結果としてそのようなことになる場合がありますが、どのメーカーならたくさんもらえて、どのメーカーだと少ない、ということではありません。どうしてそういうことが起こるのか、順を追って説明しましょう。
まず、国の補助金を例にとります。国の補助金は、「設置するソーラー・パネルの最大出力数(kW)×7万円」で計算されます(ただし10kW以下。平成22年度補助金の場合)。都道府県や市区町村の補助金については、自治体によって算出方法はまちまちですが、国の方式と同様に、最大出力数(kW)に単価をかけて補助金額を計算する場合が多いようです。
つまり、搭載するパネルの最大出力数が大きいほど、より多くの補助金をもらえるということになります。そして同じ屋根でも、設置するパネルのメーカーや製品によって、この最大出力数が変わる場合があるのです。具体的には、メーカーが販売しているパネルの変換効率とパネルのサイズ(大きさ)やバリエーションなどによってこれが変わります。
変換効率(→ 用語解説)は、一定の面積のパネルに、一定の強さの光が当たったときに、どれだけたくさんの電気を作れるかというパネル性能の1つです。変換効率が高いものほど、同一条件でより多くの電気を作ることができます。計算方法については用語解説を参照してください。
この変換効率は、製品ごとに変わります。変換効率が高い製品のほうがよいのですが、その分、一般にそうでないものより価格は高くなります。これらの関係については、別稿の [製品比較]太陽光発電モジュール(2010年4月版)をご覧ください。
前記のページの「基本仕様」の表の「変換効率」に注目してみましょう。下は10%程度から、上は17%程度まであることがわかります。表中の「変換効率」の数値は、メーカーが公表している値なので、メーカーが値を公表していない場合は「未公表」になっています。しかし実際は、その左隣にある「出力/面積」の値と「変換効率」の値が一致していることに気づきます。「出力/面積」の値に注目すれば、ほぼ全製品の変換効率がわかります。
次に、「ワット単価」の値に注目してみてください。変換効率が優れたものは、この単価が高額であることがわかります。当然といえば当然ですが、変換効率が大きいパネルは、価格も高いということです。
変換効率が高いパネルを設置すれば、同じ面積でも最大出力数(kW)は大きくなります。最大出力数に応じて補助金を計算する場合は、より多くの補助金をもらえることになります。
もう1つのポイントは、パネルのサイズとバリエーションです。先ほどの [製品比較]太陽光発電モジュール(2010年4月版)の下のほうにある「モジュール・サイズ比較(約1/50スケール)」をご覧ください。これは、各社が販売しているパネルの大きさをだいたい50分の1のサイズで描いたものです。メーカーごとにパネルのサイズがまちまちであること、さまざまな形のパネル・ラインアップを持つメーカーもあれば、バリエーションに乏しいメーカーもあることがわかります。
ここで簡単な例を考えてみます。実際にはここまで極端な話にはならないと思いますが、説明をわかりやすくするために極端な例を使います。
とある屋根に、とあるパネルを設置するとします。下の図の、緑の線の四角形が屋根、青く塗りつぶされた四角形がパネルだとします。この場合、1枚のパネルを置いても、屋根にはかなりのスペースが残るのですが、同じ大きさのパネルを2枚置けるかというとそれはできません。メーカーが大きなパネルしか提供していない場合、このようなことが起こりえます。
一方、比較的小さなパネルが使えるとしたらどうなるでしょうか。小さいサイズのパネルや、さまざまな形状のパネルが使えるのであれば、屋根のスペースに応じて、できるだけ無駄がないようにパネルを配置できます。
前に説明した変換効率の問題もありますが、一般論としていえば、サイズや形状のバリエーションが豊富なメーカーのパネルを使ったほうが、屋根のスペースを有効に活用して、搭載可能なパネルの最大出力を大きくすることが容易になります。繰り返しになりますが、最大出力が大きくなれば、それだけ補助金の額も大きくなります。
ここで注意しておきたいのは、設置工事業者によって、取り扱っているパネルのメーカーが異なる場合があることです。仮にA社製品のパネルがあなたの家にとって最適だったとしても、工事を依頼した業者がA社製品を扱わない場合があるのです。この問題を避けて、自分の家に適したメーカー製品を選ぶには、できるだけ多くのメーカー製品を扱っている業者を選ぶか、異なるメーカー製品を使った場合の合い見積もり(→用語解説)をとって比較することです。
(2010/6/4 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。