ソーラー・パネルは、光を受けると電気を発生するのですが、その電流と電圧は最初から固定的に決まっているわけではありません。具体的に動作電流と電圧の関係は、下のグラフのようになります。ソーラー・パネルは、このグラフ上のどこかの1点の電流と電圧の組み合わせで動くことができます(電流(I)と電圧(V)の関係をグラフ化していることから、このグラフは「I-V曲線」などと呼ばれます)。
電流-電圧(I-V)曲線
ソーラー・パネルは、この曲線上のどこか1点の電流と電圧の組み合わせで動かす(電力を取り出す)ことができる。
たとえば「動作点A」は出力電圧は低いが出力電流はもっとも多く、「動作点B」はAよりも電圧は高いが電流はやや少なく、「動作点C」は電圧はさらに高いが電流はもっとも少ないという動作条件です。これに対して、たとえば乾電池では、出力電圧は常に一定ですが(例:アルカリ乾電池なら1つあたり1.5V)、電流が負荷に応じて変わる、という特性を持っています(グラフにすると、曲線ではなく、縦線になります)。ソーラー・パネルのように、接続する負荷によって出力の電圧と電流の組み合わせが曲線になることはありません。
ソーラー・パネルから取り出せる電力は、電流と電圧を掛け算したものです。したがってこのグラフでいえば、電流の値と電圧の値を各辺にした長方形の面積が電力ということになります。たとえば動作点Aであれば、電力を示す面積は次のとおりです。電流の値は大きいのですが、電圧の値は小さいので、結果として得られる電力(面積)はそれほど大きくありません。
動作点Aで動かした場合に得られる電力
電流は多いが、電圧が低いので、得られる電力はそれほど大きくない。
次に動作点Bはどうでしょうか。こちらは電流の値こそ動作点Aよりも少し小さいのですが、電圧の値が非常に大きいので、結果として得られる電力(面積)は大きくなります。
上の図と比べると、面積は2倍以上あります。
動作点Bで動かした場合に得られる電力
電流は動作点Aより少し少ないが、電圧が非常に高いので、得られる電力は大きい。
動作点Cについては図示しませんが、こちらは電圧は高いのですが電流が非常に少ないので、やはり得られる電力は少なくなります。
つまりソーラー・パネルからの電力を最大にするには、I-V曲線での面積が最大になるような動作点(電流値と電圧値の組み合わせ)を見つけ出す必要があります。パワーコンディショナの大きな役割の1つはこれです。太陽に雲がかかるなどすると、このI-V曲線がさまざまに変化します。そのたびに電力を最大化する動作点が変化します。パワーコンディショナは、ソーラー・パネルから送られてくる電気を常にチェックしながら、最大の電力を取り出せる動作点を見つけ出して動作しているのです。
(2011/9/5 公開)
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