残念ながら、太陽光発電システムの設置に向かない家もあります。それがどのような家なのか、要点をまとめましょう。
1年を通して最も発電量が期待できるのは、「真南向き、水平から30度の角度でソーラー・パネルを設置すること」だといわれます(最適な角度は、設置場所の緯度によって多少変化します)。ですから「南向き30度」の屋根面がどれくらいあるかが、ソーラー・パネルの設置に適しているかどうかを見分けるポイントです。設置に適した屋根面に、四角形のソーラー・パネルを何枚置けるかが問題になります。
同じような大きさの家でも、屋根の形やソーラー・パネルのサイズによって、設置できるパネルの枚数は変わってきます。たとえば次の図の上のような屋根なら、1つの屋根面により多くのパネルを置けますが、図の下のような屋根だと一面に置けるパネルの数は少なくなります(ただし、別の屋根面にパネルを置くことはできます)。
またデザイン性を重視して、屋根が複雑な形状をしている場合や、出窓や天窓などがある場合なども、パネルを設置できる実質的な屋根面積は小さくなってしまいます。
最も条件のよい真南に対して、真東や真西では日射量は-15%程度になりますが、ソーラー・パネルの設置は可能とされています。ただし真北の日射量は、真南のー40%程度とかなり条件が悪いので、普通は設置しません。
つまり、屋根面の多くが北向き(北東や北西を含む)の家は、ソーラー・パネルを設置しても、あまり発電量を期待できません。システムや工事価格は同じですから、発電量が少なければ、それだけ費用回収に時間がかかってしまいます。
たとえば次の例は、真北向きにしか屋根面がない家の例です。南向きのベランダを広くとりたい関係で、狭小地に複数戸を建てるときには、このようなケースを見かけます。
採算性を考えなければ、北面の屋根にパネルを設置すること自体は可能ですが、北側に隣家のベランダなどがあると、パネルの反射光が入ってトラブルになることも考えられます。
ソーラー・パネルに太陽の光が当たると発電するのですから、1日のうち、長時間にわたって屋根に影が差し込むような家は、十分な発電ができません。近くに高い建物や大きな樹木がある場合に加えて、電柱や送電線の鉄塔、電線、アンテナなどがある場合も、太陽の位置によっては影が差し込むので注意が必要です。ソーラー・パネルの性質により、影の入り方によっては、影の面積よりも発電量が大きく低下する場合があります(この詳細は→別記事を参照)。
たとえばゴルフ練習場の支柱など、背の高い構造物は、自分の家からある程度離れた場所であっても、太陽の軌道が低い冬季などは、影が長く伸びますから注意しましょう。
影の影響を自分で判断できず不安な場合には、設置工事業者に相談するようにしましょう。
通常、ソーラー・パネルは全部で300~400kgくらいの重量になります。新築の家ならあまり心配ありませんが、ある程度築年数の経った家では、場合によって、ソーラー・パネルを載せる前に、建物や屋根の補強工事が必要になることがあります。正しく補強すれば設置可能ですが、補強工事の費用が余計にかかります。
(2011/7/20 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。