2011年3月3日(木) 6時53分 公開
2011年3月2日から4日の3日間にわたり、東京国際展示場(東京ビッグサイト)において太陽光発電システムに関する展示会「PV EXPO 2011」が開催されている。初日の模様を主なソーラー・パネル・メーカーの展示を中心に紹介する。なお、前回のPV EXPO 2010と同様、パナソニック(三洋電機を含む)やホンダソルテックは出展していない。
ウエストホールディングスは、これまでサンテックパワーなどの太陽光発電システムの施工を中心にしていたが、新たに独自のソーラー・パネル「TERAS(テラス)シリーズ」を発売。公称最大出力15.3%という高い変換効率を実現した単結晶シリコン型のソーラー・パネルで、無線接続の発電モニタや、屋外設置が可能なパワーコンディショナなどと合わせて 、今後、販売・施工に力を入れていくとのことだ。
またウエスト社は、ナショナルセミコンダクターのソーラーマジック(SolarMagic)の販売を行っている。ソーラーマジックは、部分的な日陰や製品のばらつきなどによる、各モジュールの発電量のばらつきを調整して全体の発電量を向上させる機器。南面だけでなく、東面や西面など条件が若干悪いところでも、ソーラーマジックを導入することで発電量が増やせると説明している。売電価格の引き上げから、こうした機器を導入しても発電量を増やしたいというニーズがあるという。
エスパワーは、今回が初出展となる。突如登場した国産メーカーで、ソーラー・パネルを国内で自社製造するほか、施工も手がけている。さらに、まだ研究段階ではあるものの、原料シリコン(ポリシリコン)の製造技術も独自に開発した。原料シリコンからパネル製造、施工までを一貫して手掛けるソーラー・メーカーなど、世界に類を見ないのではないか。
同社の太陽光発電システムは「サンチェリーソーラー」のブランドで販売され、公称最大出力270Wを誇る大型のソーラー・パネルなど、複数のサイズをラインアップしている。また太陽光発電システム以外にも、電気自動車向けの100V/200Vコンセントを収納できる充電ボックス「EVOX」なども展示していた。なかなか興味深いメーカーだ。
2010年に高効率で知られる三菱電機製パワーコンディショナの提供を受けることを発表し、従来モデル(オムロン製)に加えて選択可能となっている。展示でも、電力変換効率96%をアピールしていた(写真)。またソーラー・パネルも、現行の単結晶シリコン型の「CS5A-180M(公称最大出力180W)」よりも、出力を向上した「CS5A-190(190W)」を展示していた。
カネカは、アモルファスシリコン太陽電池と薄膜多結晶シリコン太陽電池を組み合わせた、薄膜シリコンハイブリッド太陽電池を販売している。瓦一体型の「VISOLA(ヴィソラ)」とスレート瓦専用の「SOLTILEX(ソルティレックス)」を展示。
住宅向けは、ソーラー・パネルを屋根に固定する架台を不要にした「エコノルーツ(ECONOROOTS) タイプU」(1月発表)と、公称最大出力77.5Wの「サムライ(SAMURAI)」シリーズの追加モデル(2月発表)を中心に展示している。サムライシリーズは、従来の46W(太陽電池セル枚数12枚)と64W(同16枚)の長短モデルに、77.5Wのさらに長いモデルが加わったことで、屋根への設置の自由度が高まったとしている。
屋根置き型の「On The Roof」をスレート瓦用の架台(取付金具)「ガシットルーフ」とともに展示していた。簡素化された金具により施工時間の短縮や、垂木に頼らない架台の取り付けが可能になっているということだ。
産業向けとして、2010年12月に発表したバックコンタクトセルを採用したモデルを展示。公称最大出力271W、変換効率17.0%を誇る「NQ-271AA」など複数のモデルを近日発売としていた。産業向けだけでなく、このセルを採用した住宅向け製品の早期展開を期待したいところだ。
住宅向けとしては、ハーフサイズと台形のソーラー・パネルを展示。これにより、寄棟などの屋根でも多くのソーラー・パネルが搭載できるという。また、集合住宅向けとして公称最大出力135W、変換効率9.6%の薄膜シリコン型ソーラー・パネルも展示していた。
ソーラーフロンティアは、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)元素からなる化合物半導体の薄膜を利用したCIS太陽電池を販売するメーカー。昨年は、CIS太陽電池のロードマップや枠を狭くしたパネル(フレームレスモジュール)の参考出品があったが、今回はこうした展示はなく、現在販売している「SF80-A」「SF85-A」を中心とした展示内容となっていた。
また、携帯電話やパソコンで発電量をチェックできる「フロンティアモニター」を開始すると発表している。配電盤にホームサーバーと呼ぶ機器を接続することで、家庭内のネットワークを介して、外出先などからでも売電額などの確認が可能になるということだ。
東芝は、住宅向け太陽光発電システム参入から1年が経ったが、ソーラー・パネルなどの新製品の展示はなかった。ただ、参考出品として同社のテレビ「REGZA(レグザ)」などに発電状況などを表示できる「コミュニケーションボード」を展示していた。このボードは、無線LANをサポートしており、パソコンやREGZAを発電モニタにすることが可能だという。
2010年から日本国内での販売を開始した現代重工業は、公称最大出力220W(変換効率15.2%)と218W(15.0%)のソーラー・パネル、住宅向けのパワーコンディショナや無線対応の発電モニタなどを展示。トータルソリューションとして太陽光発電システムが提供できることをアピールする内容となっていた。
産業用に単結晶シリコン型の「ハーフカットセル」を発表。従来のセルを半分に切ることで、モジュール内での送電ロスを低減できるとのこと。住宅用についても、ハーフカットセルの投入を検討しているということだ。「現在は、多結晶シリコン型が中心だが、今後は単結晶シリコン型にシフトしていくことになる」(担当者)と述べていた。
今回のPV EXPO 2011では、新製品や参考出品は少なく、各社ともどちらかというと現在販売している製品中心の展示となっていた。そのなかで、各社ともソーラー・パネルの取り付け方法(施工方法)の工夫についての展示が目に付いた。PV EXPO 2011自体が、どちらかというと事業者向けに製品や技術などを紹介する場であることも関係していると思うが、ソーラーパネルの性能だけでなく、施工も含めたトータル性能をアピールするように変わりつつあることがうかがえる。
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