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品評#4 リアルタイム電力モニター「はやわかり」

太陽光発電を始めたユーザーにその後の話を聞くと、およそ例外なく「設置以来、積極的に節電するようになった」といいます。

太陽光発電システムをつけると、現在の発電状況と、家での電力消費の状況がリアルタイムにわかる「発電モニタ(→用語解説)」がリビングなどに置かれ、いままでは見えなかった電力消費が「見える化」されるからといわれています。太陽光発電でどれくらい電気を作っているか、表示モニタについつい目がいってしまう。すると発電量とともに、消費電力も見えて、余剰電力が出ているか(売電しているか)、不足分の電気を買っているのか(買電しているのか)がわかります。たくさん売電したいから、電気の節約に積極的になる、というわけです。

太陽光発電システムを設置できる家はよいのですが、資金の問題や、住宅事情(賃貸アパートやマンションに住んでいる、屋根が狭いなど)の問題などで、設置したくてもできない人も少なくないでしょう。でも効率的に、そしてできれば楽しみながら節電はしたい。電力消費を見える化するだけなら、何も太陽光発電システムを設置しなくても、表示モニタだけ付ければよいのではなかろうか。こんなふうに考える人もいるでしょう(何を隠そう、筆者もその一人です)。

こういうニーズに応える電力モニタが、これまでもなかったわけではないようですが、高価だったり、設置が簡単でないなど手軽でなかったりと、なかなか決定版と呼べるものは見当たりませんでした。そんな中で発売されたのが今回ご紹介する「リアルタイム電力モニター『はやわかり』」です。この「はやわかり」は、リーンエナジー社が2011年10月に発売したワイヤレス電力モニタで、価格は9800円と非常に手ごろであり、ユーザーが自分で簡単に設置できる手軽な製品です。通信販売で全国から買えます。今回は、実際に「はやわかり」を購入して、筆者の自宅に設置してみた結果をレポートしましょう。

リアルタイム電力モニター「はやわかり」

リアルタイム電力モニター「はやわかり」
イギリス ツーセーブエナジー社のワイヤレス電力モニター「OWL(オウル)」を日本仕様に変更したもの。パッケージなどはイギリス版そのままに、「日本仕様」のシールが貼られている。価格は9800円。全国から通信販売で購入可能。

まずは取り付け!

パッケージの中身はこんな感じです。

パッケージの中身

パッケージの中身
ブレーカー・ボックスに接続するセンサー(2個)と送信機、送信機からの無線信号を受けて電力消費などを表示する表示モニタが入っている。

センサー

センサー
センサーはこのようにクリップ状になっている。これをブレーカー・ボックス内のケーブルにはさんで、反対側の端子を送信機に接続する。

送信機

送信機
センサー(2個)から送られてきた信号を表示モニタに無線で送信する。単3電池3本で1年間程度動くという。

表示モニタ

表示モニタ
送信機からの信号をキャッチして、現在の消費電力量などの情報を表示する。こちらは単3電池3本で半年間程度動くという。

このようにパッケージの中には、ブレーカー・ボックス内のケーブルに接続して、消費電力を検知するセンサー(2個)と、センサーからの情報を表示モニタに無線送信する送信機、リビングなどに置いて電力消費などを表示する表示モニタが入っています。

取り付け作業を開始する前に、送信機と表示モニタの双方に、付属する単3乾電池3本を入れ、送信機とモニタにあるボタンを押して、機器を同期します。同期が完了すると、以後、無線での通信が可能になります。マニュアルによれば、送信機は電池で1年間利用可能、表示モニタは6カ月間利用可能とあります。電池駆動と知って、「電池交換が頻繁だったらいやだな」と心配しましたが、これだけもってくれれば、電池の交換はそれほど負担にはならないでしょう。

