2011年2月24日(木) 16時26分 公開
シャープは、太陽光発電、自動車用バッテリ、電力会社からの電力系統の3つをインテリジェントに制御しながら、家庭への電力供給、電気自動車への充電などを最適化できる「インテリジェントパワーコンディショナ」を開発した。これにより将来は、太陽光発電による電気を電気自動車のバッテリに充電する、夜間など太陽光発電できないときは電気自動車のバッテリから家庭に電力を供給するなど、柔軟な電力管理が可能になる。
現在は売電単価が高額なため(48円/kWh。2011年4月からは42円/kWhの予定)、太陽光発電の余剰電力は売電することが基本だが、今後太陽光発電が広く普及して、多くの家庭からの売電が電力系統に集中すると、うまく売電ができなくなる可能性がある(最悪の場合、太陽光発電した電気がむだになってしまう)。太陽光発電は天候に左右されるため、発電量を制御することは困難であり、こうした問題を解決して、太陽光発電した電気をむだなく利用できるようにするには、余った電気をいったんバッテリに充電しておき、太陽光発電できない夜などに使う対策が近い将来は必要になると考えられている。
この際のバッテリの設置場所としては、電力会社が管理する電力系統側に設置する方法と、家庭側に設置する方法が考えられるが、大容量バッテリは高額なため、いずれにせよ設置には多大な費用がかかる。そこで出てきた1つのアイデアが、電気自動車用のバッテリを家庭用としても活用する方法だ。
今回発表された「インテリジェントパワーコンディショナ」は、太陽光発電とバッテリ(電気自動車の駆動用バッテリなど)、電力系統を最適に連携・制御してこれを可能にする。実証実験では、三菱自動車のi-MiEV(アイ・ミーブ)をベースとして、駆動用バッテリに4kWhのエネルギーを約30分で充電したり、逆にバッテリから家庭に8kWの電力を供給したりすることに成功したという。
また「インテリジェントパワーコンディショナ」は、家庭への直流電力の供給も可能にしている。現在の家電製品は電力会社から供給される交流電流を使うが、太陽光発電される電気や、バッテリから供給される電気は直流なので、これを変換なしでそのまま使えれば、ロスなく効率よく電気を活用できるようになる。
シャープは、今後、安全性、信頼性などを確認する実証実験を経て、早期の実用化を目指すとしている。製品化はまだ先だが、電気自動車を含めた住宅での太陽光発電、蓄電、直流家電の利用など、将来の住宅におけるエネルギー利用の形を占う製品になると期待される。
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