「特集:ソーラー・パネルだって故障や不具合が起こります!」で解説しているように、工業製品である太陽光発電システムは、故障することもありますし、少なからずメンテナンス(点検など)も必要です。長期間にわたって利用する製品なので、サポートや保証についても十分に確認したうえで購入を決めるようにしましょう。
なお、本記事の内容は、2013年10月末時点の調査結果に基づくものです。保証内容などが変更になる場合がありますので、購入前に施工業者などに必ずご確認ください。
国内で住宅向けとして販売されているほとんどのソーラー・パネルには、最低でも10年間の保証がついています。これは、ソーラー・パネルに10年以上の保証をつけないと、国からの補助金を受けるための認定条件を満たさないからです。最近では10年以上の保証を提供するメーカーが増えてきています。ただし無償/有償、保証範囲などはメーカーによって異なります。ソーラー・パネル以外の部品、たとえば発電モニタの製品保証期間は1年や2年であったり、接続箱や接続ケーブルの保証期間は異なるなどです。
またメーカーによっては、購入時に明示的に申し込まないとメーカー保証を受けられない場合があります。これは、メーカーが認定した販売店・施工業者以外の施工の場合、保証対象としないという理由からだと思われます。通常の販売店・施工業者に工事を依頼した場合、この点が問題になることはない(問題なく保証を受けられる)はずですが、万が一のこともあるので、一応念頭には置きましょう。
ソーラー・パネルには、製品保証と出力保証の2つがあります。製造上の不良などにより、ソーラー・パネルも故障や破損が起きることがあります。設置後、こうした故障や破損を保証するのが製品保証です。
出力保証とは、出力性能を一定期間にわたって保証し、何らかの理由から規程よりもモジュールの発電性能が低下したときには、メーカーが自身の責任で、問題があったモジュールの修理や交換に応じるサービスのことです。カナディアン・ソーラーやサンテックパワー、ソーラーフロンティアのように、製品保証と出力保証の期間が異なり、出力保証の期間を製品保証よりも長く設定しているところもあります。
出力保証を受けるには、予想される発電量よりも低い量しか発電していないことを明らかにする必要があります。太陽光発電は天候次第で発電量が大きく変化するため、少しくらい発電量が落ちても、実際には気付かないことがほとんどです。そこで、発電出力の異常に早めに気付くために、日ごろから発電量を記録しておくことが重要です。データを記録しておけば、メーカーに問い合わせる際にも症状を具体的に説明できます。また最近では、インターネットを利用したモニタリング・サービスが提供されているので、こうしたサービスを利用してもよいでしょう(シャープなどのようにメーカーが提供している場合もあります)。
火災や自然災害でソーラー・パネルなどが壊れる場合もあるでしょう。このような災害時の補償制度を用意しているメーカーがあります。具体的には、京セラとサンテックパワージャパン、ソーラーフロンティア、ホンダソルテックなどが無償で災害補償を提供しています。またこれら以外のメーカーでも、有償で災害補償制度を用意しているところがあります。補償範囲に若干の違いはありますが、基本的に火災と自然災害(一部を除く)で太陽光発電システムが正しく機能しなくなった場合に、その修理費用などを補償するというものです。
また家屋向けの火災保険の中には、ソーラー・パネルを屋根の一部とみなして、火災時や自然災害時にソーラー・パネルも補償対象に入れるものがあるようです。ソーラー・パネル・メーカーがどのような補償制度を用意しているかを確認するとともに、住宅がすでに加入している火災保険の内容について、事前に保険会社に確認しておくとよいでしょう。
ここではソーラー・パネル・メーカーが提供している保証内容を一覧にしましたが、販売店や施行業者が独自に提供している災害補償サービスや点検サービスなどもあります。こちらについては、販売店や施行業者などに直接確認してください。
メーカー名 | メーカー保証期間 | 申し込みの有無 | 定期点検サービス | 災害補償 | 災害補償の内容 | Webページ |
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エスパワー | ・10年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証) | - | 定期点検制度あり | 10年保証制度(無償) | ・10年間、火災や自然災害での損害を補償 | → |
カナディアン・ソーラー | ・25年(ソーラー・パネルの出力保証)/10年(ソーラー・パネル、パワーコンディショナなどのシステム保証) | - | - | - | - | → |
カネカ | ・10年ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) | - | 1年目、4年目、8年目にお客さまにアンケート調査を実施 | - | - | → |
