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よくある質問

ソーラー・パネルの品質はメーカーによって違うんですか?

電気製品にしろ、自動車にしろ、メーカーや機種によって品質には幅があるものです。メーカー各社は、それぞれに材料や部品、製造工程、製品検査の内容などが違っているので、出来上がる最終製品の品質も違ってくるのが当然でしょう。これはソーラー・パネルであっても例外ではありませんし、太陽光発電システムに含まれるソーラー・パネル以外の機器(パワーコンディショナなど)にもいえることです。

ソーラー・パネル・メーカー各社は、自社製品に出力保証(→用語解説)をつけており、設置後に不具合が発生して出力が低下した場合には、製品の交換などに応じるとしています。メーカーにもよりますが、各社は10年~25年という長期間にわたる出力保証をつけています(詳細は別記事を参照)。

この保証のおかげで、ユーザーは安心して太陽光発電システムを買えるわけですが、実際には落とし穴もあります。

ソーラー・パネルの製造工程と構造

ソーラー・パネルの品質に幅があるのは、パネルの種別(結晶系か、化合物系か、など)や特定のメーカー、製品に限った話ではないのですが、わかりやすくするために具体例を挙げて説明しましょう。

「太陽電池」の用語解説(→用語解説を見る)で説明しているとおり、代表的な多結晶シリコン型のソーラー・パネルは、原料となるシリコンを高温で溶かし、固めてインゴット(「塊」の意味)にし(図の1)、これを薄くスライスしてシリコン・ウエハを作り(図の2)、これに処理を加えてセルにして(図の4)、電極を形成し(図の5)、複数のセルをパネルに並べてセル同士を導線でつなぎ、風雨の影響を受けないようにシールする(図の6)という一連の工程で作られます。

多結晶シリコン型ソーラー・パネルができるまで

多結晶シリコン型ソーラー・パネルができるまで
多結晶シリコン型ソーラー・パネルの主だった製造工程はこのようになっている。使用される原料や材料、製造工程などは各社で異なるので、当然ながら品質にも違いが出てくる。

こうして作られるソーラー・パネルの構造は、次のようになっています。

ソーラー・パネルの構造

ソーラー・パネルの構造
図は代表的なシリコン結晶型ソーラー・パネルの構造。ソーラー・パネルを横から見ると、図のような構成になっている。太陽電池セルと呼ばれる薄い板を導線でつなぎ、雨などの水分がパネル内に入り込まないように外部からシールされている。

ソーラー・パネルの構造はそれほど複雑ではありません。セルを並べて導線(接続線)でつなぎ、風雨の影響を受けないように、しっかりと全体をシールしてフレームで固定しています。

このように一般的な話をすると、どのメーカーも同じような材料を使って同じように作っているように思えてしまいます。実際、使われるシリコン原料や、基本的な製造工程などは似通っています。しかし実際に細かく見ていくと、各社でけっこうな違いがあります。

まずはシリコン原料。同じシリコン原料でも、ソーラー・パネル用途では、端材(はざい)と呼ばれるスクラップ原料を加えてコストダウンするのが一般的です。これは、コンピュータなどで使う高精度のシリコンチップ用のインゴットを製造する過程で出たインゴットの切れ端や、ソーラー・パネル用のウエハを製造したときに出るインゴットの切れ端などです。スクラップにはさまざまな品質のものがありますから、コストと品質を天秤にかけながら、使用するシリコン原料の配合を決めます。これは、ウエハ製造における各社独自のノウハウになっています。

パネルの基本的な構造は上の図に示したとおりですが、内部の接続線を産業ロボットで自動的に結線しているメーカーもあれば、最近は減ってきているようですが、手作業で結線しているメーカーもあります。

またパネル内部のセルを雨などから守るシール材は、長い年月にわたって屋根の上で風雨にさらされても、パネル内部に水分の侵入を許さないように、各社が工夫をしているところです。短期間では違いは出ませんが、長期にわたって使い続けると、このあたりの品質の差が不具合発生率に影響してくると思われます。

ここではいくつかのポイントに絞って紹介しましたが、大筋では共通していても、細かく見れば材料や製造過程は各社で違っています。

規格は認定されているが、品質が認定されているわけではない

国内で販売されるソーラー・パネルは、国際規格で定められた条件で検査されて、定格出力や変換効率など、カタログに表記されるスペックが認定されます。またほとんどはJET認証(→用語解説)を受けており、各種規格や基準への適合、品質管理体制のチェックなどをパスしています。

ただしこれらは、基本的に製品モデルの規格が認定されたものであって、個々の製品品質を検査して認定しているわけではありません。設置したパネルがどれほど過酷な気象条件でも影響を受けないかとか、長期にわたって使用した場合の耐久性などは、あくまでメーカーの判断で基準が設定され、設計や検査がされているにすぎません。ソーラー・パネル・メーカーにしても、不具合が続出して信用を失っては業績向上は見込めませんから、一定以上の品質は維持されているものと思われますが、具体的にどうするのかは、あくまでもメーカーの判断に任されているのです。

別記事(「太陽光発電システム、故障しませんか?(よくある質問)」)で説明したとおり、太陽光発電システムの落とし穴は、故障や不具合を見つけるのが簡単ではないことです。発電量は天気まかせですから、不具合で多少発電量が減ったくらいでは、なかなか故障に気づきません。

10年~15年発電して元をとるという太陽光発電システムですから、少なくとも15年くらいは大きな不具合を起こすことなく使えなければ困ります。各メーカーとも、一定以上の品質の製品を販売しているものと思いますが、設置場所によって気候条件はかなり違いますし、本当に15年安心して使える品質が確保されているかどうかは、最終的には使ってみなければわからないのが正直なところです。このような大切な製品の品質の問題が、太陽光発電システムの値下げ競争の影であまり注目されないのは残念なことですし、危険なことです。

とはいえ、どのメーカーなら安心とか、国産なら大丈夫で海外産は危ない、などと単純に判断できるものでもありません。最終的には、ご自身の判断でリスクをとって、メーカーや設置業者を選択することになります。万一のときに頼れる補償があることを確認するとともに、長期にわたってそうした補償をしっかりと受けられるメーカーか、設置業者かを見極めてください。

(2012/2/6 公開)

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