太陽生活 > Special > 太陽光発電システム・メーカーに聞きました! 2010年版 (1/2)

いうまでもなく、太陽光発電システムの設置で必要となる大きな選択の1つは、メーカーを選ぶことです。メーカー各社は、機能や変換効率、デザイン、価格、保証、アフターサービスなどでそれぞれに独自性を打ち出しています。日本では、多数の太陽光発電システム・メーカーが住宅向け製品を販売しており、それらの中から適した製品を選ぶことが可能です。

多数のメーカーから選べるのはありがたいことですが、一方でメーカーの数が多いと、何がどう違うのか、選択に迷ってしまうということもあります。そこで本稿では、太陽光発電の総合イベントとして、2010年6月30日から7月2日に開催されたPV Japan 2010での取材を元に、国内で太陽光発電システムを販売している主要なメーカーの特徴を簡単にまとめます。なお、「メーカーに聞きました!」という囲み記事は、各メーカーに対して行った質問に対する回答です。こちらはメーカーからの回答をそのまま掲載しています。メーカー自身が何を自社の特色と考えているか、今後の方向性をどのように考えているかなどが分かるでしょう。

(メーカー掲載順は五十音順です)

カナディアン・ソーラー・ジャパン

カナダに本社を置き、カナダと中国に工場を持つ太陽電池の専業メーカーです。欧米を中心にシェアを伸ばしてきています。販売の中心となるソーラー・パネルは単結晶型です。高効率で知られる三菱電機製パワーコンディショナの提供を受けることを先ごろ発表し、従来モデル(オムロン製)に加えて選択可能になりました。このパワーコンディショナを始め、取り付けに使用する架台など、パネル以外はすべて国産メーカーの製品を使用しています。

カナディアンソーラー・ジャパン

メーカーに聞きました!

製品サービスの特徴は?

晴れの日はもちろん曇りの日も発電しやすい単結晶モジュールを採用。多結晶モジュールに比べ総発電量などで有利。モジュールは海外生産だがそれ以外は国内メーカーの部材をシステムに採用、日本の屋根を熟知している国内架台メーカーから供給を受けています。10年システム保証を付け、さらにモジュールの25年出力保証を付けています。太陽電池専業メーカーとしての自信と世界シェア6位(2010年第1四半期、IMSリサーチ調べ)の実績でお客様に安心とエコライフを提供致します。

今後に向けて力を入れている取り組みは?

設置屋根種類の増加、一般購買者への認知度向上。

消費者にアピールしたいこと、もっとも注目してほしいことは?

結晶系では世界で3社しかない年間生産能力1ギガワット超えを2010年に実現、世界シェアも6位の実績(5.2%)で欧州を中心に米国などで使用されています。プロジェクトと呼ばれる多くの巨大な太陽電池発電所も弊社モジュールを採用し、欧米を中心に使用されています。世界中の過酷な環境で培われた技術で強度と耐久性を備えたモジュールを日本へ導入。架台・周辺機器は国内メーカーを採用した安心のシステムをお客様へご提供しています。

カネカ

化成品や機能性樹脂などの化学製品を幅広く製造・販売する大手メーカーのカネカ(旧 鐘淵化学工業)が、ソーラー・パネルを製造・販売しています。住宅向けに販売しているソーラー・パネルは、多結晶シリコン薄膜と、アモルファス・シリコンを組み合わせたハイブリッド太陽電池です。一般的な結晶型(多結晶/単結晶)ソーラー・パネルと比較すると、変換効率はやや劣りますが、結晶型よりも低コストで製造できるのが利点です。カネカのソーラー・パネルは黒色で、黒色系の屋根材が多い日本では、設置した際の見栄えに優れるという特徴があります。

ただ現在は、大手ハウスメーカーとの協業による新築向け販売が中心で、既築住宅向けの設置工事業者でカネカ製品を取り扱うところは多くありません。既築物件向けの取り扱い店も現在拡大中とのことなので、今後は話題に上ることが増えてくるでしょう。

カネカ

メーカーに聞きました!

製品サービスの特徴は?

カネカの太陽電池は、2種類の太陽電池の「いいトコ取り」。太陽電池には何種類かありますが、現在はシリコン(ケイ素)を使ったものが主流です。これには「結晶系(単結晶・多結晶)」と「非結晶系(アモルファス)」があり、「結晶系」は光を電気に変える効率は高いのですが、製造コストが高め。「アモルファス」はシリコン使用量が少ない反面、変換効率が低いのが弱点でした。そこで「結晶系」と「アモルファス」の特長を併せ持つ「薄膜の多結晶シリコン」を開発し「アモルファス」と組み合わせました。それがカネカの「薄膜シリコンハイブリッド太陽電池」。発電効率が「アモルファス」だけの場合よりも約30%向上(当社比)しました。また、パネルの一部に影がかかった場合でも影響を受けにくく、安定して発電することができます。

今後に向けて力を入れている取り組みは?