取り付け方法はいたって簡単で、自分で取り付け可能です。まずは、ブレーカー・ボックスのフタを開けます。すると、いくつものスイッチが並んでいますが、この中から「30A」とか、「50A」などと表記されているボックスを見つけます。これは、電力会社が設置したブレーカーで、30Aなどの数字は契約アンペア数を表しています。通常、このブレーカーの上側のケーブルは外の電線からきているもので、下側ケーブルが家の中の各部屋に分配されています。このうち下側のケーブルの両側にある赤いケーブルと、黒いケーブルに、「はやわかり」のセンサーをそれぞれ取り付けます(安全のため、作業はブレーカーをオフにしてから行います)。すでに紹介した写真でわかるように、センサーのクリップ部分が開くようになっているので、これを下の写真のように、ケーブルにはさんで止めます。

次に送信機にセンサーのケーブルを接続します。センサーのケーブルはけっこう長いので、送信機はブレーカー・ボックスの外に出して、壁に固定することも可能です(そのためのケースも付属しています)。ブレーカー・ボックスへの取り付けは以上で完了です。ブレーカー・ボックスのフタを閉めます。

センサーと送信機のブレーカー・ボックスへの取り付け

センサーと送信機のブレーカー・ボックスへの取り付け
センサーをブレーカーの2本のケーブルに接続し、それを送信機に接続する。

次は表示モニタの設定です。マニュアルの指示に従って、現在日時、電気の料金単価などを設定します。設定は少々面倒なのですが、設定変更は手元のモニタでいつでもできるので、まずは最低限の設定だけ行って(ほとんどは初期設定のままで使えます)、勝手がわかってきたら詳しく設定する方法をお勧めします。

以上で「はやわかり」の取り付けは完了です。ものの10分もあれば、だれでも作業できるでしょう。

モニタでは、現在の消費電力量、CO2排出量、消費金額を確認できるが…

送信機からの信号は、直線距離で5メートルまで送信可能とマニュアルにあります。つまり表示モニタは、ブレーカー・ボックスから直線距離で5m以内に置く必要があるわけです。わが家の場合、ブレーカー・ボックスは風呂の脱衣所の上にあって、居間はここからすぐ隣接したところあるので、居間のどこに置いてもまったく問題なく表示できていましたが、広い家で、ブレーカー・ボックスが遠くにある場合には、表示モニタの設置場所が制限されるかもしれません。

モニタでは、現在の消費電力量(kW)、1時間あたりのCO2排出量(kg)、1時間あたりの消費金額(円)を切り替えて、それぞれリアルタイムに表示できます。

まずは現在の消費電力量を表示してみましょう。

現在の消費電力の表示

現在の消費電力の表示
現在の消費電力は0.805kW(805W)、計測開始からこれまでに22.748kWhの電気を使ったことを示している。電気を大量消費する機器(掃除機とか)を使うと、数値が一挙に跳ね上がって戦慄が走る。

次にCO2排出量を表示してみます。

現在のCO<sub>2</sub>排出量の表示

現在のCO2排出量の表示
現在のCO2排出量は1時間あたり0.354kg、計測開始からこれまでに10.009kgのCO2を排出した。でも、10.009kgのCO2ってのは多いのか少ないのか、ぜんぜんピンとこない…。イギリスの人はピンとくるんでしょうか?

そして消費金額。

現在の消費金額の表示

現在の消費金額の表示
現在の電気代の消費金額は、1時間あたり20.13円、計測開始からこれまでに568.71円の電気を使った。あら、1時間で20.13円しか使ってないの、安いじゃない? と、一瞬思ってしまう。

このようにいろんな情報を表示できて高機能なのですが、正直いって、CO2排出量が0.354kgといわれても、まったくピンときません。専門家はピンとくるんでしょうか。機能として存在することは否定しませんが、ほとんどのみなさんにとっては不要ではないかなと思いました。

