2013年6月5日、東京都荒川区で全国36自治体が集まり、住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体の集まり「幸せリーグ」を結成、第1回の首長会議(幸せリーグキックオフ会議)を開催するそうです。幸福実感向上といっても、幸せの尺度は人それぞれ。そんな主観的な感覚を公である自治体がどうやってあげようというのでしょうか? 背景にはブータンの国家政策がありました。ブータンの憲法には、国の基本政策として「GNHの追求」が掲げられています。GNHとは「G=グロス、N=ナショナル、Hー=ハピネス」を表し、「国民総幸福量」という言葉で言い替えられます。「豊かさ」とは経済的な意味合いだけのものでなく、健康やコミュニティ、自然、といった複数の要素から成り立つものとし、国民ひとりひとりが幸福を実感できる国づくりを目指すというものです。
このようなブータンの試みがいま、日本でも広がりを見せています。東京の荒川区では、GAH(グロス、アラカワ、ハピネス)つまり荒川区民総幸福度という指標が設けられました。同区は区民がどんなことに幸福を感じるかを調査したところ、犯罪の防止や災害における安全面の担保、高齢者が安心できる環境、子育てのしやすい環境というものが中心で、産業や商業の振興は低い結果となりました。急速に経済成長を遂げた後にやってきた経済の減退により、日本人のレンズのズームがいま変わりつつあるのかもしれません。
こういった傾向は日本に限りません。OECD(経済協力開発機構)はBLI(ベター・ライフ・インデックス=より良い暮らし指標)という国民生活の幸福度を評価する試みを開始しました。意識の変化は日本だけでなく世界にも広がっているようですね。
人口や生活水準の違うブータンを例に取り、日本や諸外国が同じようにというのは無理のある話しかもしれません。でも、お金や物に捕らわれずとも幸福を感じられるというのは正しい感覚ではないでしょうか。いま、何かに物足りなさを感じているとしても、捉え方1つで人は誰でも幸せになることができるのかもしれません。ひとりでも多くの人が幸せになってほしいですね。
<関連サイト>
・住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体が「幸せリーグ」を結成します!(東京都荒川区役所)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。