太陽光発電システムを設置するときに受給できる補助金には、国、都道府県、市区町村からの3種類があります。都道府県や市区町村は、自治体によって補助金がある場合、ない場合がありますが、補助金があるときには、これら3種類をそれぞれ加算して受け取ることができます。
都道府県の補助金、市区町村の補助金については、お住まいの場所によって、支給を受けられる場合と、受けられない場合があります。また補助金支給がある場合でも、支給条件や金額などはそれぞれの自治体で異なります。
以下では、補助金予算があれば全員が受け取れる国の補助金について説明します。
住宅にソーラー・パネルを設置したときにもらえる国の補助金は、設置するソーラー・パネルの最大出力(kW)に補助金単価を掛け算して算出します。このため、より多くのソーラー・パネルを設置して、出力が大きくなればなるほど、受け取れる補助金も増えます(当然ながら、パネルが増えれば、設置にかかる全体費用も増えます)。ただし設置するパネルの最大出力は10kW未満でなければなりません。これを超えてパネルを設置した場合には、住宅を対象とする補助金の対象外になってしまいます。住宅向けソーラー・パネルの平均出力は、1軒あたり4kW程度といわれていますから、10kWというのは平均的な家屋の倍以上ということになり、特別なケースになるでしょう。一般的な住宅で、普通に設置したときには、10kWを超えることはまずありません。
2011年度まで、補助金の単価は1種類だったのですが、2012年度(平成24年度)からは、設置費用の高低によって2段階の単価が適用されることになりました。具体的には、ソーラー・パネル 1kWあたりの設置費用が47.5万円以下なら3.5万円/kW、55万円以下なら3万円/kWです。
設置費用が高額なほうが、もらえる補助金が少なくなるということになっています。普通に考えると逆のような気がしますが、太陽光発電の普及を促すためには設置費用のいっそうの低減が必要であり、ソーラー・パネル・メーカーや設置工事業者にさらなるコストダウンを促すために、このような方式になったようです。設置費用が安いほうが、補助金が増えるとなれば、消費者はより安価なほうを選びやすくなるからです。
設置費用のキロワット単価が55万円を超えるものについては、補助金対象外になってしまうので注意が必要です。通常は設置工事業者がきちんと対応して、見積もり時点で補助金をもらえるような構成にしてくれるはずですが、念のため消費者としても知っておく必要があるでしょう。よほど特殊なケースでなければ補助金がもらえないということはありませんから、業者が「補助金はもらえない」などと説明した場合は、徹底的に理由を問いただしてください。信用できないようであれば、別の業者に相談することをお勧めします。
設置するソーラー・パネルの出力と設置費用、補助金単価の関係をグラフにすると次のようになります。
たとえば全国平均の4kWのソーラー・パネルを設置するとすれば、設置費用が190万円を超えて220万円以下なら補助金単価は3万円/kWとなり、全体では3万円×4kW=12万円の補助金を受け取れます。一方、設置費用が190万円以下なら、単価は3.5万円となり、全体では3.5万円×4kW=14万円と、もらえる補助金が2万円増えます。
ここまで読んで、普通に考えれば、「安く設置したほうが補助金も多いなら、いいことずくめだ。高いほうを選ぶ人などいるのか?」と思うかもしれません。確かに、少しでも安く設置したい、少しでも多く補助金をもらいたいというのは人情ですが、それだけでソーラー・パネル・メーカーや設置業者を決めるのは得策とはいえません。
先の計算例でもあったとおり、補助金単価が高いといっても、キロワットあたりの違いは5000円でしかなく、全国平均の4kWを設置した場合でも、受け取れる補助金の差はたかだか2万円でしかありません。ここで考えてほしいのは、「ソーラー・パネルというのは、数百万円の設置費用を、10~15年かけて太陽光発電して、少しずつ費用を回収していくものだ」ということです。変換効率の高いソーラー・パネルは、同じ面積で同じ日射を受けたとき、変換効率が劣るパネルよりも多くの電気を作ります(したがって売電で得られる利益も増えます)。ここでは詳しくは述べませんが、この変換効率だけでなく、ソーラー・パネルの経年劣化に対する耐性などはパネルによって違います。また設置業者にしても、工事費用は安いが、アフターサービスが貧弱というところもあるでしょう。安さばかりで選ぶのではなく、15年しっかり発電して費用を回収するために、適切な製品か、業者かを見極める必要があります。
(2012/7/17 更新)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。