太陽光発電、7年続けてみてどうですか?
太陽光発電モジュールは耐久性が高く、メンテナンス・フリー、定期的な掃除も不要で、古くなっても発電効率はたいして落ちない。一般的にはこういわれています。パネル・メーカーを疑うわけではありませんが、本当に長年使ってどうなのか。今回は、太陽光発電を始めて7年になるという、前田さんご夫妻と、宮崎さんのお三方にお話をうかがいました。
今回お話をうかがった前田さんと宮崎さんは、山梨県北杜市明野町にお住まいのご近所さん同士。中央自動車道 須玉インターチェンジから車で15分ほど、八ヶ岳のふもとにあり、南アルプスを見わたせる自然豊かな土地柄です。この明野町は、「日照時間日本一」として知られる場所で、それが理由の1つとなって、移住して早々の2002年から、太陽生活を開始されたとのこと。同じセールスマンから勧められて、まったく同じ出力の京セラ製パネルを設置したそうです。
前田さん宅、宮崎さん宅とも
住所:山梨県北杜市明野町/標高:650m/パネル・メーカー:京セラ/最大出力:3.07kW
前田さん宅
使用電気料金メニュー:電化上手(東京電力)/付帯設備:電気温水器
宮崎さん宅
使用電気料金メニュー:おトクなナイト10(東京電力)
太陽光発電システムを設置したきっかけは、「日照時間日本一」という場所柄
- 太陽光発電システムを設置されたきっかけは?
- 前田さん(ご主人)
- 第一には、やはり、明野村(現在は市町村合併により北杜市)が「日照時間日本一」といわれていたからです。
前田さん(ご主人)
- 宮崎さん
- そうですね。本当にここは晴れの日が多いんですよ。せっかく太陽に恵まれているのだから、使わないと何だかもったいないと思いまして。それに熱心な営業マンが、家を建てているときから目星をつけていたようで、彼の熱意あふれる勧誘がきっかけで、自然にもやさしいならと購入を決めたんです。
宮崎さん
- 前田さん(ご主人)
- うちも同じ営業マンだったんですが、話が秀逸で、いまも鮮明に覚えています。私の家でこう切り出したんです。「こんなに自然がすばらしいところにお住まいのご主人が、朝起きてテレビのスイッチを入れる。そのテレビの電気が、原子力発電所からやってきた電気だったりするわけです。本当にそれでいいのでしょうか?」と。何だか妙に納得してしまって、自然のエネルギーを有効活用できるならと購入しました。これ、太陽光発電システムの営業トークとして、ほかでも使えそうですね。(笑)
- 設置にあたって、問題とか、不安などはありましたか?
- 前田さん(奥さま)
- うちは南面の屋根に設置したんですが、元々このあたりは松林だったので、道をはさんだ南側にけっこう背の高いお隣の松林が残っていまして、影が差し込んでしまうなぁと思ったんです。営業の人も「たくさん発電するには切ってもらったほうがいい」というんですが、何しろお隣の木なので…。
前田さん(奥さま)
- 前田さん(ご主人)
- そこでお隣に相談してみたら、松くい虫の被害で木が倒れることが頻発したこともあり、切ってもかまわないといってくれたんです。でも20m以上もある木が20本もあったので、業者に依頼するとなると、すごい金額になるんですね。そこで友人と二人で、ワイヤーでつりながら1本1本切りました。かなりの大仕事でしたね(笑)。
前田さんのお宅は、もともと松林だったそう。最初は南側にお隣の背の高い松林があったそうですが、松くい虫被害などもあったので、お願いして切らせてもらったそうです。
- 宮崎さん
- 私の家は、前田さんのところと違って、屋根が東西を向いているんです。最初、家を建てるときには南北にしてほしいと大工さんにお願いしたんですが、「東西にしたほうが収まりがよい」と勧められて、いわれるままにしました。太陽光発電のことなど最初は考えていませんでしたから。でも太陽光発電のことを考えたら、やっぱり南北にしてもらえばよかったなと思いました。いまさら屋根の向きは変えられないので、東側にするか、西側にするか悩んだあげく、これも営業の方に勧められた西側にしました。前田さんとうちが搭載した太陽光発電モジュールは同じ京セラ製で、枚数も同じ24枚、最大出力は3.07kWです。やはり比較すると、前田さんのほうがたくさん発電しているようですね。
- お二人が太陽光発電システムを設置された2002年当時も導入時の補助金はあったんですか?
- 宮崎さん
- 当時は新エネルギー財団(NEF:New Energy Foundation)というところから補助金が出ていました。私の場合は、出力1kWあたり10万円でしたから、3.07kWで30万7000円もらいました。
- 前田さん(ご主人)
- うちは宮崎さんより2カ月くらい早く設置したからか、1kWあたり12万円でしたね。3.07kWで36万8400円でした。いまは都道府県とか、市区町村などからももらえる場合があるそうですが、私たちが受け取った補助金は、このNEFからだけでした。
- 当時の設置費用はどれくらいでしたか?
- 前田さん(ご主人)
- 全体で280万円くらいでした。
前田さん宅
手前の屋根に載っているのが3.07kWの太陽光発電モジュール。前田さん宅の屋根はほぼ真南を向いている。
- 宮崎さん
- 補助金額が違っていたようですが、私のところも設置費用は同程度です。30万円の補助金がもらえて、電気代を減らすことができて、余剰電力の売電もできるとわかっていましたが、とても元をとろうという感じではなかったですね。日照時間が日本一ということだし、まあ多少の足しになって、自然にやさしいことができるならいいか、という感じでした。
一番発電量が多いのは5~6月
- 季節による発電量の違いはどうですか?
- 宮崎さん
- 個人的な興味もあって、2002年7月に設置して以来これまで、総発電量を記録してきたので、紹介しようと思います。以下は、1年分のデータがそろっている最も新しい年である2008年の1年間の、月別の総発電量をグラフにしたものです。余剰電力ではなく、太陽光発電された全電気量ですね。
太陽光発電の月別総発電量(2008年)
- 宮崎さん
- 当然ではありますが、日照時間が長い春から秋と、日照時間が短くなる冬では、大きく発電量が変わります。ピークを比較すると、ざっと3倍近いですね。この年は、たまたま7月の発電量が多くなっていますが、例外的なものだと思います。例年の傾向を見ると、5月から6月あたりの発電量が一番大きい気がします。
- 前田さん(ご主人)
- うちは宮崎さんのように細かなデータは記録していないんですが(笑)、感覚的にはこんな感じですね。日射が強い真夏の発電量が多いのかと思っていたんですが、そうでもないんですね。
- 宮崎さん
- 私たちが設置しているのは多結晶シリコン型の太陽電池で、このタイプの太陽電池は高温になると発電効率が落ちるという話を聞いたことがあります。それが影響しているのかもしれませんね。
宮崎さん
- お二人が搭載したモジュールの最大出力は3.07kWとのことですが、この最大出力いっぱいまで発電することはあるんですか?
- 前田さん(奥さま)
- 常に気にしているわけではないので、正確なところはわかりませんけれど、発電メーターが3kWになっているのは見た記憶がありません。雲ひとつない快晴でも、2kW台だと思います。
- 宮崎さん
- そうですね。快晴で、直射日光がいい具合にあたっているときでも、継続的に3kWが出ることはありません。ただ、曇りの後に急に晴れたときなどに、瞬間的に3kWになったところを何度か見たことがあります。
(次のページに続く)