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太陽生活用語集

色素増感太陽電池

太陽電池の一種で、酸化チタン微粒子の表面に色素を吸着することで発電を行うもの。

シリコン半導体を使わずに、ヨウ素溶液を電解質とした電気化学的なセル構造を持つことが特徴です。安価な材料で、印刷技術などを応用して製造可能なことから、低コストの太陽電池として期待を集めています。また、色素の色を選ぶことができるため、さまざまな色を使ったデザイン性の高い太陽電池が製造できること、基板と電極に透明導電プラスチックフィルムを利用することで、曲面など比較的自由度の高い造形が可能なことなどのメリットがあります。

色素増感太陽電池

島根県産業技術センターと島根県産業技術センターが開発したシースルータイプの色素増感太陽電池(写真提供:島根県産業技術センター)
窓ガラスなどの半屋外利用を想定したシースルー型の色素増感太陽電池で、CEATEC JAPAN 2009で公開された。

ただし、現時点ではシリコン系太陽電池と比較して変換効率はあまり高くなく、研究所レベルの高効率のものでも11%を超える程度、一般的なものでは5%程度です。また液体電解液を用いるため、液漏れによる劣化問題など、耐久性も課題となっています。

色素増感太陽電池の動作原理は以下のとおりです。

色素増感太陽電池の動作原理

島根県産業技術センターと島根県産業技術センターが開発したシースルータイプの色素増感太陽電池
色素に光があたっている間、以下のサイクルを繰り返すことで、発電が行われる。

  1. 電池に光があたると、酸化チタンに化学吸着している色素(増感色素)が励起状態(原子や分子が外からのエネルギーを与えられ、エネルギーの高い状態)になる。励起状態の色素は、もとの状態に戻ろうとして、電子を放出する。
  2. 電子は透明電極を通り、外部回路を経由して、触媒電極に向かう。そして、電解質に含まれる三ヨウ化物イオンが電子を受け取る。
  3. 電子を受け取った三ヨウ化物イオンは、ヨウ化物イオンに変化する。
  4. ヨウ化物イオンは、電子を放出した色素に電子を渡す。
  5. 色素に電子を渡したヨウ化物イオンは、再び三ヨウ化物イオンになる。

現在、独立行政法人 産業技術総合研究所や各大学、企業などが色素増感太陽電池の変換効率や耐久性の向上などについて研究を進めています。研究室レベルでは、変換効率が11%超えるものや、薄膜型太陽電池と同等の耐久性が実現可能なものなどが開発されており、実用化に向けてさらなる研究が行われています。

なお色素増感太陽電池は、ペクセル・テクノロジーズなどから実験キットが販売されており、手軽に作成することも可能です。

(2011/1/7 公開)

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