福井県にある三方五湖(みかたごこ)のひとつ水月湖は、深い水深に加え、流入する水流がありません。さらに湖の下部が無酸素状態であるために生物が住むこともできません。そのため、永い年月をかけて降り積もった堆積物が幾層もの縞を描きながらそのままの状態を保ち続けています。この縞を「年縞(ねんこう)」というそうです。
そんな静かな湖底を持つ水月湖では、 これまでたびたび大規模なボーリング調査が行われています。湖の年縞を数や含有物を調べることで周辺の気候や海面の高さの変動から洪水や地震などの発生までも知ることができるからです。特に安定した湖底を保ち続ける水月湖の場合、細かな年代測定が可能で、約15万年間にわたる過去の環境の変化を知ることができます。これは、世界各地で発見された年縞の最長記録だそうです。
これまでの研究から、地球の温暖化は1万5000年前からすでに始まっていたことが分かっています。「地球温暖化」とは、産業革命後の石炭や石油などの化石燃料の大量消費によってもたらされたという認識が一般的ではないかと思いますが、それを聞くとそればかりでもないのかなと思います。あくまで自論ですが、明日の天気も外す現在のわたしたちには地球環境は極めて複雑なものなんだと思います。人の知識で「こうすれば、ああなる」という理論で、いたずらに怯えても意味がないのかもしれません。もちろん、かといって地球温暖化のことなど気にしなくてよいとは思っていません。年縞のように地道な研究を重ね、湖底のように冷静な観点から、わたしたちが地球にどう寄り添って生きていけばよいか前向きに考えていくのがいいのではないかと思います。この研究で静かな湖底の縞模様が、地球の未来を予測する手がかりを語ってくれるのかもしれません。
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