パワーコンディショナは、屋根のソーラー・パネル(太陽光発電モジュール)で作った直流の電気を家庭で使える交流に変換する、太陽光発電システムの主要機器の1つです。ソーラー・パネルの仕様などはメーカーや製品ごとに異なるため、パワーコンディショナは、ソーラー・パネル・メーカーと同一のものを選択するのが一般的です。同一メーカーに複数モデルがある場合は、設置するソーラー・パネルの最大出力などから機種を決定します。
そのためパワーコンディショナだけを選んで、任意のメーカーのソーラー・パネルと組み合わせるというわけにはいきませんが、重要な機器ですから、メーカーごとにどのような違いがあるのか、選択時にある程度知っておく必要はあるでしょう。
以下にメーカーごとの機種の基本仕様を比較しますが、その前に、いくつかの重要な項目について簡単に説明しておきましょう。なおパワーコンディショナのはたらきについては「パワーコンディショナが知りたい!」を参照してください。
最大定格出力は、出力可能な電力の最大値です。接続するソーラー・パネルの最大出力は、基本的にはこのパワーコンディショナの最大定格出力以下でなければなりません。表を見るとわかるとおり、ほとんどのメーカーが最大定格出力4kWのものと、5.5kWのものをラインアップしています(3kW以下の小出力のソーラー・パネルに対応したパワーコンディショナをラインアップするメーカーもあります)。ソーラー・パネルの発電容量が4kW以下ならば最大定格出力4kWのものを、5.5kW以下ならば最大定格出力5.5kWを選択することになります。それ以上の発電容量のパネルを設置するなら、複数のパワーコンディショナを組み合わせます。
ただメーカーによっては、パワーコンディショナの最大定格出力の1.2倍から1.3倍のソーラー・パネルが接続可能なものもあります(この接続可能な定格出力の範囲は、メーカーによって異なります)。これはソーラー・パネルが、設計上の最大出力を継続的に発電することが現実にはほとんどないことや、設置条件などによって多くの家庭で実効発電出力が8割程度になることから許容されているようです。とはいえ、パワーコンディショナの最大定格出力以上のソーラー・パネルを接続すると、仮に好条件がそろってパワーコンディショナの定格出力を超えた発電が行われても、パワーコンディショナの定格出力以上の電気は変換できずに捨てられてしまうことになります。
同一メーカーならば、最大定格出力の大きなパワーコンディショナのほうが、通常は高額です。つまり最大定格出力の小さなパワーコンディショナのほうが、設置費用を安価にできます。このため業者によっては、4kWを少し超えた発電容量のソーラー・パネルを設置するような場合に、最大定格出力4kWのパワーコンディショナの設置を勧める場合もあるようです。前記のとおり、現実的にはあまり問題はないのかもしれませんが、最大定格出力以上の電気が発電されると、パワーコンディショナに負荷がかかり、寿命が短くなるのではないかといった懸念も聞かれます。このような場合は、メーカーの保証範囲内なのかどうかを事前に業者に確認しておくと安心でしょう。
パワーコンディショナで直流から交流に変換する際、多少の変換ロスが生じます。いうまでもなく、ロスは少ないほど、電気の無駄が減ります。ほとんどの機種の変換効率は94%前後となっていますが、三菱電機のPV-PN40G/PV-PN55Gは97%前後と高い変換効率を実現しています。
大ざっぱな例ですが、3.0kWの発電を行っても、パワーコンディショナの変換効率が94%の場合、6%がロスしてしまい、2.82kW分しか電気として利用できないことになります。ところが、変換効率が98%の場合、ロスは2%となり、2.94kW分の電気が利用できます。この差は、0.12kWとあまりないように思えますが、10年、20年という長期で考えると、大きな違いになります。
ちなみにこの変換ロスは、最終的には熱となってパワーコンディショナから排出されます。設置場所によっては熱がこもり、周囲の温度が上昇しますので注意してください。
パワーコンディショナは、運転開始時/終了時にスイッチ音がしたり、運転時に冷却ファンから高周波音が発生したりします(発電していない夜間などは、パワコンは停止しており、通常、音は出ません)。カタログ値によれば、運転音が大きな製品でも41dB以下と、図書館内とほぼ同等のしずかさなので、一般的な生活においては気にする必要はありません。ただ、聴覚感度が高い人にとって不快に感じる場合があるようなので、そのような家族がいる場合は、設置場所を考えたほうがよいでしょう。
パワーコンディショナの大きさは、小型のエアコン程度あります。屋内型の場合、屋内配線の関係からブレーカーの近くに設置するケースが多いようです。ただ、ブレーカーは玄関や台所、脱衣所などに設置されていることも多く、近くに設置場所が確保できないこともあります。またパワーコンディショナは、若干の発熱をともないます。そのため、脱衣所や納戸内など、密閉した狭い場所に設置すると、部屋の温度が上がる可能性があります。さらにパワーコンディショナは電気製品なので、湿気にも注意が必要です。脱衣所などの湿気の多い場所では、パワーコンディショナの基板部分がさびてしまうなどするため、設置に向いていません(脱衣所などに設置可能な耐湿性の高い製品もあります)。パワーコンディショナの設置場所をどこにするのか、事前に施工業者と協議しておくとよいでしょう。
また一部のメーカーでは、家の外壁に設置できる屋外型や、屋内型を屋外に設置できるようにする収納箱も用意されています。屋内にパワーコンディショナの設置場所がないような場合は、屋外型や収納箱の使用を検討するとよいでしょう。
