全国の電力会社各社は、2009年11月1日から開始された余剰電力の買取策(いわゆる余剰電力の倍額買取策。→関連記事)で発生した買取費用(太陽光発電促進付加金、通称「太陽光サーチャージ」→用語解説)の平成22年度(2010年4月1日~2011年3月31日)の徴収は行わず、平成23年度(2011年4月)から徴収を行うと発表しました。
余剰電力買取策は、国民全員参加の取り組みであり、買取で発生した費用は、電気を使う利用者全員の電気料金に上乗せして徴収されます。経済産業省の試算では、標準的な世帯の負担額は月額30円~100円程度になるとされていました。算出方法などは変わりありませんが、2010年4月から徴収する太陽光サーチャージは、余剰電力買取の開始が11月1日からと短期間であったことから、太陽光サーチャージを算出するための単価(太陽光発電促進付加金単価)を計算したところ、結果が1銭未満となり、「1銭未満は切り捨てる」という規定によって、単価が0円になった結果です。切り捨てられた費用は、翌年(今回であれば2011年4月以降分)に持ち越す規定になっています。
もう少し詳しく、太陽光サーチャージの課金について見てみましょう。電気料金の算出方法、太陽光サーチャージの算出方法は以下のようになっています。
毎月の電気料金は、固定の基本料金と、使用した電気量に応じた電力量料金を加えた金額で決まります。2010年4月分からは、これらに加えて、太陽光サーチャージ(太陽光発電促進付加金)が毎月の電気料金に上乗して徴収されます。
太陽光サーチャージは、前年の買取実績などから算出される「太陽光発電促進付加金単価」と、電気使用量をかけ算して計算されます(図の上から2段目)。つまり、電気をたくさん使う人は、それだけ多くの太陽光サーチャージを払うことになります。
「太陽光発電促進付加金単価」は、基本的に前年の買取費用を、翌年度の想定需要電力量で割ったものです(図の3段目)。太陽光サーチャージは、この「太陽光発電促進付加金単価」に電気使用量をかけ算して算出しますから、想定需要どおりの電力需要があれば、前年に発生した買取総額を回収できることになります。
ただし、「前年の買取総額」に対しては、若干の調整金があります。1つは、太陽光発電によって電力会社による発電量が減少すると、電力会社の支出(発電にかかるコスト)が減少する可能性がありますので、その分を減算します(図の*1)。また、「太陽光発電促進付加金単価」は前年の買取費用を、翌年の電力需要見込みで割ることで算出しているため、見込みどおりに需要があるかどうかはフタを開けてみなければ分かりません。見込みよりも実際の電力需要が多ければ、余計に太陽光サーチャージを徴収してしまうことになりますし、逆に電力需要が見込みよりも少なければ、前年に発生した買取費用を回収できないことになります。この過不足分を調整するのが「過去の過不足分」(図の*2)です。徴収しすぎた場合には、翌年の「太陽光発電促進付加金単価」算出の買取額から減算し、不足した場合はその分を加算して調整します。
今回の発表は、上の計算式に基づき「太陽光発電促進付加金単価」を計算してみたところ、買取策が11月1日開始と遅かったため「前年の買い取り額」がわずかであったことから、2010年4月から適用される「太陽光発電促進付加金単価」が0円となり、ついては太陽光サーチャージも0円、つまり平成22年度は太陽光サーチャージを徴収しないという結果になったわけです。今回切り捨てられた分については、図の*2の調整分として平成23年度(2011年4月~)に適用される「太陽光発電促進付加金単価」算出に持ち越されます。
この件に関する電力会社各社のニュースリリースは以下のとおりです。
(2010/1/26 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。