CO2排出量と違って、消費金額のほうはお金のことなので大いに気になるわけですが、「いま、あなたは1時間あたり20.13円電気を使っている」といわれても、なんだかやっぱりピンときませんね。右下の「累積電気料金」のほうは毎月の電気料金に近いわけで、わかりやすいわけですが、残念ながらこの値は必ずしも正確ではありません。日本の電気料金は、消費する電気の量に応じて、単価が変わるようになっています(たくさん使うほど高額になる)。これは、オール電化住宅などが契約する夜間電力メニューでも同様です。「はやわかり」は、時間帯別の単価変動には対応しているので、夜間電力単価と昼間の電力単価を切り替えることは可能ですが、従量変動には対応していないのと、基本料金(ブレーカーの契約によって異なる)の違いも設定できないので、料金を厳密に表示することはできません。消費金額の表示については、あくまで参考程度として考えたほうがよいでしょう。

ということで、ほとんどの人は、基本、消費電力量(kW)を表示しっぱなしにして、たまに累積の消費金額をチェックする、という使い方になるんじゃないかと思います。

モニタ表示に戦々恐々!?

さっそく表示モニタをリビングのソファから見やすい場所に置いての生活を始めました。いやあ、いろんなことがわかりますね。

わが家は東京の多摩地域にある3LDKの一戸建てです。4人家族で、私と妻、大学生の子供が二人という構成です。子供はそれぞれ自分の部屋があって、夕食が終わると、リビングでテレビを観る以外には、自分の部屋に入りびたります(インターネットなどで遊んでいるようです)。毎月の電気代はかなり高めで、2010年と2011年の実データを公開すると次ようになっています(当社運営のエネル簿で登録した実データより)。

筆者の2010年、2011年の電気代

筆者の2010年、2011年の電気代
すべて実データ。2010年の夏場が異常に高いのは、猛暑の影響と、子供たち無責任連合がエアコンをつけたまま昼寝をするなど、放蕩のかぎりをつくしたため(と想像している)。

ご覧のとおり、2010年の年間の電気代は何と13万以上で、月に2万円近い電気代を払った月があります。2010年の夏場が異常に高かったのは、猛暑の影響と、夏休みで家にいる子供たちが、自分の部屋のエアコンを好きなだけ使ったからだと考えています(さすがに、震災後の2011年の夏は心を入れ替えて節約したようです)。エネル簿でほかの家庭と比較してみると、2011年で最も成績が悪かったのは7月で、全国2845世帯中の2603位、省エネ偏差値39.5でした……(エネル簿調べ)。恥ずかしながら、典型的な電気の無駄遣い家族といっていいでしょう。

こんなわが家で、暖房器具などを使わず、子供たちも部屋で特別な電気機器を使わなければ、消費電力はおおよそ300~500W前後だとわかりました。その状態で、試しにオーブントースター(1200W)を点けてみると、モニタの表示が一気に1500Wを超えました。「はやわかり」のセンサは、ケーブルの外側からクリップで計測するということで、精度はどうなのかと、設置する前は少し心配だったのですが、けっこう正確な数値が表示されているのではないかと思いました。

ただし、トースターを点けてから、「はやわかり」のモニタの数値が跳ね上がるまでには、数秒程度のずれがありました。マニュアルを見ると、モニタのデータ表示は「電流変動後6秒、無変動時は60秒ごとに更新」とあります。ユーザーの気持ちとしては、すぐに反応してもらいたいところですが、そういうものだとわかってしまえば、実用上はまったく問題ありません。

この原稿を書いているのは11月の終わりで、ちょうど寒くなって暖房器具を使い始めるところでした。わが家のリビングの暖房は、寒さが厳しくないこのくらいの季節にはエアコンを使い、寒さが厳しくなるとパワフルなガスストーブを使っています。子供部屋は電気ストーブです。とある寒い夜にふとモニタを見ると、2000Wを超えているではありませんか! リビングでの暖房に加え、子供たちも部屋の暖房を入れたからでしょう。やはり、冷暖房にかかる電気料金は大きいなぁと実感しました。

