通常、ソーラー・パネルは、すでにある屋根の上に架台(かだい:→用語解説)と呼ばれる取り付け用のフレームを設置して、そこに取り付けていきます。既築住宅の屋根に後からソーラー・パネルを設置する場合はこの方式になりますし、新築であってもこの方法で取り付けることが多いです。写真で見るとこんな感じです。
通常のソーラー・パネルの取り付け
屋根の上に架台と呼ばれるフレームを固定し、そこにパネルを取り付ける。
この通常型のパネルとは別に、「建材一体型」と呼ばれるパネルがあります。次のようなものです。
建材一体型のソーラー・パネル
屋根材とソーラー・パネルが一体となっている。遠くから見たら、ソーラー・パネルかどうかはわからない。
このように建材一体型のソーラー・パネルは、瓦などの屋根材とソーラー・パネルが一体化されています。成り立ちからいって、通常、既築住宅にパネルを追加設置するときには使えませんが、新築住宅を建築するときには、通常のパネルか、建材一体型かを選択することができます。
これらにはどんな違いがあるのでしょうか。通常のパネル、建材一体型パネルの長所/短所をまとめると次のようになります。
長所 | 短所 | |
通常のパネル |
|
|
建材一体型パネル |
|
|
通常のパネルと建材一体型の長所と短所
通常のパネルの第一の利点は、メーカーや機種が豊富で、パネル選択の幅が広いことです。さまざまな種類の製品から、屋根の形状と大きさにあったパネルを選ぶことができます。
一般的な結晶型のソーラー・パネルは、高温になると発電効率が下がるという欠点があります。このため日差しが一番強い夏場(7月~8月)よりも、ある程度日差しがありながら比較的涼しい初夏(5月~6月)のほうが、発電量が増える傾向があります(→関連記事)。この点、通常のパネル設置では、屋根とパネルの間にある程度の空間があるため、夏場でも熱がこもりにくく(逃げやすく)、発電効率が低下しにくいという利点があります。また通常のパネルは屋根の上に追加的に設置するので、点検なども比較的しやすく、交換も容易です。
一方、欠点は屋根の上に追加するため、場合によっては美観を損ねる可能性がある点です。ただし各メーカーもこの問題はよく承知しており、できるだけ見映えを損なわない設置が可能なように、架台やパネルの形状、色などを工夫しています。すでに設置した家などを見ても、それほど気にならないケースのほうが多いでしょう。
一方、欠点は建材一体型ではパネルと屋根の空間が小さいため(であればこそ美観はよいのです)、熱がこもって逃げにくく、夏場などは通常のパネルよりも発電効率が落ちる可能性があることでしょう。また建材一体型では結線個所が多く、それだけ故障の原因が増えるという指摘もあります(もちろん、しっかり施工されていれば、重大な問題にはなりません)。
それから注意すべきは、点検や、万一の故障時の交換などが通常のパネルほど簡単でないことです。別の記事(→関連記事)で説明しているとおり、ソーラー・パネルも故障します。できるだけたくさん発電して、短期間で初期費用を回収するには、定期的な点検が欠かせません。何もなければいいのですが、何かあったときの対応は、通常のパネルよりも手間がかかると知っておく必要があります。
(2010/12/3 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。