自転車専用レーンが整備されているコペンハーゲンがある環境先進国のデンマーク。海へと目を移せばたくさんの風車が回っています。これが世界的にも大規模な洋上風力発電、ミドルグロン洋上風力発電です。この風車、うち10基は市民風車という市民が投資をして建設したもの。デンマークではこういった風車のほかにも個人で風車を所有する、マイ風車もあります。この建設費用の一部は国から補助金が出され、発電した電気の余剰分は電力会社へ販売します。日本の太陽光発電の政策と似ていますが、先進的にこういった政策が進められ電力の28%を風力でまかなっていて、原発はゼロです。
こんなデンマークですが、以前はエネルギー自給率が2%しかなく、1973年のオイルショックでは深刻なダメージ受けました。政府はエネルギー自給率を上げるため、原子力発電の建設を検討しましたが国民の激しい反対により、1985年同政府は原子力発電所の建設を一切行わないことを議決。代わって風力発電に力を注ぎ現在に至ります。
うらやましいこのストーリー。でも日本がそのまま真似ることは簡単ではなさそうです。日本で風車を建設すると低周波や騒音による問題が上りますが、デンマークでは農場など民家から離れた場所に建設されることが多く、家屋も防寒のためもともと壁の厚さが40cm以上あるため、こういった問題にはなりにくいようです。日本の文化や風土に陸上風車はそぐわないのかもしれません。それなら洋上風力発電はというと、こちらも日本で盛んな漁業に影響が出ることや、日本の特有である台風の影響も考えなくてはいけません。また、当然ながら洋上の建設は陸上建設と比べて割高です。風力発電に適した風土のデンマークでも電気料金は日本の約1.5倍ですから、課題の多い日本で風力を主な電力源にするともっと高くつくかもしれません……。
また、これは風力発電に限ったことではありませんが、自然エネルギーは天候などにより発電量が一定ではないため電力不足時の備えが必要です。デンマークは電力が不足したときに提供してもらえるよう隣国と提携していますが、日本は島国のためこういった近隣諸国からの提供は難しくなるのではないでしょうか。
エネルギー自給率を上げた方がいい。原発に頼らずに済むならそのほうが良いけれど、自然エネルギーの採用が現実的かどうかはまた別の議論をしなくてはいけません。悩ましいところですね。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。