太陽生活 > 特集:太陽光発電のその先へ。どうなるわたしたちの未来のくらし(1/2)

太陽光発電のその先へ。どうなるわたしたちの未来のくらし

~ 未来の住宅、未来のくらし、未来の社会は電池で変わる!? 東北大学「エコラボ」訪問 ~

太陽光発電システムの普及が進んでいます。補助金や売電価格の引き上げのおかげで、「環境保護に役立つだけでなく、長い目で見れば光熱費負担も削減できそう」というのが導入の主だった理由のようです。いずれにせよ、自然エネルギーを自分の生活に生かすというのはすばらしいことです。

けれども太陽光発電を始めたらそれで終わりかといえば、そうではありません。実は電気など、生活には不可欠なエネルギーを取り巻く事情は年々大きく変化しています。たとえば化石燃料の枯渇や、各国の資源獲得競争の問題があります。現在のわたしたちの生活が、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に大きく依存していて、かつ日本はそれらのほとんどを国外からの輸入に頼っていることはご承知のとおりです。この化石燃料には限りがある一方で、中国やインドなどの新興国が豊かさを求めて化石燃料の消費を急拡大しています。また化石燃料を燃やしてエネルギーに変えると、地球温暖化の原因とされるCO2も大量に発生するという問題もあります。これらは、中長期的には化石燃料の高騰や、化石燃料利用に対するコスト増につながると見られています。

いまの日本では、一定のお金さえ払えば、電気は使いたいだけ使えますし、ガソリンも必要なだけ買うことができます。こんな幸せな状態がいつまでも続いてほしいものですが、その保証はどこにもありません。化石燃料に依存した先進国のエネルギー生活が、大きな見直しを迫られているのです。

今回お話をうかがった、東北大学 環境科学研究科 准教授 古川柳蔵さん

自分が使う電気を自宅で作るという太陽光発電は、こうしたわたしたちの「生活とエネルギーの関係」に一石を投じるものです。けれども、より少ないエネルギーで豊かな生活を続けるためには、太陽光発電システムを設置するだけでなく、さらに自然エネルギーを有効活用したり、省エネルギー化を進めたりと、まだまだわたしたちの生活を変えていく必要があるでしょう。

豊かでありながら、省エネルギーで環境への負担も小さい生活とはどんなものなのでしょうか。そうした未来の生活のために何が必要でしょうか? 「エコラボ」という研究・実証施設を作り、未来の住宅のあり方についてさまざまな研究を行っている東北大学 環境科学研究科におじゃまして、古川柳蔵(ふるかわ りゅうぞう)准教授にお話をうかがってきました。

聞き手:太陽生活ドットコム編集長 小川誉久)

自然と技術の融合について研究するエコラボとは?

鉄筋コンクリート造りの校舎が並ぶ中で、エコラボはひときわ目立つ木造2階建てですね。
古川さん
設計と施工は地元の小さな建築事務所にお願いして作ったものです。エコラボは、環境科学研究のシンボルとして、ぬくもりのある木材を多用するだけでなく、建物全体の自然な換気や、自然光の取り入れなどの設計にもさまざまな工夫がなされています。「エコラボ」は、エコロジーとコラボレーション(協力)とラボラトリ(研究所)を1つにしたものです。建物全体が省エネルギーになっているのに加え、未来の生活を体験、検証できる擬似生活空間も用意されています。
さまざまな自然エネルギー活用を実践しているエコラボ。

さまざまな自然エネルギー活用を実践しているエコラボ。

もちろん、屋根にはソーラー・パネル。

もちろん、屋根にはソーラー・パネル。

エコラボでは何を研究しているのですか?
古川さん
エコラボでの研究のコンセプトは大きく2つあります。1つは現在のライフスタイルを変えること、その上で、もう1つは電池を生かした社会を作り上げることです。ライフスタイルを変えるというポイントは、地元の90歳のおばあちゃんが教えてくれたんですよ。

小さなエネルギーを自分で作る生活

90歳のおばあちゃんからどんなヒントを?
古川さん
太陽光発電など、自然エネルギーの利用技術を発展させることはもちろん大切ですし、わたしたちもさまざまな研究をしています。けれどエネルギーを大量に使うばかりの現代の生活を見直さなければ、いくら自然エネルギーを使うといっても意味がありません。わかりやすいところでは、白熱電球をLED照明に変えるとか、省エネ家電に買い換えるとかがありますが、もっと大切なことは、自分が使うエネルギーを意識して、それを大切に使おうという気持ちを持つことです。
このヒントをくれたのが、90歳のおばあちゃんだったのです。おばあちゃんに昔の暮らしぶりを聞いてみると、昔は家具を自分で作ったり、石鹸を自分で作ったり、使うばかりでなくて、いろいろと必要なものを自分で作っていたというんです。物がない時代だったからなのですが、自分で作ったものは大切に使うようになる。一方、現代の私たちの生活は、エネルギーをただただ消費するばかりの生活で、エネルギーに対するありがたみが希薄になっています。わずかでも、自分でエネルギーを作れば、自然とエネルギーを大切にして、省エネ生活を心がけるようになるのではないかと考えました。
そうはいっても、家庭で、自分自身でそうそうエネルギーは作り出せません。
古川さん
そうですね。私たちは、生活のさまざまな場面で作り出せる「微弱エネルギー」に注目しました。たとえば、窓を開けると風が通って小さな風車が回って発電するとか、雨どいに流れる水で発電するとか、スポーツジムにあるようなエアロバイクを自分でこいで発電するなどです。太陽光発電も、数キロワットクラスをつけようとすると広い面積が必要で高額になりますが、微弱エネルギー源でよいのなら、ほんの小さなソーラー・パネルでもちゃんと役に立ちます。
エコラボ内にある発電可能なエアロバイク。カゴに取り付けた小さなバッテリにこいで発電した微弱な電気を貯める。

エコラボ内にある発電可能なエアロバイク。カゴに取り付けた小さなバッテリにこいで発電した微弱な電気を貯める。

(2010/10/22公開)

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