多くのパワーコンディショナが自立運転機能(→用語解説)を備えています。災害などで停電になった場合でも、一定以上の日射量があればパワーコンディショナ本体にあるスイッチを自立運転に切り換えることで、ソーラー・パネルで発電した電気を使用できます(1.5kW以上の出力が可能なソーラー・パネルを設置している場合でも、最大1.5kWまでしか電力は供給できません)。ただし、自立運転機能を使うためには「自立運転用コンセント」が必要です。一部のパワーコンディショナでは自立運転用コンセントの設置がオプションとなっているので注意が必要です。
多結晶/単結晶シリコン型の太陽電池の場合、ソーラー・パネルを一定の枚数(4枚~19枚)をまとめて直列接続し(これをストリングといいます)、一定の電圧にそろえます。しかし南面に加え、東面や西面などにもソーラー・パネルを設置する場合、南面と東/西面でパネルにあたる日射量が大きく異なることから、南面と東/西面の電圧がそろわなくなってしまいます。このような場合、東/西面のストリングに昇圧回路を接続し、南面の電圧にそろえる必要があります。
パワーコンディショナの中には、昇圧機能と接続箱機能を内蔵し、複数のストリングを直接接続できるものがあります(マルチストリング方式のパワーコンディショナ)。こうしたパワーコンディショナを利用すれば、南面と東/西面にパネルを設置するような場合でも、東/西面のストリングに昇圧回路を付ける必要はなくなります。
メーカー | 型名 | 価格(税込) | 最大定格出力 | 電力変換効率 | 外形寸法(W×H×Dmm) | 質量 | 非常用コンセント | 設置場所 | 商品ページ |
カナディアンソーラー | KP40K | 315,000円 | 4.0kW | 95.0% | 460×280×116 | 13.0kg | ○ | 屋内用 | → |
カナディアンソーラー | KP55K | 488,250円 | 5.5kW | 95.0% | 550×280×160 | 24.0kg | ○ | 屋内用 | → |
カナディアンソーラー | CS-3000J | 283,500円 | 3.0kW | 95.5% | 430×240×140 | 14.4kg | ○ | 屋内用 | → |
カナディアンソーラー | CS-4000J | 330,750円 | 4.0kW | 96.0% | 460×240×140 | 14.7kg | ○ | 屋内用 | → |
カナディアンソーラー | CS-5000J | 441,000円 | 5.0kW | 95.0% | 635×250×170 | 24.0kg | ○ | 屋内用 | → |
カナディアンソーラー | Z50-30ST2-JCS | 389,235円 | 3.0kW | 94.0% | 666×410×161 | 23.0kg | ○ | 屋外用 | → |
カナディアンソーラー | Z50-55ST3-JCS | 509,800円 | 5.5kW | 94.0% | 666×410×161 | 25.0kg | ○ | 屋外用 | → |
京セラ | PVN-403F | 294,000円 | 4.0kW | 94.0% | 460×280×115 | 13.0kg | ○ | 屋内用 | → |
京セラ | PVN-404 | 294,000円 | 4.0kW | 94.5% | 490×270×156 | 14.0kg | ○ | 屋内用 | → |
京セラ | PVN-551B | 420,000円 | 5.5kW | 94.5% | 580×280×162 | 19.0kg | ○ | 屋内用 | → |
京セラ | KP55K-KC | 420,000円 | 5.5kW | 95.0% | 550×280×161 | 18.0kg | ○ | 屋内用 | → |
サンテックパワー | KP30K-ST | 252,000円 | 3.0kW | 95.0% | 460×280×131 | 13.5kg | ○ | 屋内用 | → |
サンテックパワー | KP40K-ST | 304,500円 | 4.0kW | 95.0% | 460×280×131 | 13.5kg | ○ | 屋内用 | → |
サンテックパワー | KP55K-ST | 441,000円 | 5.5kW | 95.0% | 550×280×161 | 18.0kg | ○ | 屋内用 | → |
シャープ | JH-S1C2/S1C2P | 240,450円 | 3.4kW | 94.0% | 666×429×201 | 22.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-M1C2P | 244,230円 | 4.0kW | 94.0% | 666×429×201 | 23.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-40CD3P | 268,380円 | 4.0kW | 95.0% | 630×325×186 | 26.0kg | ○ | 屋外・屋内兼用 | → |
シャープ | JH-L1C3/L1C3P | 297,990円 | 4.5kW | 94.0% | 666×429×201 | 25.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-48CD2P | 278,880円 | 4.8kW | 95.0% | 630×325×186 | 27.0kg | ○ | 屋外・屋内兼用 | → |
シャープ | JH-G1C3/G1C3P | 372,540円 | 5.5kW | 94.0% | 666×429×201 | 25.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-G1C4/G1C4P | 383,040円 | 5.5kW | 94.0% | 666×429×201 | 27.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-M0B2/M0B2P | オープン | 4.0kW | 94.5% | 600×400×180 | 27.0kg | ○ | 屋外・屋内兼用 | → |
