電力消費のピーク時間帯をはずして電気を使うようにして、ピーク時に集中する電力消費を小さくすること。ピーク(peak)は「頂上」、シフト(shift)は「移動する」という意味があります。
1日の電力消費は、時間帯によって大きく変化します。基本的には、人が起きて活動する昼間の消費電力は大きく、多くの人が眠っている夜は小さくなります。生活パターンは人それぞれですが、起床時間や朝食、昼食、夕食の時間帯、学校に行ったり仕事に行ったりする時間帯などはほぼ共通しているため、電力消費が集中する時間帯が出てきます。季節によって変動はありますが、1日のうちで最も消費電力が大きくなるのは(電力消費がピークを迎える時間帯は)、おおよそ夕食準備の時間帯(午後5時~午後7時くらい)となっています。
電力会社は、このピーク時間帯の電力消費を予測しながら、供給不足にならないように、必要な量の電力を発電所から供給しています。電力供給が需要に追い付かなくなると、不測の大停電などが発生する恐れがあるからです。ただし従来は、発電所の発電能力が十分に大きく、ピーク時間帯の最大電力を大きく超える供給能力があったため、こうした停電の心配はありませんでした。
この状況を一変させたのが東日本大震災と、それをきっかけとする福島第一原子力発電所の事故です。これらの影響で、東日本に電力を供給していた発電所が停止するなどして、電力の供給不足が生じました。不測の大規模停電を回避するために、一時は計画停電(輪番停電)が実施され、市民生活や産業に大きな影響が及びました。冬から春になって気候が暖かになり、暖房用の電力消費が減るなどしたため、ひとまず計画停電は「原則不実施」となりましたが、夏には冷房のための電力需要が大幅に増えるため、再び供給不足が生じる恐れがあります。
供給不足の問題を回避するために最も重要なのは、電力消費が集中する、ピーク時の電力消費をできるだけ小さくすることです。電気を使うこと自体はやめられなかったとしても、電力消費が集中する時間帯に使うのをやめて、ほかの時間帯に使うようにすれば、ピーク時の消費電力を抑えることができます。たとえ使われる電気の総量が変わらなくても、ピーク時の消費電力を小さくして(ピークの山を低くして)、発電所の供給能力を超えないようにできれば、供給不足を回避できるわけです。「ピーク時を避けて使う」ということから、このような取り組みをピークシフトと呼んでいます。
家庭を例にとれば、電子レンジやオーブン、HIクッキング・ヒーター、電気炊飯器など、大きな電力を消費する電化製品を、夕食準備の時間帯に集中的に利用するのではなく、たとえば下ごしらえは早めにやっておくとか、ごはんはピーク時間帯をはずして少し早めに炊くなどで、ピークシフトを実践できます。
(2011/4/20 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。