カネカは、デザイン性の高い太陽電池づくりを志しています。おすすめ製品は、「瓦一体型VISOLA(ヴィソラ)」「化粧スレート瓦専用SOLTILEX(ソルティレックス)」。製品メリットは、以下の3つです。(1)屋根材との調和:落ち着いた色合いのボディはダーク系色の平板瓦屋根や化粧スレート瓦屋根となじみ、一体感のある外観を演出します。(2)設置:最小2枚から設置可能。小さな屋根や複雑な形の屋根でもスペースを有効利用できます。SOLTILEXの場合は施工後の太陽電池取替えも1枚ごとに屋根材を外すことなく容易にできます。(3)雨漏りのリスク低減:屋根材としての基本性能(防水性、耐風性)には特に配慮。SOLTILEXは化粧スレート瓦に元からあいている取付穴を利用して太陽電池を固定する工法*を用い、防水性を高めました。(*新しい屋根材使用の場合)

消費者にアピールしたいこと、もっとも注目してほしいことは?

そもそもカネカってどんな会社?という方もいるかもしれません。私たちは総合化学メーカーです。化成品、機能性樹脂、発泡樹脂製品、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維といった領域の製品を開発・製造・販売しています。太陽電池開発のスタートは1980年。基礎研究を始めてからもう30年になりました。原料メーカーという性格上あまり名前を知られていませんが、皆様に満足いただける「美しく外観に溶け込む」太陽電池製品を作っていけるよう日々精進しています。よろしくお願いします。

京セラ

国内で最初に住宅用太陽光発電システムを発売した京セラは、全国展開するフランチャイズ店を経由して、質の高い施工やアフターサポートを受けられることが大きな特徴です。また主力の寄棟・切妻屋根用パネル製品である「サムライ」は小型のパネルで、屋根のサイズや形状に応じて、柔軟なデザインが可能で、無駄なくより多くのパネルを搭載できます。住宅用に加え、国内の公共産業用太陽電池のシェアは40%の国内第1位。住宅用に産業用に、実績は非常に高いメーカーです。

施工やアフターサービスについても厳しく管理しており、「シスピー」と呼ばれる全国の施工店向けの顧客管理システムを開発し、顧客情報を中央で管理することで、施工店によってサービスにバラつきなどが出ないようにしています。

京セラ

メーカーに聞きました!

製品サービスの特徴は?

2種類の大きさのモジュールを使い、複雑な形状の屋根などにも調和する住宅用太陽光発電システム「SAMURAI」や、公共産業用途向けの大型モジュール、屋根の材質に合わせた多様な金具など、お客様のニーズに合わせたラインアップをそろえています。また、フランチャイズ販売店に顧客サービス管理ソフト「シスピー」というシステムを導入し、すべてのお客様に販売からアフターメンテナンスまでの質の高いサービスを展開しています。

今後に向けて力を入れている取り組みは?

太陽電池の品質はもちろんのこと、総合的にお客様に満足していただくためには、販売や施工、そしてアフターサービスの過程においても徹底した品質管理が必要です。そのため、お客様の身近なところで太陽電池を販売する「京セラソーラーFC店」を全国で117店舗(2010年7月末現在)展開しており、今期末までに150店舗規模へ拡充します。また、より優れた施工技術者を養成するため「京セラソーラー施工士認定制度」を展開し、全国の施工業者等を対象にした研修を通して技術を習得していただいています。

消費者にアピールしたいこと、もっとも注目してほしいことは?

太陽光発電システムは、長きにわたりお客様にお使いいただく製品です。そのため「製品・営業・施工・サービス」の「4つの品質」がすべてそろって初めて、そのパフォーマンスを発揮することができます。京セラおよび京セラソーラーコーポレーションでは、この「4つの品質」をさらに徹底して追求し、より優れた品質の太陽光発電システムを市場に供給したいと考えています。

サンテックパワージャパン

サンテックパワーは中国で創業され、その後中国企業として始めてニューヨーク証券取引所に株式公開した太陽電池の専業メーカーです。各国の大規模施設などで広く採用されており、世界で急速に存在感を増しつつあるメーカーの1つです。日本国内では、ヤマダ電機やカインズホームなどの家電量販店や大規模ホームセンターなどと協業し、住宅向けの太陽光発電システムの販売に力を入れています。サンテックパワージャパンが国内で販売するソーラー・パネルは、効率が高いとされる単結晶モジュールです。また、他メーカーでは10年が一般的なソーラー・パネルの出力保証(→用語解説)を25年間という長期にわたり提供することが特徴です(システム保証は10年)。また先ごろ、火災や落雷、雪害などの自然災害や、設置工事を原因とする雨漏りなどを総合的に補償する「サンテクパワー総合補償制度」を開始しました。

サンテックパワー

メーカーに聞きました!

