ガスを燃料とするガスエンジンで発電を行うとともに、その際に発生する排熱を住宅の給湯や暖房などに利用する機器の愛称。厳密には家庭用コージェネレーション・システム(→用語解説)と呼ばれます。
発電時に発生する熱を有効に利用するため、エネルギー効率が高く、環境負荷が小さいとされています。エコウィルを設置すると、給湯時に発電するので、その分、電力会社から購入する電気は少なくてすみます。発電した排熱を給湯や暖房に効率よく利用できるため、設置前よりもトータルの光熱費(電気代+ガス代)を削減できます。
エコウィルの構成
また住宅がある地方によっては、自治体から設置時の補助金が提供されたり、ガス会社によっては、エコウィル・ユーザーに対してガス料金の割引を実施したりしています。
エコウィルと同じようにガスを利用して発電し、排熱を給湯などに利用するコージェネレーション・システムとして「エネファーム(→用語解説)」があります。こちらはガスから水素を取り出して発電する燃料電池で、技術的には先端的で、エネルギー効率も高いとされますが、機器の価格も高価です(200万円以上)。これに対しエコウィルでは、比較的ローテクなガスエンジンを利用するので、機器の価格はエネファームに比較すると安価です(80万円程度)。
エコウィルの例
左が発電ユニット、右が貯湯ユニット。(写真提供:東京ガス)
エコウィルの発電能力は1kW程度と小さく、貯湯タンクのお湯が沸ききると発電が停止されるため、エコウィルだけで家庭で使うすべての電気をまかなうことはできません。電力会社からの電気利用は前提になります(ただし、エコウィルの発電により、電力消費は減らせます)。
また太陽光発電システムのように、電力会社と系統連系(→用語解説)の契約もできないので、エコウィルの発電によって余剰電力が生まれても売電はできません。ただし太陽光発電システムと併用する場合には、余剰電力の売電が可能です。ソーラー・パネルとエコウィルの両方で発電できることから、これは「W発電(ダブル発電)(→用語解説)」と呼ばれます。この場合、余剰電力量は増やせますが、W発電時の売電単価は1kWhあたり39円となります(太陽光発電だけの場合は1kWhあたり48円)。これは、ガス利用のコージェネレーション・システム(エコウィル、エネファームなど)で発電した電気をまるまる余剰電力として売電できる可能性があり、資金に余裕のある家庭が有利に売電できることになってしまうための措置だとされています。しかし利用者から見れば、W発電にすると売電単価が下がって不利になってしまうことから、東京ガスと大阪ガスは、売電した余剰電力の1kWhあたり10円(東京ガスの場合。大阪ガスは余剰電力1kWhあたり9円)をガス会社が利用者に支給して、W発電時の不利を解消する支援策を実施しています(この支援策に関する詳細は別記事のニュースを参照)。
(2010/11/1 更新)
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。