太陽生活ニュース

2011年6月9日(木) 15時32分 公開

シャープ、節電を極めるエコハウスの実証実験を開始

シャープは、大阪府堺市の液晶/太陽電池新工場「グリーンフロント 堺」において、家庭での電力負荷ゼロを目指す「シャープ・エコハウス」を建設、省エネハウスの実証実験を開始すると発表した。エコハウスでは、太陽光発電システムや蓄電池を活用することで、電力消費の最小化と住空間の快適性を両立させる技術を検証していく。

エコハウスは、木造2階建ての延べ床面積271.24平方メートル。公称最大出力9kWの多結晶シリコン型太陽光発電システムと8kWhのリチウムイオン蓄電池のほか、センサーで人を感知したときだけ点灯するLED照明などシャープ製の最新の省エネ家電で構成される。

太陽光発電協会によると、太陽光発電システムの1kWシステム当たりの年間発電量は約1000kWhで、一般家庭の総消費電力量は5500kWh/年ということなので、エコハウスの9kWのシステムならば太陽光発電だけで消費電力が十分まかなえることになる。十分に発電できない天気が悪い日や夜間であっても、蓄電池によって電力の供給が可能である。実際にどの程度の電力がまかなえるかは実証実験の結果を待つ必要があるが、システム構成としては電力の自給自足が可能なレベルとなっている。

グリーンフロント 堺内に建設したシャープ・エコハウス

グリーンフロント 堺内に建設したシャープ・エコハウス
太陽光発電システムと蓄電池などを組み合わせることで究極のエコハウスを目指している。(写真提供:シャープ)


太陽光発電システムと蓄電池の電力、家電機器の消費電力量を、HEMS(ホーム・エネルギ・マネジメント・システム:センサーやIT技術を利用して家庭内の消費エネルギーを管理するシステムのこと)を用いて最適化する制御技術の検証も行うとしている。

また将来に向けた取り組みとして、太陽電池で発電した電力を交流に変換せずに、直流のまま家庭内で利用する直流給電を行い、直流電力対応のエアコンやテレビ、冷蔵庫などの検証も実施していく。これにより、太陽光発電システムで発電した直流を、交流に変換する際に生じるムダな電力の削減ができるようになる。さらにエコハウスには、インテリジェント・パワーコンディショナを用いて、電気自動車に搭載されているバッテリーを家庭用の蓄電池として利用する技術も導入していくということだ。

シャープでは、エコハウスでの実証実験で取得したデータを、ピーク電力の抑制やスマートグリッドに対応した家電機器などの実用化に向けて活用し、エネルギーソリューション事業を拡大するとしている。

《太陽生活ドットコム 小林》

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