環境省が鹿児島県奄美群島の自然資源の経済的な価値についての調査を行ったそうです。海外では自然を守ることで生まれる観光などの経済効果を試算することが先行して行われていて、オーストラリアではカカドゥ国立公園の経済効果が鉱山開発で得られる経済効果を上回ったことから、採鉱許可を見送ったとい事例があるそうです。人口が増える見込みが低い日本の場合、国内でも人口の少ない地域にお金をつぎ込んでの開発を進めるよりも、いまそこにある「自然」という資源を最大限生かすことで経済効果を高めることができるなら、その方がよいという判断なのかもしれません。
身近な例で、道路や鉄道を作るために山や森林を切り開く、空港を作るために海や干潟を埋め立てるという計画で、インフラなどが発達して経済効果がどれくらい出るかという試算は耳にします。逆に貴重な自然があることで生まれる経済効果の試算というものは、思えばあまり聞かないような気がします(やっているのかもしれませんが)。こういった試算もわたしたちの目に付きやすいところに公開して、開発をするか見送るかを発表していけば、地域の住民や環境保護団体との衝突も多少は少なくなるかもしれません。
不便な地域にインフラを整備して便利にすることも重要ですが、その土地の自然を守ることもやはり大事なことです。でも両立が難しいのも事実ですね。便利なところに住むわたしがいうとエゴに聞こえるかもしれませんが、少しでも残っている森や山はそのまま美しい形で残ってほしい。奄美郡島のようなところなら、よりいっそうです。
奄美といえばクロウサギが代表的ですが、それ以外にもたくさんの貴重な動植物や固有種が生息しています。こういった価値の高い自然を確実に残していくためには、世界自然遺産といった「称号」のようなものを付けるのがひとつの方法にも思えます。もちろん、訪れる観光客のモラルがあってのことですが……。自然を味方につけて発展しようという取り組みに期待がこもります。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。