太陽生活 > Special > PV EXPO 2013レポート

 2013年2月27日から3月1日の3日間にわたり、東京ビックサイト(東京国際展示場)にて「PV EXPO 2013 第6回 国際太陽電池展」が開催されました。「第4回 太陽光発電システム施工展」「第3回 エコハウス&エコビルディングEXPO」「第3回 国際 スマートグリッド EXPO」などの関連展示会が併設されたこともあり、主催のリード エグジビジョン ジャパンの発表によれば、3日間で7万6340名もの来場者があったということです。

 昨年のPV EXPO 2012と同様、「再生可能エネルギーの買取に関する特別措置法案(再生エネルギー特措法)」が2012年7月1日に施行されたということもあり、産業向けのソーラー・パネルの展示が多く見られました。また海外メーカーの新規参入も見られ、2013年度も引き続き、日本のメガソーラー市場に世界中から注目が集まりそうです。一方、住宅向けは、新製品や参考出品が少なく、若干盛り上がりにかけた展示内容となっていました。

本記事では、国内で住宅向けにパネルを販売している主だったメーカーの展示内容などを順不同で紹介します。

パナソニック

 パナソニックは、24.7%の変換効率を実現したHIT太陽電池セル(2月12日に発表)を展示。残念ながら撮影禁止ということで、セルの写真などはお見せできませんが、表面の透明電極の光透過率の改善などにより、24.7%という高い変換効率が実現できたということです。説明員によれば、「透明電極の光透過率については、まだまだ改善の余地があり、より高い変換効率の実現を目指して開発を続ける」と述べていました。また、このセル自体を量産化する計画はないものの、開発した高効率化技術を量産品に適用していくそうです。

 これまでパナソニックは、HIT太陽電池のほかに、多結晶シリコン型ソーラー・パネルもラインアップしていましたが、これについては2013年3月末で販売を終了するということです。その後、多結晶シリコン型ソーラー・パネルの販売を行うかどうかは未定だそうです。実は、パナソニックの現在の多結晶シリコン型ソーラー・パネルは、2013年2月に倒産してしまったYOCASOLから供給を受けていたものです。倒産により、供給を受けられなくなったことから、販売を終了するようです。保証については、パナソニックが引き続き実施し、故障などの対応は責任をもって行うとしています。

シャープ

 シャープは、次世代BLACKSOLARを参考展示。単結晶シリコンの表面にアモルファス・シリコン層を形成することで22.3%という高いセル変換効率を実現しています。単結晶シリコンの表面にアモルファス・シリコン層を形成するのは、三洋電機(パナソニック)のHIT太陽電池と同じ構造です。シャープの説明員によると、この太陽電池構造の基本特許が切れたことから採用が可能になったとのこと。現在、量産に向けた研究・開発を行っており、近い将来に製品化される予定だそうです。

シャープの次世代BLACKSOLAR

シャープの次世代BLACKSOLAR

京セラ

京セラとしては初の屋外設置型パワーコンディショナー「エコノラインRX」を出展。住宅用としては中規模の定格出力4.5kWで、賃貸住宅向けにも提供していくということです。

京セラの屋外設置型パワーコンディショナー「エコノラインRX」

京セラの屋外設置型パワーコンディショナー「エコノラインRX」

カネカ

 カネカは、2012年9月に発表した、反射光の眩しさを抑えたソーラー・パネル「防眩(ぼうげん)モジュール」を展示、今春から「VISOLA」のラインアップで販売を開始するということです。太陽光発電の普及にともない、ソーラー・パネルの反射光による近隣住宅への光害が問題となっていることから、防眩処理を施したパネルに対する要望が高まっているとの説明でした。

カネカの防眩仕様の「VISOLA」

カネカの防眩仕様の「VISOLA」


サンテックパワージャパン

 サンテックパワージャパンは、スリムタイプ(細長い形状)のソーラー・パネル「ldb」を参考出品しました。スリムタイプのソーラー・パネルは、屋根の面積を有効利用したいという要望から三菱電機もラインアップしており、今後、各社での採用が拡大しそうです。

サンテックパワージャパンのスリムタイプ・ソーラー・パネル「ldb」

サンテックパワージャパンのスリムタイプ・ソーラー・パネル「ldb」

カナディアン・ソーラー

 カナディアン・ソーラーは、新製品の「BLACK Xシリーズ」の「CS6A-MMシリーズ」などを展示していました。BLACK Xシリーズは、セル表面に放射状に形成した「Xグリッドパターン」と呼ぶグリッド・パターンと、配線をセルの表面から背面に移すバックコンタクトを採用しているのが特徴です。これらにより、21.1%という高いセル変換効率を実現しています。

カナディアン・ソーラーの「CS6A-MMシリーズ」

カナディアン・ソーラーの「CS6A-MMシリーズ」

エスパワー

 エスパワーは、塩水の入った小さなプールに塩害対応のソーラー・パネルを漬けて展示するなど塩害や積雪への対応をアピールする展示内容でした。海に囲まれ、多くの人口が沿岸部にある日本では、日照条件では太陽光発電に適していても、塩害の問題から設置できないケースなども少なくありません。また設置可能なケースでも、海に近い地域では、腐食による経年劣化が心配されますが、塩害対応を十分に行ったパネルなら安心できます。

エスパワーの塩害対応パネル

エスパワーの塩害対応パネル

ソーラーフロンティア

 ソーラーフロンティアは、カドミウムを含まない薄膜太陽電池セルで、変換効率19.7%を達成したセルを展示していました。また屋根への取付金具やパネルの固定部品を削減することで効率よく施行できるという「クロスワン工法(仮称)」をデモンストレーションしていました。クロスワン工法によって、施行時間が従来の工法と比べて約40%削減できるということでした。

ソーラーフロンティアのカドミウム・フリーの薄膜太陽電池セル

ソーラーフロンティアのカドミウム・フリーの薄膜太陽電池セル

三菱電機

 三菱電機は、併設のスマートグリッドEXPO側で、2012年4月に発売した「マルチルーフ」シリーズや、ソーラー・パネルの裏側に「プロテクションバー」を設けることで積雪地域に対応したソーラー・パネルなどを展示していました。

三菱電機の「マルチルーフ」シリーズ

三菱電機の「マルチルーフ」シリーズ


オムロン

 オムロンは、屋外設置型パワーコンディショナ「KP□Mシリーズ」を展示。定格容量4.4kWと5.5kWの2モデルをラインアップするということです。自然空冷方式を採用しており、29dBと高い静音性を実現しています。オムロンは、多くのソーラー・パネル・ベンダにパワーコンディショナを供給していることから、今後、各社からこのモデルがラインアップされると思われます。

オムロンの屋外設置型パワーコンディショナ「KP□Mシリーズ」

オムロンの屋外設置型パワーコンディショナ「KP□Mシリーズ」

(2013/3/8 公開)

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