太陽生活ニュース

京セラとパナソニック、施工方法やサイズの工夫で搭載容量の向上が可能なモデルを発表

京セラとパナソニックから、ソーラー・パネルなどの新製品に関するニュースが入ってきました。いずれも施工方法やソーラー・パネルのサイズを工夫することで屋根への搭載容量を増やせるモデルです。

京セラ、架台無し方式に対応した住宅用太陽光発電システム「エコノルーツ タイプU」を発表

京セラは、独自の施工方法を採用して、ソーラー・パネルを屋根に固定する架台を不要にした「エコノルーツ(ECONOROOTS) タイプU」を発表しました。これにより、パネルの柔軟な配置が可能になり、部品点数を減らせることから、ケースによっては従来よりも多くのパネルを屋根に搭載したり、工事のコストダウンを図ったりできるようになるとしています。ただしこの工法が可能なのは、下の写真のような「スレート瓦」と呼ばれる屋根だけです。

エコノルーツ タイプUの設置イメージ

エコノルーツ タイプUの設置イメージ
従来のエコノルーツシリーズではパネルを横置きで設置していたが、独自の施工方法の採用により、このように縦置きが可能になった(写真提供:京セラ)


エコノルーツ タイプUの主な仕様
型名 KJ186P-3CUCA
公称最大出力 186W
外形寸法(W×D×H) 1338×990×46mm
モジュール変換効率 14.04%
重量 16.0kg
対象屋根材 スレート瓦

京セラが独自開発したクランプ金具

京セラが独自開発したクランプ金具
この金具をスレート瓦に取り付け、ソーラー・パネルを挟み込む施工方法を採用することでパネルの縦横どちらの設置も可能になった(写真提供:京セラ)

従来のエコノルーツ タイプRなどのモデルでは、屋根を裏側から支えている垂木と呼ばれる骨組みの間隔に合わせて固定することから、長方形のソーラー・パネルを横置きに設置する仕様になっていました(縦置きと横置きのどちらにも対応したモデルをラインアップしているメーカーもあります)。これに対しエコノルーツ タイプUでは、独自のクランプ金具をスレート瓦に取り付け、それに直接モジュールを挟み込む施工方法を採用、さらにフレーム枠を従来よりも厚くすることで強度を上げたソーラー・パネルの採用で縦置きにも対応しました。

屋根の形状によっては、従来の横置きでだけは無駄なスペースができてしまうケースでも、縦置きによって無駄なく設置可能になり、ソーラー・パネルの搭載量を増やせる場合があります。京セラによれば、「設置レイアウトの自由度が高まり、太陽電池モジュールの搭載容量を最大で50%向上させることができる」としています。またラックを使用しないことから、設置に使用する部材点数が約60%減り、屋根の重量負担の軽減、施工工数の削減が可能となるということです。これにより、従来の工法に比べて施工コストが低減される可能性があります。

横置きと縦置きの搭載量の違い

横置きと縦置きの搭載量の違い
このように屋根の形状によっては、縦置きにすることでより多くのソーラー・パネルが設置できる可能性がある。

従来の施工方法では、屋根とソーラー・パネルの形状から搭載量が少なく設置を諦めていたようなケースでも、エコノルーツ タイプUなら設置条件を満たせるようになるかもしれません。

パナソニック、ソーラー・パネルの小型化と低価格化を実現した
「住宅用太陽光発電システム 多結晶 154シリーズ MD-PH154T」を発表

パナソニックは、同社従来製品(183シリーズ MD-PRK183M)に比べて、約20%の小型化を実現し、寄棟屋根(→ 用語解説)に適したソーラー・パネル形状の採用により、屋根への搭載容量を増やすことを可能にした「住宅用太陽光発電システム 多結晶 154シリーズ MD-PH154T」を発表しました。

パナソニックの「住宅用太陽光発電システム 多結晶 154シリーズ MD-PH154T」

パナソニックの「住宅用太陽光発電システム 多結晶 154シリーズ MD-PH154T」
多結晶 183シリーズに対して、約20%の小型化し、寄棟屋根への搭載枚数を増やすことを可能にしている。(写真提供:パナソニック)

パナソニックは、高い変換効率を誇る「HIT 215/210シリーズ」のほかに、多結晶シリコン型太陽電池セルを採用し、陸屋根などの屋根形状に広く対応した「多結晶 183シリーズ」を販売しています。新製品の154シリーズは、この183シリーズの後継製品となる多結晶シリーズとなります。

新製品「154シリーズ」と従来製品「183シリーズ」との比較
新製品 従来製品
型名 154シリーズ MD-PH154T 183シリーズ MD-PRK183M
公称最大出力 154W 183W
外形寸法(W×D×H) 1313×866×35mm 1338×1012×36mm
重量 13.0kg 未公表
モジュール変換効率
13.5%
価格(税込み) 9万2400円 12万4950円
W単価 600円/W 683円/W

日本の屋根に多い寄棟屋根の場合、4方の屋根面が斜めになっているため、ソーラー・パネルのサイズと屋根の形状によっては、屋根の斜めの部分に設置できない無駄なスペースができてしまいました。そこで154シリーズでは、ソーラー・パネルのサイズを約20%小型化することで、なるべく斜めの部分にも設置できるようにし、無駄なスペースをなくすことで搭載枚数を増やせるようにしています。パナソニックによれば「屋根の形状にもよるが、従来品183シリーズと比較して、1枚あたりの発電量は低いものの、設置枚数が増えることで、全体では約16%の発電容量の向上が見込める」ということです。

183シリーズと154シリーズの設置例

183シリーズと154シリーズの設置例
183シリーズでは、屋根の斜め部分に大きな設置できないスペースが生まれてしまうため、多くの枚数が設置できない。これに対し、小型化した154シリーズでは斜め部分にもソーラー・パネルが設置でき、結果的に約16%多い発電容量を得ることができるという。(図版:パナソニックのニュースリリースより)

また、標準価格を最大出力で割った1Wあたりの単価は571円/Wと、183シリーズの650円/Wと比べて約12%の低価格化を実現しています。一般に小型のソーラー・パネルのサイズの場合、同等の変換効率を実現した標準サイズのソーラー・パネルに比べてW単価は高くなる傾向にあります。しかし新製品の154シリーズは低価格化が実現されているので、同発電容量のパネルを搭載する場合でも、標準価格ベースでは従来版よりも安価に設置できます。

新製品の154シリーズは、寄棟屋根のほか、切妻屋根や陸屋根にも対応しています。これらの屋根でも形状によっては、従来製品の183シリーズよりも多くの枚数が設置でき、発電容量が増やせる可能性があります。

(2011/1/19 公開)

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