2011年7月12日(火) 20時33分 公開
住宅向け太陽光発電システムの設置件数が多い都道府県は? 太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が公表した2010年度の住宅用太陽光発電補助金交付申込受付件数を見ると、愛知県が約1万6000件と2年連続で1位となった(2009年度の愛知県の設置件数は約1万件)。2位は埼玉県で約1万1000件、3位は東京都の約9000件、僅差で福岡県、神奈川県と続く。
愛知県と埼玉県は、持ち家の戸建て数が5位と2位(総務省統計局の「平成20年住宅・土地統計調査」より)と、太陽光発電システムの設置が可能な家がもともと多いことに加え、県内のほとんどの市町村が補助金を支給していることが、両県の設置件数の多さにつながっているものと思われる。埼玉県の補助金を受給した人へのアンケートでも、特に既築住宅の場合、補助金の存在が設置の判断に大きく影響を及ぼしているという結果が出ている。
しかし普及率という点で見ると状況は変わってくる。都道府県別の持家戸建て数(総務省統計局の「平成20年住宅・土地統計調査」の「住宅の所有の関係」の持ち家戸建て数)と、1994年から2010年までの太陽光発電システム設置件数(新エネルギー財団の「年度別・都道府県別住宅用太陽光発電システム導入状況」「2008年度住宅用太陽光発電システム都道府県別販売実績」、J-PECの「住宅用太陽光発電補助金交付申込受付件数」から算出)から、都道府県別の普及率を計算してみると意外な結果が見えてきた。
愛知県は、前述のとおり設置件数は多いものの、普及率では3.9%と全国平均の3.3%より若干高い程度。埼玉県にいたっては、2.9%と全国平均以下となっている。一方、佐賀県や熊本県は6%を超えており、九州地方全体の普及率が高い。九州地方は晴天率が高く、熊本県庁や宮崎県庁が太陽光発電システムの工場・研究施設の誘致に積極的であり、普及にも熱心であることが普及率を押し上げる一因になっていると思われる。
太陽光発電システムの普及はここ数年で急拡大したとはいえ、全国平均の普及率は3.3%でしかない。菅総理大臣が述べた「1000万戸の住宅の屋根にソーラー・パネルを設置する」を実現するには、戸建て住宅の約40%に設置が必要だ。これが現実的な目標かどうかはともかく、街を歩いてみれば、設置に都合のよさそうな戸建て住宅はまだまだ多い。まだまだ普及の余地は十分にありそうだ。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。