太陽光発電システムは自分では設置できませんし、設置後のアフター・サポートもあり、設置工事業者とは長い付き合いになります。そんな大切な設置工事業者はどうやって選べばよいでしょうか? ここでは、失敗しない設置業者選びのポイントをまとめました。
太陽光発電システムを購入して設置する場合、「営業・販売」と「工事」という2種類のサービスを受けることになります。これら両方のサービスをまとめて提供する設置工事業者もありますが、完全に別々の会社ということもあります。一概にどちらがよい、とはいえませんが、アフター・サポートなどで大きな違いが生じる場合もあるので注意が必要です。
例えば、訪問販売のセールスマンや、家電量販店などの展示コーナーにいる説明員など、太陽光発電システムの説明、設置工事の説明、発電シミュレーション、おおまかな工事料金の説明などを担当するのが営業・販売担当者の仕事です。その後購入が決まると、工事担当者がシステムの取り付けに現場にやってきます。
営業・販売から工事までのサービスをひとまとめに提供する設置工事会社もあれば、営業・販売だけを専門に扱い、工事については別の会社に依頼するというケースもあります。ここで注意したいのは、システム設置後のメンテナンスや、万一不具合などが生じた場合のサポートの窓口は、「営業・販売」側になるということです。
実際に現場にやってきてシステムを設置するのは工事業者であり、工事内容がどんなものだったのかを具体的に知っているのは工事業者です。しかし販売専門の会社が、工事業者との情報交換を十分にしていないと、具体的な工事内容などが販売会社に残りません。何ごともなければよいのですが、故障や不具合などが起こったとき、工事の情報がきちんと共有、管理されていないと、「言った、言わない」問題に発展したり、問い合わせをいわゆる「たらい回し」にされたりと、十分なアフター・サポートが期待できません。
設置工事業者と交渉を始めたら、それが営業・販売だけの会社なのか、工事まで一貫して実施する会社なのかを確認しましょう。そして前者であれば、「実際の工事はどこに出すのか?」という質問をして、工事業者との関係をしっかり確認しましょう。
太陽光発電システムの購入相談が可能な窓口にはいくつかの種類があります。前の「営業・販売」と「工事」の違いにも通じますが。ここで代表的な販売窓口と特徴についてまとめましょう。
家にセールスマンがやってきて、太陽光発電システムの購入を勧めるという一般的な太陽光発電システムの販売方法です。営業・販売から工事までを一貫して実施できる事業者の場合もありますが、少人数で営業・販売だけを行い、工事は別業者に任せるというケースも多いようです。訪問販売がすべてダメということではありません。ただ、残念ながら悪徳業者が利用しやすい販売方式でもあります。訪問販売業者を利用するときには、相手をしっかり見極める必要があります。具体的な注意点については別ポイントにまとめた「こんな販売業者には要注意」を参照してください。
店舗などの窓口を備え、独立した会社として運営されている設置工事業者です。家族経営的な小規模事業者から、ある程度組織的に運営されている中~大規模工事業者もあります。営業・販売から工事まで一貫して担当する会社が多いようです。店舗はあっても、営業活動の一環として訪問販売を行っている場合もあります。独立系設置工事業者は、取り扱いパネルが特定のメーカーに限定されないことから、いろいろなメーカーの製品を扱っているところも多いです。
一般的なイメージとして、大企業よりも中小企業の方が安価に工事してもらえそうな気がしますが、仕入れの少ない小規模業者は、発電パネルの仕入れで大幅な割引を受けられないという欠点があります。その分、工事作業費を割り引いて何とか安く仕上げるところもありますが、「小さい方が安いだろう」と安直に考えるのは間違いです。
大手の太陽光発電パネル・メーカーが実施しているフランチャイズ(FC)制度に参加して、メーカーFCと銘打って店舗営業している設置工事業者です。当然ながら販売できるパネルのメーカーは限定されます。しかしFCに参加するには、メーカーの厳しい審査基準にパスする必要があるので、工事業者としての信用や財務状況は一定レベル以上であると考えてよいでしょう。またFC店は、メーカーから比較的安価にパネルを調達できるという事情があり、そのメーカー製パネルでよいなら、他社よりも安価に設置してもらえる可能性があります。
家電量販店とパネル・メーカーなどが協業し、太陽光発電システムの販売窓口を家電量販店のコーナーとして開設している場合があります。窓口設置の経緯からして、特定のパネル・メーカー製品だけを販売するケースが多いようです。設置工事は、別の工事専門業者に依頼する場合が多いようなので、工事業者との連絡は密になされているか、設置後に十分なアフター・サポートを受けられそうかを見極める必要があります。
別記事(→関連記事)にあるとおり、なるべく失敗せず、適正価格での設置を実現するには、1社からの見積もりだけで購入を決めてしまうのでなく、複数の設置工事業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
インターネットを利用して、Webでユーザー自身が情報を入力して概算見積もりを算出したり、住居の図面などを送付して匿名で業者から見積もりを取得したりできるサービスがあります。これらのサービスは手軽に見積もりが取れてよいのですが、専門家に現場を見ないため、どうしても正確ではありません。
実際の工事では、建物の周囲の状況(日照条件)や工事環境の確認(足場の要不要など)、補強工事の必要性など、現場を見なければ分からない項目が多数あります。こうした条件なしに出した見積もりは、あまり役に立ちません。
とにかく、1社は必ず現場調査を依頼し、専門家に現場を見てもらい、見積もりを出してもらうことです。こうして一度見積もりが出れば、後は同じ条件を使ってインターネットや匿名見積もりサービスを利用して、比較的精度の高い見積もりを入手できるようになります。
さまざまな太陽光発電パネル・メーカーがあり、それぞれ変換効率やデザイン性、価格などで特徴があります。例えば屋根が狭いなら、単価が高くても、高効率の発電パネルを設置した方が設置コスト回収の期間は短縮されます。またパネル取り付け用のフレームなどはメーカーごとに違っていて、屋根の形状や材質などによっては、設置後の見栄えに差が出たりします。
このように、自分の家に最適なパネル・メーカーは、ケース・バイ・ケースで異なる場合がありますから、選択の幅は広い方が有利です。設置工事業者が扱っているパネル・メーカーは何種類あるのか、どのメーカーの製品を提案できるのか確認しましょう。
当然ながら販売店は、自分が取り扱えないメーカーの製品は提案しません。見積もりをとるときには、必ず1社は複数のパネル・メーカーを扱える設置工事業者を入れて、自身に最適なパネル・メーカーがどこなのか、相談してみてください。
家電量販店などが、チラシに「標準設置工事料金」などとして、工事価格を提示していることがあります。
通常、表記される工事価格は安価で、非常に魅力的に映ります。しかしこの価格は、理想的な条件を想定して、設置工事費用を算出したものです。実際に工事を実施して、工事費用が標準料金内ですむとは限りません。おおよそですが、標準工事の範囲ですむのは全体の1/3程度で、残りは標準工事の枠内では収まらず、何らかの追加費用が発生します。この場合も、最終的には現場調査に基づいた見積もりを取るべきですが、チラシの価格どおりにはいかないケースが多い、と理解しておく必要があります。
(2009/9/15 公開)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。