~ 未来の住宅、未来のくらし、未来の社会は電池で変わる!? 東北大学「エコラボ」訪問 ~
太陽光発電システムの普及が進んでいます。補助金や売電価格の引き上げのおかげで、「環境保護に役立つだけでなく、長い目で見れば光熱費負担も削減できそう」というのが導入の主だった理由のようです。いずれにせよ、自然エネルギーを自分の生活に生かすというのはすばらしいことです。
けれども太陽光発電を始めたらそれで終わりかといえば、そうではありません。実は電気など、生活には不可欠なエネルギーを取り巻く事情は年々大きく変化しています。たとえば化石燃料の枯渇や、各国の資源獲得競争の問題があります。現在のわたしたちの生活が、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に大きく依存していて、かつ日本はそれらのほとんどを国外からの輸入に頼っていることはご承知のとおりです。この化石燃料には限りがある一方で、中国やインドなどの新興国が豊かさを求めて化石燃料の消費を急拡大しています。また化石燃料を燃やしてエネルギーに変えると、地球温暖化の原因とされるCO2も大量に発生するという問題もあります。これらは、中長期的には化石燃料の高騰や、化石燃料利用に対するコスト増につながると見られています。
いまの日本では、一定のお金さえ払えば、電気は使いたいだけ使えますし、ガソリンも必要なだけ買うことができます。こんな幸せな状態がいつまでも続いてほしいものですが、その保証はどこにもありません。化石燃料に依存した先進国のエネルギー生活が、大きな見直しを迫られているのです。
今回お話をうかがった、東北大学 環境科学研究科 准教授 古川柳蔵さん
自分が使う電気を自宅で作るという太陽光発電は、こうしたわたしたちの「生活とエネルギーの関係」に一石を投じるものです。けれども、より少ないエネルギーで豊かな生活を続けるためには、太陽光発電システムを設置するだけでなく、さらに自然エネルギーを有効活用したり、省エネルギー化を進めたりと、まだまだわたしたちの生活を変えていく必要があるでしょう。
豊かでありながら、省エネルギーで環境への負担も小さい生活とはどんなものなのでしょうか。そうした未来の生活のために何が必要でしょうか? 「エコラボ」という研究・実証施設を作り、未来の住宅のあり方についてさまざまな研究を行っている東北大学 環境科学研究科におじゃまして、古川柳蔵(ふるかわ りゅうぞう)准教授にお話をうかがってきました。
(聞き手:太陽生活ドットコム編集長 小川誉久)
さまざまな自然エネルギー活用を実践しているエコラボ。
もちろん、屋根にはソーラー・パネル。
エコラボ内にある発電可能なエアロバイク。カゴに取り付けた小さなバッテリにこいで発電した微弱な電気を貯める。
(2010/10/22公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。