太陽光発電モジュール(パネル)(→用語解説)の出力性能を一定期間にわたって保証し、何らかの理由から規定よりもモジュールの発電性能が低下したときには、メーカーが自身の責任で、問題があったモジュールの修理や交換に応じるサービスのことです。
太陽光発電システムは高価な買い物ですが、条件さえ整っていれば、設置後の光熱費の削減、売電による収入などにより、10年~15年程度で初期投資を回収できるともいわれています。しかしこれはもちろん、当面の間は大きな故障がなく使え、かつ年数が経っても発電性能が目立って落ちたりしない、という前提での話です。
これから太陽光発電システムを購入しようとする消費者の多くが抱く心配の1つは、「太陽光発電システムは10年、20年もつというが、本当に大きな故障なく使えるのか? 修理やメンテナンスにお金がかかるのではないか?」「年数が経つと、だんだん発電性能が落ちてくるのではないか?」ということです。
こうした消費者の不安を取り除いて、安心してシステムの購入に踏み切ってもらうために、ほとんどの太陽光発電システムのメーカーが提供しているサービスがモジュール出力保証です。具体的な保証の内容はメーカーによって異なる可能性がありますから、個別の条件については購入を検討しているメーカーのものを確認する必要があります。一般的には、発電モジュールの公称最大出力値(マニュアルなどに記載されている最大出力の値)に対し、メーカーが決めた計算式を当てはめて保証の基準となる出力値を決めて、出力テストの結果がそれ以下(未満)だったら、メーカーが無料でモジュールの修理や交換に応じてくれます。
保証の基準となる出力値の求め方で一般的なのは、マニュアルに記載されているモジュールの公称最大出力値に一定の割合をかけて「最大出力の下限」という値を求め、さらにこの「最大出力の下限」に一定の割合をかけた値を基準値とする方法です。例えばシャープの保証の説明では、「太陽電池モジュールの出力は、最大出力の下限値(公称最大出力の90%)の90%までを10年保証します」とあります。つまり公称最大出力の90%を「最大出力の下限」とし、さらにその90%を「保証の基準値」にするということです。簡単にいえば、この場合は公称最大出力値に 0.9 × 0.9 = 0.81 を乗算した値が保証の基準値になります。保証条件がこの内容で、モジュールの公称最大出力値が仮に200Wだったとすると、「保証の基準値」は以下のとおり162Wとなります。
と、ここまで読むと、ふむふむと読めてしまうのですが、実際にモジュール出力保証のサービスを利用するのはそれほど簡単なことではありません。まず、「マニュアル上の最大値」とありますが、通常の運用でも、このマニュアル上の最大値いっぱいまで常に発電するというわけではありません。なぜなら、実際の発電量は、その日の日照などの条件によって変化するからです。前記で紹介したモジュール出力保証の計算は、あくまで特別な計測機器を使ってモジュールの性能を評価して初めてわかるもので、普段の運用で、屋根の上にあるパネルが何パーセントの割合で出力しているのかなどわかりません。つまり、よく注意して使っていないと、「なんとなく出力が少ない」という程度の話になってしまって、それが本当は出力保証を受けられる問題なのか、外部的な要因(日照がよくないなど)なのか簡単には判断がつきません。
こうした問題に敏感になるには、日ごろから、自分が所有する発電モジュールの性能値を記録しておくしかありません。きちんと記録したところで、発電量がお日様まかせであることは同じですから、たとえ「1年前と比較して少ない」としても、それがモジュールの障害によるものかどうかはすぐには特定できません。しかし記録があれば、発電量の継続的な減少を数値で追跡できますし、メーカーに問い合わせるときにも具体的な数字を提示できます。「なんとなく少ない気がする」というより、「この数字はどう見てもおかしい」というほうが、ずっと説得力があります。
発電量は、パワーコンディショナ(→用語解説)や電力モニタ(→用語解説)を使って確認できるはずです。例えば毎月の月末や月初に、1カ月分の発電量をチェックして記録しておくとよいでしょう。
(2010/5/15 更新)
更新履歴
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。