2011年4月8日(金) 21時3分 公開
東京電力は、東日本大震災による原子力発電所や火力発電所の被災と運転停止に伴い、3月14日から実施していた計画停電を、4月8日より原則実施しないことを明らかにした。これまでは、原則は「計画停電実施」の状態にあり、停電を回避できる場合には「実施しない」との情報を報道機関などを通じて毎日公表してきた。今回の発表により、何も発表がなければ原則は「実施しない」ということになる。ただし東京電力によれば、「突発的な気象の変化などで電力需要が急増した場合や復旧予定の発電所の設備トラブルの発生」など、不測の事態が生じたときには、「やむを得ず計画停電を実施する場合もある」と説明している。
震災による企業活動の停滞や電力需要者の節電への協力により、現在、各日の最大電力は前年比で約20%下回って推移しているという。また4月と5月は、節電の効果に加えて、気温が次第に上昇することで暖房や給湯にかかる電力消費が減ること、ゴールデンウィークで企業活動が休みになることなどから、電力需要が当面減少することが見込まれている(おおむね、最大電力3900万kW弱で推移するとみている)。一方、供給面については、被災した火力発電所の復旧などにより、3900万から4200万kW程度の水準を確保できる見通しである。このように電力の需給バランスが改善しており、これまで実施していた計画停電を実施しなくても、当面は大規模停電などの障害が発生する可能性はなくなったとしている。
ただし、これまでにも説明したとおり、今回の発表は、計画停電が将来にわたって実施されないという宣言ではない。エアコンによる電力需要が大幅に増加する夏期の需給見通しは依然として厳しい状況にある。5500万kWと想定する需要に対して、4650万kWの供給力しか確保できず、850万kWの不足が生じることが予想されている。そのため東京電力では、火力発電所のさらなる復旧と立ち上げ、ガスタービンなどの緊急設置電源の新設、自家用発電設備の活用、揚水発電の活用などの供給能力の増強を実施する。一方で、政府の電力需給緊急対策本部が示した「夏期の電力需給対策の骨格」(参考リンク)を踏まえ、大口需要家、家庭などへの節電の協力を呼びかけ、できるかぎり計画停電の不実施を継続したいとしている。
さしあたり計画停電は回避されることになったが、当面は綱渡りの電力受給状態が続くことになる。大規模停電の回避のためだけでなく、電気の需要家は、常態的節電の努力と工夫を継続する必要があるだろう。
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