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将来性が大きいのが太陽光発電。長期にわたり、太陽光発電の普及をバックアップします 経済産業省 渡邊昇治さん

この「専門家に聞きました」は、太陽光発電に関するさまざまな疑問点について、専門家のみなさんにお聞きするコーナーです。今回は、経済産業省で太陽光発電などの新エネルギーに関する政策に携わっていらっしゃる渡邊昇治(わたなべしょうじ)さんにお話を伺いました(以下、敬称略)。

太陽光発電システムの導入に対する国の補助金の申し込み状況は?
渡邊
2009年1月から数えると、まだ半年ちょっとのところですが、すでに申し込み件数は5万件を超えています。申し込みは順調です。
目標として、日本は2020年までに温暖化ガス排出を2005年比で15%削減すると発表しました。これには、2020年までに、住宅用の太陽光発電システムを530万戸に導入しないといけないとか。非常に高い目標に見えます。
渡邊
麻生太郎首相が2009年6月10日の記者会見で発表された中期目標ですね。非常に高い目標だと思いますが、達成できるように可能な限りの対策を講じていきたいと思います。
自然エネルギーは数々ありますが、その中でも太陽光発電に力を入れる理由は?
渡邊
理由はいくつかあります。1つは、太陽の光は無尽蔵のエネルギーで、全国どこでも使うことができ、国民が広く利用できること。また、国内に優れた太陽電池メーカーが多数あり、産業面でも重要であること。そして、太陽電池は変換効率やコストダウンの点でまだまだ改善の余地が大きく、将来性があることなどです。
太陽光発電を普及させるために、導入補助金以外にどんな支援をしていますか?
渡邊
太陽光発電の余剰電力を、電力会社が従来よりも高い価格で買取り、太陽光発電システムへの投資回収期間を短縮できるようにする制度(例えば、制度導入当初に太陽光発電を導入した一般の住宅の場合は、48円/kWhで10年間買い取る)について、現在、パブリックコメント(公的機関が政策などを決定する際に、広く意見を募るための手続き)の段階に入っています。導入補助は新規に太陽光発電システムを導入する場合にしか受けられませんが、こちらはすでに太陽光発電システムを導入された方も対象になります。
余剰電力の倍額買い取りはいつごろからスタートできますか?
渡邊
まだ具体的な日程は決まっていませんが、年内にはスタートしたいと思っています。
現在の補助金について、マンションなどの共同住宅では実質的に利用できず、戸建て向けの支援ではないか、という声があるようです。
渡邊
補助金の交付はマンションも対象に入ります。ただマンションでは、共用部分を工事するために管理組合の承認が必要であること、戸数の割に屋上の面積が小さく、一戸当たりに換算すると、あまり出力の大きな太陽電池を搭載できないことなどの課題があり、一般の住宅よりも導入が難しい側面はあるでしょう。個人の住宅用とは別に、マンションの建築事業者が新築時に太陽光発電を導入すれば、最大で事業費の1/3まで補助する非住宅用の補助制度もあり、これを利用して低コストで太陽光発電システムを搭載しているマンションもあります。またマンションによっては、太陽電池の搭載をあらかじめ念頭において設計し、戸建て住宅同様に個人でも補助金を受けられるようにする例も出てきているようです。今後はこうした新築マンションが増えるかもしれません。
太陽光発電は、全国で広く利用できるというお話でしたが、例えば東北地方や北海道などは、日照時間が短い、積雪の影響を受けやすいなどの点で不利になるのでは?
渡邊
全国各地の平均的な発電電力量のデータが公開されています。確かに地域差はありますが、東北地方や北海道は都心部に比較すると、より大きな設置面積を確保できるケースもあり、一概に不利とはいえません。また結晶系の太陽電池は、低温の方が効率よく発電できる特性がありますから、寒冷地の方が有利に働く場合もあります。
現在提供されている国の補助金の募集期間は、2010年1月29日までとなっています。その先の予定はどうなっていますか?
渡邊
国による予算措置は1年単位で実施されるのが原則であり、太陽光発電システムの導入補助金についても、継続が決定されているわけではありません。しかし当初にお話ししたとおり、太陽光発電の導入目標は高く、個人的には継続的な支援が必要だと考えています。少なくとも5年程度は継続が必要だろうと思います。
先ほど、「太陽電池は将来的に安価になる」というお話がありました。そうだとすると、慌てて導入を急がない方が得ですか?
渡邊
普及をさらに進めるためにも、太陽電池の価格はより安価にならなければいけません。導入補助による需要拡大の一方で、コストダウンのための技術開発も支援していきます。太陽電池の価格が安くなれば、それに合わせて補助金額や余剰電力の買い取り価格を下げて調整していくことになります。公平な政策を実施するために、これは必要な措置です。早く導入したら不利、ということはありませんし、そうしたことが起こらないように政策を検討していきます。
最後に、太陽光発電の将来展望について教えてください。
渡邊
太陽光発電システムの導入は、低炭素社会実現のための一歩にすぎません。太陽光発電などの新エネルギーに加えて、ビルや住宅の省エネ化や、プラグインハイブリッド自動車/電気自動車の普及などのエネルギー革命を少しずつ進めていかなければなりません。また地球温暖化は日本だけの問題でなく、全世界の問題ですから、温暖化ガスの排出量が多い米国や中国などを始め、各国が参加できる枠組みが必要です。これには、日本にだけ目を向けるのではなく、世界を視野に入れて、各国がウィン-ウィンの関係を築けるようにしなければなりません。そうした中で、日本が優れた製品を提供し、世界で使ってもらえるようになるといいなと思っています。

(2009/8/17公開)

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