ガスから電気を作り、発電時の排熱を有効利用して給湯に使う機器の愛称。一般名称は「家庭用燃料電池コージェネレーション・システム」と呼ばれます。
ガス会社から供給されるガスから水素を取り出して空気中の酸素と反応させて電気を作り、この発電時に出る排熱でお湯をわかします。作った電気は家庭にある電気機器で使用し、排熱でわかしたお湯はタンクに貯めておき、給湯に使用します。排熱を無駄なく給湯に利用できることから、エネルギーの利用効率が高く、結果としてよりクリーンなエネルギー源になります。
名前からわかるとおり、発電の原理は燃料電池です。燃料電池のしくみについては別の用語解説を参照してください。写真は、東京ガスが販売するパナソニック製エネファームです。
エネファームの現在の価格は350万円程度です(2010年1月現在)。設置時には国などから補助金を受給できますが、200万円強の負担が必要で、コスト負担は小さくありません。また燃料電池ユニットと貯湯ユニットの2つを設置する必要があり、幅約3.3m×奥行き約1.2mの設置スペースが必要となります。ガス会社各社や、エネファーム機器を製造するメーカーは、機器の小型化と低価格化を進めており、数年内には大幅な価格低下が実現するものと期待されています。
エネファームの内部を見てみましょう。最初に燃料電池ユニット(上の写真の左側のボックス)にある燃料処理装置にガスが送り込まれます。この燃料処理装置では、ガスの成分から水素(H2)を取り出します。次の水素による発電時にはCO2は発生しませんが、ガスから水素を取り出す過程ではCO2が発生します。
ガスから取り出された水素は、発電を行う燃料電池スタックに送られます。燃料電池スタックは、水素と空気中の酸素を燃料電池の原理で反応させて電気を発生させます。このとき、反応した水素と酸素は水になります。
発電された電気は、家庭の電気機器で使用します。現在販売されているエネファームの発電能力は、750W~1kW(1000W)です。太陽光発電システムの最大出力と比較すると(住宅向け平均で3.5kW程度)、発電能力それほど大きいとはいえません。
燃料電池スタックで水素と酸素を反応させたときに熱が発生します。エネファームでは、この熱を使ってお湯をわかし、貯湯タンクにためて給湯で使用します。貯湯タンクがいっぱいになると、発電は止まり、ガスは消費されなくなります。
エネファームと太陽光発電を同時に設置して、双方で発電することはW発電(ダブル発電)(→用語解説)と呼ばれます。太陽光発電だけでなく、ガスからも同時に発電できるので、より多くの電気を余剰電力として売電できるようになります。
ただし、高額な機器を設置できる余裕のあるユーザーを優遇する結果にならないようにと、W発電時の余剰電力買取価格は、太陽光発電単独時の48円/kWhではなく、39円/kWhと低く設定されています。これに対し東京ガスや大阪ガスは、エネファームの普及を後押しするため、W発電で低く設定された余剰電力買取単価分を実質的に肩代わりして支払う施策を実施しています(→関連記事)。これにより、W発電時、電力会社への売電価格は38円/kWhになりますが、エネファーム ユーザーは、東京ガスの場合で10円/kWh、大阪ガスの場合で9円/kWhをそれぞれガス会社から受け取れます。
(2010/2/5公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。