海に近い場所では、空気中の水分に塩分が通常よりも多く含まれており、金属などの腐食が進みやすくなります。そのため、海に近い場所では、ソーラーパネル内の配線や、パネルの設置に使う金具や架台が通常よりも錆びやすくなるため、条件によって設置ができないなど制限を受けることがあります。このような問題は塩害(→用語解説)と呼ばれます。
一般に塩害地域であっても、塩害対応用のソーラーパネルや架台などを使用し、パワーコンディショナーを屋内に設置するなどの塩害対策を施すことにより、太陽光発電システムの設置自体は可能です。ただし、直接海水のしぶきがかかってしまう重塩害地域(海岸から500m以内)では、ほとんどのメーカーが設置不可としています。
以前は、塩害地域向けのソーラーパネルなどの専用品がラインアップされていましたが、最近では、塩害地域であっても一般地域向けのものをそのまま使える製品が増えてきています。たとえば、三菱電機の「単結晶無鉛はんだ太陽電池モジュール」などは、ソーラーパネルのバックシート(パネルの裏面を保護するもの)を3層化したり、耐蝕性メッキを施したフレームやネジ類を採用したりすることで、一般地域向けの製品であっても、塩害地域での設置を可能としています。京セラのサムライ・シリーズも同様に、塩害地域(重塩害地域を除く)であっても、一般地域向けで対応可能であるということです。ただモジュール・メーカーやモデルによっては、塩害地域で使用できない場合もあるようなので、塩害の心配や対策の実際などについて事前に確認するとよいでしょう。
塩害地域は、一般に下表のように指定されています。ただ、メーカーによっては異なる指定を行っている場合もあるので、比較的海が近い場所での太陽光発電システムの設置を検討しているのであれば、塩害地域に含まれるのかどうかを含めて、設置工事業者に確認するとよいでしょう。
一般的な塩害地域の定義 | |||||
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地域 | 海岸からの距離 | ||||
~500m | 500m~1km | 1~2km | 2~7km | 7km以上 | |
沖縄・離島 | 重塩害地域 | 塩害地域 | |||
瀬戸内海 | 塩害地域 | 一般地域 | |||
北海道・東北日本海側*1 | 塩害地域 | 一般地域 | |||
そのほかの地域 | 塩害地域 | 一般地域 |
*1 北海道:松前町~稚内市/東北:青森県東通村~山形県温海町
(2011/8/23 更新)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。