シャープ | JH-S9Z11 | オープン | 2.5kW | 93.5% | 560×408×177 | 24.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-S1Z11P | オープン | 2.5kW | 93.5% | 666×429×201 | 22.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-L9Z12 | オープン | 3.5kW | 93.0% | 637×408×177 | 27.0kg | ○ | 屋外用 | → |
シャープ | JH-L1Z12P | オープン | 3.5kW | 93.5% | 666×429×201 | 25.0kg | ○ | 屋外用 | → |
ソーラーフロンティア | SPC2703 | オープン | 2.7kW | 94.5% | 490×270×156 | 13.0kg | ○ | 屋内用 | → |
ソーラーフロンティア | SPC4003 | オープン | 4.0kW | 94.5% | 490×270×156 | 14.0kg | ○ | 屋内用 | → |
ソーラーフロンティア | SPC5503 | オープン | 5.5kW | 94.5% | 580×280×162 | 18.5kg | ○ | 屋内用 | → |
東芝 | TPV-PCS0300B | 262,500円 | 3.0kW | 95.0% | 460×280×131 | 13.5kg | ○ | 屋内用 | → |
東芝 | TPV-PCS0400B | 304,500円 | 4.0kW | 95.0% | 460×280×131 | 13.5kg | ○ | 屋内用 | → |
東芝 | TPV-PCS0550B | 420,000円 | 5.5kW | 95.0% | 550×280×161 | 18.0kg | ○ | 屋内用 | → |
長州産業 | PCS-40Z2 | 312,900円 | 4.0kW | 95.0% | 460×280×131 | 13.5kg | ○ | 屋内用 | → |
長州産業 | PCS-55Z2 | 430,500円 | 5.5kW | 95.0% | 550×280×161 | 18.0kg | ○ | 屋内用 | → |
パナソニック | VBPC340 | 309,750円 | 4.0kW | 95.0% | 518×280×145 | 15.5kg | ○ | 屋内用 | → |
パナソニック | VBPC355 | 420,000円 | 5.5kW | 95.0% | 620×280×155 | 19.0kg | ○ | 屋内用 | → |
パナソニック | VBPC227A3 | 231,000円 | 2.7kW | 95.5% | 490×270×156 | 14.0kg | ○ | 屋内用 | → |
パナソニック | VBPC240A6 | 309,750円 | 4.0kW | 95.0% | 490×270×156 | 14.0kg | ○ | 屋内用 | → |
パナソニック | VBPC255A3 | 420,000円 | 5.5kW | 95.0% | 580×280×162 | 18.5kg | ○ | 屋内用 | → |
ホンダソルテック | HEP040S | 225,750円 | 4.0kW | 94.5% | 490×270×156 | 14.3kg | ○ | 屋内用 | → |
ホンダソルテック | HEP055S | 346,500円 | 5.5kW | 94.5% | 580×280×162 | 18.5kg | ○ | 屋内用 | → |
三菱電機 | PV-PS18GA | 273,000円 | 1.8kW | 93.5% | 520×340×160 | 16.7kg | - | 屋外・屋内兼用 | → |
三菱電機 | PV-PN30G | 299,250円 | 3.0kW | 95.5% | 430×240×140 | 14.4kg | ○ | 屋内用 | → |
三菱電機 | PV-PN40G | 367,500円 | 4.0kW | 97.5% | 460×240×140 | 14.7kg | ○ | 屋内用 | → |
三菱電機 | PV-PN55G | 525,000円 | 5.5kW | 96.5% | 635×240×165 | 22.7kg | ○ | 屋内用 | → |
LIXILエナジー | YLE-TL27A2 | 220,000円 | 2.7kW | 94.5% | 490×270×156 | 13.0kg | ○ | 屋内用 | → |
LIXILエナジー | YLE-TL40A5 | 295,000円 | 4.0kW | 94.5% | 490×270×156 | 14.0kg | ○ | 屋内用 | → |
LIXILエナジー | YLE-TL55A3 | 400,000円 | 5.5kW | 94.5% | 580×280×162 | 18.5kg | ○ | 屋内用 | → |
*1 シャープ製パワーコンディショナの場合、自立運転用コンセントがオプション扱いになっている場合がある。
(2012年7月末調査)
(2013/2/20 更新)
更新履歴
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。