経済産業省は、全国の電力会社各社が申請した2011年度(平成23年度)の太陽光発電促進付加金(「太陽光サーチャージ」→ 用語解説)の単価を許可する見込みであると発表しました(→ 関連記事)。
太陽光サーチャージの単価は、前年(2010年1月1日から12月31日)までに電力会社各社が買い取った太陽光発電による余剰電力の買取総額を、今年度(2011年4月1日から2012年3月31日)までの想定総需要電気量で割り算して算出されます。
2011年度の場合、2010年度分(2009年11月1日~2009年12月31日)の太陽光サーチャージを算出するための単価が1銭未満となり、太陽光サーチャージをまったく回収していないため、その不足分が単価算出の際に加えられています。なおこの単価は、電力会社ごとに算出されます。以下に示すとおり、利用している電力会社ごとに単価が大きく異なっています。
経済産業省が公表した電力会社各社の2010年の買取総額や想定総需要電力量などを見てみましょう。
電力会社各社の太陽光サーチャージ算出基準(第13回買取制度小委員会説明資料より) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
電力会社名 | 2010年の買取総額 (億円) |
2010年の回避可能原価 (億円) |
2009年の買取費用の回収不足額 (億円) |
2011年度の想定総需要電力量 (億kWh) |
太陽光サーチャージ単価 (税込み、円/kWh) |
2012年度調整する回収不足額 (億円) |
一般家庭(280kWh)の1カ月の負担額 (円) |
北海道電力 | 8.14 |
2.74 |
0.08 |
323.10 |
0.01 |
2.31 |
2.80 |
東北電力 | 39.14 |
14.50 |
0.60 |
804.71 |
0.03 |
1.42 |
8.40 |
東京電力 | 160.56 |
60.23 |
3.10 |
3021.91 |
0.03 |
14.07 |
8.40 |
北陸電力 | 113.80 |
36.93 |
2.40 |
1290.18 |
0.06 |
2.87 |
16.80 |
中部電力 | 9.18 |
3.88 |
0.05 |
277.89 |
0.01 |
2.64 |
2.80 |
関西電力 | 81.09 |
31.41 |
0.94 |
1523.66 |
0.03 |
5.56 |
8.40 |
中国電力 | 61.46 |
24.84 |
0.70 |
608.44 |
0.06 |
1.28 |
16.80 |
四国電力 | 31.16 |
12.00 |
0.44 |
287.32 |
0.06 |
2.61 |
16.80 |
九州電力 | 117.22 |
50.27 |
0.99 |
865.68 |
0.07 |
8.20 |
19.60 |
沖縄電力 | 7.32 |
2.92 |
0.17 |
76.14 |
0.06 |
0.06 |
16.80 |
買取総額は、東京電力が約161億円と最も多いものの、想定総需要電力量も約3022億kWhと多く、結果として太陽光サーチャージの単価は3銭となっています。一方、九州電力は約117億円の買取総額に対し、想定総需要電力量が約866億kWhと少ないため、結果的に太陽光サーチャージの単価は7銭と電力会社10社中、最も高いものとなっています。
これは、太陽生活Moreの「太陽光発電に熱心な都道府県はどこ?」で検証しましたが、九州電力管内の熊本県、宮崎県、佐賀県、大分県といった県の太陽光発電の設置比率が比較的高いことが大きく影響しているものと思われます(これらの県は晴天率も高く、発電量も他県などに比べて相対的に高い傾向にあります)。設置件数では、東京都や愛知県が多いのですが、これらの地域は太陽光発電を設置していない世帯も多く、また電力需要が大きな会社や工場、鉄道などもあることから総需要電力量も多くなり、結果として太陽光サーチャージの単価も3銭と6銭と、九州電力に比べて低くなっていると思われます(それでも愛知県を含む中部電力の単価は6銭と比較的高めです)。
このように電力会社ごとに太陽光サーチャージの単価が算出されるため、地域によって家庭の負担額が異なってきます。たとえば標準家庭(契約電流30A、使用電力量280kWhの場合)の負担増は、東京電力などの場合で約8円/月、関西電力などの場合で約17円/月、一番負担の重い九州電力では約20円/月になります。今後、太陽光発電の普及にともない、電力会社間の格差が広がる可能性があります。経済産業省では、格差が大きく広がるような場合、電力会社間で調整を行い、単価を調整するなどのことも検討するとしています(全国一律の単価設定も検討されているようです)。
(2011/1/26 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。