前述のトースターとか、電子レンジ、掃除機なども電気食いではありますが、これらを使う時間は限られているので、モニタの表示がドドーンと上がったときには戦慄が走るんですが、消費電力量という意味ではたいしたことはないと思います。とはいえ、消費電力の大きい機器を点けるときは、影響の小さそうな機器をあらかじめ消すようになったりしました(一時的かもしれませんが)。

どうでもいい話ですが、ゲーム機のXboxは電気食いますね。スイッチを入れると、すごい勢いで冷却ファンが回るので、だいぶ電気を食っているだろうとはうすうす感じていましたが、モニタで確認すると、200W近く使っているようでした。夜のゲームはほどほどにしようと思いました(息子の部屋にもXboxがあるので、厳重注意しときました)。

先に紹介したとおり、表示モニタでは、CO2排出量や、電気の消費金額なども切り替え表示できるのですが、どちらの数字を見てもピンとこないので、もっぱら電力量(W)を表示する状態になっています。この状態で、生活時間帯とか、気温の影響が、消費電力量にどう表れるのか、継続的にチェックし続けるのがよいと思います。

妻の反応は……

毎月、電気料金の明細書が届くたびに「電気料金が高い」と不平をいう妻ですから、モニタを設置したら、放っておいても関心を持ってもらえると期待していたんですが、実際はいまひとつの反応です。写真からわかるとおり、「はやわかり」の表示モニタは、ボタンの数も多く、表示もシンプルな数字のみで、あまり遊び心は感じないデザインになっています。私の妻の印象を一言でいえば、「マニアっぽく、あまり自分が使うものとは思えない」でした。

確かに、これに比べると、太陽光発電システムの発電モニタは、イラストによるアニメーション表示などがふんだんに使われていて、遊び心満載ですよね。筆者自身は「子供だましの遊びなどいらいないのでは」と思っていたのですが、女性や子供が楽しんで使うという意味では、大切なことなのかもしれないと思いなおしました。

それともう1つ。太陽光発電ユーザーが節電に熱心になるのは、発電モニタで消費電力が「見える化」されるということもありますが、「自分で作った電気を大切に使いたい」という気持ちも強いからだろうなと、「はやわかり」のモニタに冷ややかな視線を送る妻を見ていて思いました。家庭菜園で自分で作った野菜は、大切に食べますよね。それと同じで、太陽光発電で自分で作った電気は、できるだけ大切に使いたいと思うのではないでしょうか(もちろん、たくさん売電すれば収入が増えるという直接的な理由もありますが)。「はやわかり」で消費電力の見える化は実現しますが、使っているのはどのみち「買ってくる電気」であって、このあたりの違いが節電モチベーションの違いにつながるのではないかなぁ、などと漠然と思った次第です。

「はやわかり」の表示モニタには、USBのコネクタがついていて、パソコンと接続して、計測データをパソコン側で管理することも可能です。このためのソフトウェアも付属しています。ただし今回は時間の関係でテストできませんでした。チャンスがあれば、別の回にご紹介しようと思います。

消費電力を見える化しましょう!

期待が大きいだけに、改善余地についても指摘させてもらいましたが、1万円弱で買えて取り付けも簡単で、けっこう正確な消費電力を見える化できる「はやわかり」は、ぜひとも多くの人に使ってもらいたい一品です。表示モニタを見やすいところに置いて、生活と消費電力の関係を監視し続ければ、効果が大きい節電のポイントとか、注意すべき家電製品、よい生活スタイル、悪い生活スタイルなんかが見えてくると思います。ぜひともお試しください。

リアルタイム電力モイター「はやわかり」
価格 9800円(税込) Amazon.co.jpで「はやわかり」を購入する
送料 全国一律525円(3台以上購入の場合には無料)
問い合わせ先 株式会社リーンエナジー(ホームページ

《太陽生活ドットコム 小川》

(2011/11/24 公開)

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