないでしょう。
(2009/12/7 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。