製品サービスの特徴は?

単結晶を使用していることがサンテックパワーの太陽光発電モジュールの大きな特長です。単結晶シリコンセルは変換効率が高く、面積の限られている日本の屋根には最適です。屋根置き型の太陽光発電モジュール「On The Roof」では、業界最高レベルの変換効率14.9%を達成しています。また、黒を基調とした「On The Roof BLACK LABEL」は、日本の黒い瓦の外観になじみやすく、デザインを重視されるお客様に好評です。軽量で堅牢なモジュール設計で様々な地域に対応しています。

今後に向けて力を入れている取り組みは?

サンテックパワーはアフターサービスに力を入れています。2009年に日本で初めて住宅用標準モジュールの「25年出力保証」を始め、2010年7月からは施工後の屋根漏水補償に加え、火災や自然災害まで幅広く補償する「サンテックパワー総合補償制度」を開始。ご購入後のお客様のご質問にお答えする「お客様サポートデスク」、電話で解決できない問題が発生した場合には全国170個所の拠点からお伺いする「訪問点検サービス」など、安心して長くご利用いただける体制を整えています。

消費者にアピールしたいこと、もっとも注目してほしいことは?

サンテックパワーは結晶系モジュール生産量で世界第1位。選定基準の厳しい欧米で数々の大型プロジェクトに採用され、性能と品質を高く評価されています。欧州では太陽光発電の電力購入制度(FIT)の条件として、モジュールに25年の出力保証が求められます。サンテックパワーは、欧米の認証機関から承認された世界有数のテストラボを社内に有し、セルおよび周辺部材を厳選、生産工程での品質管理を徹底し、25年の耐久性を備えた製品を世に送り出しています。充実したアフターサービスとあわせ長く安心してお客様にご利用いただくことがサンテックパワーの目標です。

三洋電機

三洋電機製ソーラー・パネルの最大の特徴は、独自技術で単結晶シリコンウェハとアモルファス・シリコンを組み合わせて、世界最高水準の変換効率を達成したHIT太陽電池(→用語解説)を採用していることです。変換効率が高ければ、小さい面積でもより多くの電気を作れます。狭い屋根でもできるだけ多く発電し、より多くの余剰電力を売電したいというユーザーが多いことから、国内では人気の高い製品です。また同一出力なら、他社製品よりも屋根に搭載するパネルの重量も削減できるという利点もあります。

三洋電機は、パナソニック(株)による完全子会社化に合意しました。当面は三洋ブランドとパソニック・ブランドの双方でHIT太陽電池を販売しますが、将来的には三洋ブランドはなくなり、パナソニックブランドに統合されると報道されています。

三洋

メーカーに聞きました!

製品サービスの特徴は?

三洋電機独自のHIT太陽電池により、設置面積あたり世界No.1を実現しています。HIT太陽電池は、発電ロスの少ない構造で、大幅に発電ロスを抑える高出力の構造です。発電性能も大幅アップしました。また、省スペース化、軽量化を実現して、いままで設置できなかった屋根への設置も可能になりました。

今後に向けて力を入れている取り組みは?

今後も、お客様により良い商品をお届けするため、HIT太陽電池の性能をアップしていきます。

消費者にアピールしたいこと、もっとも注目してほしいことは?

太陽光発電は、環境にも家計にも貢献しますので、ぜひHIT太陽電池の導入をご検討下さい! 太陽光発電を上手に活用すれば、地球温暖化の一因といわれているCO2や毎日の光熱費を大幅に削減できます。平均的な一世帯の家庭から排出される温室効果ガスの約30%が削減できる場合もあります。また、同時に電気代の大幅な節約も期待できます。オール電化と太陽光発電を組み合わせれば、発電した電気をさらに有効に使え、約80%と大幅な光熱費の削減が期待できます(*詳細は三洋電機の解説ページ)。

(2010/9/13 更新)

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2011/8/4
小学館 女性セブン 8月18日号「太陽光発電の意外な落とし穴」で、当サイトのコメントが紹介されました。
2011/7/28
テレビ神奈川 7月28日放送の「太陽がもたらす新たな社会 ~太陽経済かながわ会議~」に、当サイト編集長 小川誉久が出演しました。(→番組ホームページ
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