2011年6月23日(木) 12時15分 公開
トヨタ自動車によれば、プラグインハイブリッド車(PHV)の充電を家庭で行うと、電気使用量が30%もアップするという。電気代が安くてクルマも使わない夜間に充電したいわけだが、その時間帯はお湯をわかすためエコキュートも稼働しているので、両方をうまく調整しないとブレーカーが落ちてしまう。また将来、PHVや電気自動車(EV)が広く普及して、夜間に一斉に充電が始まると、電力系統(電力会社の電線網)の電気が不足して、場合によっては停電が起きてしまうかもしれない。
プリウス・プラグイン・ハイブリッド(PHV)のカットモデル
プラグイン・ハイブリッドは、現在販売されているハイブリッド型の自動車に、コンセントからの充電機能を追加した次世代自動車。2012年からの販売を予定している。電気だけで走れる距離が増える。またテレマティクスサービス「G-BOOK」に提供されているデータ通信モジュール「DCM」の簡易版を搭載し、充電状況や整備状況などをトヨタスマートセンターに送り、さまざまなサービスがカーナビやスマートフォンなどに提供される。たとえば、充電が完了したらスマートフォンに「充電完了」のお知らせが届くといった具合だ。
PHVやEVなどの次世代自動車というと、自動車本体にばかり関心が向きがちだが、次世代自動車が普及するためには、クルマを快適に使うための、こうした周辺技術や環境整備が欠かせない。これらについて、自動車メーカーはどんな取り組みをしているのか。先日開催されたスマートグリッド展2011のトヨタブースにあった「HEMSモニター」から、その戦略を垣間見てみよう。
HEMSモニターは、家庭内のエネルギー機器の使用状況などを確認できる小さなディスプレイのようなものだ。
HEMSモニタの「トップ」タブ
よく見ると、PHVに加え、ソーラー・パネルやエコキュート、家庭内蓄電池などをモニタできるようになっていることがわかる。
モニタを見ると、PHVに加えて、ソーラー・パネルやエコキュート、家庭内蓄電池(バッテリ)などをモニタできるようになっている。自動車だけでなく、家庭にあるエネルギー機器をまとめて管理できるというわけだ。次に「PHV」タブをタップしてみた。
「PHV」タブ
バッテリの残量(充電率)や走行可能距離、充電開始予定時刻などが表示されている。
現時点で自動車(PHV)に充電されている電気の残量(充電率)や走行可能距離、充電開始時刻、充電完了時刻などが表示されている。設定された時間などに、自動的に充電が開始・終了するようだ。
「蓄電池」タブ
屋根のソーラー・パネルと、電力会社の送電網の両方から家庭内バッテリに蓄電できる。
「蓄電池」タブでは、住宅内に設置された蓄電池(バッテリ)の状態をモニタする。現時点の蓄電量や蓄電率などが表示され、モニタの絵から、屋根の上のソーラー・パネル、電力会社の送電網の双方から充電できるようになっている。「蓄放電状況」というのは、現在電池に充電しているのか(電気を貯めているのか)、電池から放電しているのか(貯めた電気を使っているのか)を表す。表示は「放電中」なので、電池に貯めた電気を使っている状態。
情報タブ
今日節約した電気の量、今月に節約した電気の量、今月のCO2削減量などが表示されている。
詳しいことはわからないが、「情報」タブでは、HEMSによって(?)節約できた電気料金やCO2排出量を確認できるようになっていた。HEMSを導入すると、電気料金が節約できるということらしい。
これまでの話は、あくまでも一軒の家をどうスマートにして、次世代自動車の普及を図るかということだった。しかしPHVやEVが普及して、みんなが一斉に充電を開始してしまうと、電力会社の送電網がこれに耐えられなくなる可能性もある。これに対しトヨタは、地域ぐるみでエネルギー消費をスマート化しようとしている。
地域でエネルギー機器を管理するスマートビジョン
一軒の家だけでなく、周囲の家のエネルギー機器も管理して、電力の安定利用などを図るトヨタの「スマートビジョン」。
各家庭から送られてくるエネルギー機器の情報をまとめて管理して、地域単位に電力の安定利用などを図るものと思われる。「隣の佐藤さんが充電してるから、あなたはもうちょっと後ね」なんて時代がくるのかもしれない。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。