京セラ | ・10年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) | 不要(ただし設置1年後の無償点検を受けること) | 任意点検(有償) | 10年保証制度(無償) | ・10年間、火災や自然災害での損害を補償 | → |
サンテックパワー | ・25年(ソーラー・パネルの出力保証)/10年(ソーラー・パネル、パワーコンディショナなどのシステム保証) | サンテックパワー総合補償制度は販売店単位付帯 | 定期点検なし/1年目/1年目と3年目の選択可能、随時点検(有償) | サンテックパワー総合補償制度(無償) | ・10年間、火災、落雷、雪災、風災、水災などによる災害に対して、1回の事故につき200万円までを補償 ・10年間、完成引渡し後に設置箇所の瑕疵により、雨漏りが発生し、修繕が必要となった屋根に対して200万円を上限に修繕費を補償 |
→ |
シャープ | ・10年保証(無償):10年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証) ・まるごと15年保証(有償):15年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証) |
必要(設置時に10年保証/まるごと15年保証を選択) | Webモニタリングサービス(申し込み必要)に加入により、異常検出時に点検。 | SUNVISTA総合保障制度(有償) | ・10年間、自然災害などにより機器に損害があった場合に200万円を上限に修繕費を補償 ・10年間、建物が火災・ 台風・水害などで20万円以上の被害に見舞われた場合、お見舞い金として最大50万円を支払い |
→ |
ソーラーフロンティア | ・20年(ソーラー・パネルの出力保証)/10年(パワーコンディショナなどのシステム保証) | 必要(設置1年、5年、9年後の点検を受けること) | 1年/5年/9年を推奨(有償) | - | - | → |
高島(スマイルソーラー) | ・25年(ソーラー・パネルの出力保証)/10年(ソーラー・パネル、パワーコンディショナなどのシステム保証)/10年間(工事によって生じた不具合を補償する工事補償) | - | 太陽光パネル24時間見守りサービス(インターネットを利用したモニタリング・サービスあり) | 高島PV総合補償制度(有償) | ・10年間、自然災害(地震・火山・津波は補償対象外)などにより機器に損害があった場合に損害を補償 ・異常気象などで年間の日照時間が基準値を下回った場合、日照時間に対応して最大25万円までを補償 |
→ |
東芝 | ・20年パワフル保証(有償):20年(ソーラー・パネルの出力保証)/15年(パワーコンディショナなどのシステム保証) ・15年パワフル保証(有償):15年(ソーラー・パネルの出力保証)/15年(パワーコンディショナなどのシステム保証) ・10年保証制度(無償):10年(ソーラー・パネルの出力保証)/10年(パワーコンディショナなどのシステム保証) |
必要 | 1年/4年を推奨(有償) | - | - | → |
長州産業 | ・10年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証)/2年(発電モニタ) | 必要 | - | - | - | → |
パナソニック | ・20年(HIT240α/HIT235α/HITハーフタイプ120αの出力保証)/10年(パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) ・10年(そのほかのソーラー・パネルの出力保証)/10年(パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) |
必要 | - | 自然災害10年補償(有償) | ・10年間、自然災害などにより機器に損害があった場合に300万円を上限に修繕費を補償 | → |
三菱電機 | ・20年(2012年10月1日以降の保証書発行分のソーラー・パネルの出力保証)/10年(ソーラー・パネル、パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) ・10年(そのほかのソーラー・パネルの出力保証)/10年(ソーラー・パネル、パワーコンディショナなどのシステム保証)/1年(発電モニタ) |
必要 | 4年ごとの定期点検制度あり(有償) | 災害補償制度(有償) | ・10年間、自然災害などにより機器に損害があった場合に200万円を上限に修繕費を補償 | → |
LIXILエナジー | ・10年(ソーラー・パネルの出力保証、パワーコンディショナなどのシステム保証)/2年(発電モニタ) | 不要 | - | リクシルソーラー安心補償制度(無償) | ・10年間、自然災害(地震・火山・津波は補償対象外)などにより機器に損害があった場合に200万円を上限に修繕費を補償 | → |
(2015/3/3 更新)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。