光(ひかり)博士:
本業は太陽光発電システムの研究だが、世の中に太陽光発電を普及させるために、初心者を対象とした太陽光発電の教室を開いている。
緑(みどり)ソーラー(ソーラーママ):
一男一女を持つ専業主婦。クリーンで家計も助かると聞き、太陽光発電に興味津々。わからないことだらけなので、光博士の教室に勉強しにやってきた。
前回、発電モジュールのメーカーによる違いについて学んだソーラー・ママ。今回はその続き。今回は、家計を預かる身としては一番気になるモジュールの値段についても聞けるとあって、ワクワク、ちょっぴりドキドキ。
博士っ! ソーラーです! さっそくこの前の続きをお願いします!
おお、ソーラーさんか。今日はまた一段と張り切っておるな!
そりゃぁそうですよ! 今日はいよいよ、お値段について聞けるんですから。やっぱり安いのが一番だけど、安けりゃいいってもんでもないんでしょ?
さすが、できる主婦は勘がいいのう! そのとおりじゃ。じゃあさっそく授業を始めよう!
さてと。発電モジュールの各社の違いについて、カタログを読めるようになるための勉強の続きじゃったな。前回説明したポイントは覚えておるかな? 繰り返しになるが、念のため前回も紹介したポイントを一覧にした表を振り返っておこう。
違いのポイント | 内容 |
変換効率 | 同じ面積に同じ強さ(エネルギー)の光が当たったときに、どれだけ電気に変換できるか。変換効率が高いほど、狭い屋根でもたくさん発電できる |
セルのタイプ | 結晶型、薄膜型、化合物型など、発電モジュールの元となるセルの原料、製造技術などが異なる |
見栄え | 屋根にのせて美観を損ねないか。設置用の部品などもメーカーによって異なり、同じ屋根でも見栄えはかなり変わる場合がある |
価格 | いうまでもなくお値段。安いほどありがたいが、悪かろう安かろうではいけない。あくまでバランスの上で価格を考える必要あり |
モジュールの品揃え | 狭い屋根、複雑な形の屋根でも対応できる形のモジュールがあるかどうか |
保証 | 通常はメーカーの10年保証がつく。メーカーによっては、さらに追加の保証サービスを提供している場合がある |
もちろん覚えていますよ! 前回はこのうち、上の2つの「変換効率」と「セルのタイプ」まで教わりました。セルのタイプの説明は難しかったです…。白状しちゃうと、まだちゃんと理解できているか自信がありません……。
まあまあ。セルにおおよそどんな種類があって、どんな違いがあるかだけでも知っていればカタログは読める。それ以上細かいことは、専門家である設置業者の担当者などに聞けばよろしい。逆に、そういう質問に、ソーラーさんでもわかるような説明ができない業者ではだめじゃな。
なーるほど。何も知らないと、何を聞けばいいかもわからないし、相手がちゃんと答えているか、いい加減なことを話しているかわからないけど、ちょっとでも知識があれば、相手がちゃんとわかっているか、本当に誠意をもって答えてくれているか、ある程度見当がつきますよね。
そうそう、そのとおり。この教室の大きな狙いもそこなんじゃよ!
では今回の本題に戻ろう。ポイントの3番目、「見栄え」じゃな。
そうですけど、見栄えってそんない大事なんでしょうか? モジュールを載せるのは屋根の上だし……。
そうじゃなぁ。あまり気にしない人もいるかもしれんが、実際には、けっこう気になるもんじゃよ。聞いたところでは、特に日本人はうるさい人が多いと聞くぞ。まあ、まずはちょっと例を見てみよう。次の写真は、すでに建っている家の屋根に発電モジュールを追加で置いた例じゃ。
あー。確かに、屋根と発電モジュールでこれだけ色が違うと、すごく目立っちゃいますね。こりゃちょっと気になるかなぁ……。
そうじゃな。これはかなり極端な例だとは思うがのう。また、屋根瓦とモジュールの色の違いに加えて、屋根とモジュールの間にけっこうすき間があることも目立つ一因じゃな。じゃあ次は、目立たない方の例を見てみよう。
あらら? さっきのと比べると、屋根の上には何も乗っていなくて、すっきりしてますね。
そう。これは建材一体型の発電モジュールを使った例じゃ。
建材一体型?
よーく見ると、手前側の屋根の色が青みがかっておるな。これが発電モジュールなんじゃよ。
へぇー。でも、ほかの屋根とも違和感なく一体化していますね。
うむ。建材一体型というのは、屋根用の建材と、発電モジュールを組み合わせて一体化したものなんじゃ。
なるほどー。そりゃ目立たないわけですね。確かにさっきのと比べると、ずいぶん違うなぁ……。断然こっちのほうが見栄えがいいですねぇ。
そうじゃな。ただし、建材一体型のモジュールを使えるのは、屋根全体を新しく作る場合に限られる。じゃから、基本的には新築の場合にしか使えんな。一方、新築で建材一体型モジュールを使えば、モジュールを置く部分の屋根材を節約できる。
そうかぁ、うちはもう建っちゃってるから、無理ですね……、残念!。ところで博士、うちのように既築住宅の屋根に追加するときは、どうしてもさっき見たような写真みたいに目立っちゃうんでしょうか?
普通はあそこまでは目立ないようにできるじゃろう。しかしメーカーによって多少の差がある。発電モジュールの形や厚み、大きさ、色などはメーカーによって違うからな。それから気づきにくいことじゃが、モジュールを屋根に固定する方法とか、設置用の資材(金具など)もメーカーごとに違っていて、これによっても仕上がりに差が出るぞ。
へぇ、そうなんですか。
ただし設置方法とか、資材の使い方などは、屋根の材質などによっても変わってくるので、自分の家の屋根に載せて、仕上がりがどんな風になるかは、工事業者に聞いてみるといいじゃろう。実績のある業者なら、過去の事例写真などを持っているはずじゃ。
そうですねぇ。やっぱりどんな風に仕上がるか気になりますものね。
さあさあさあ、博士! 次は待ちに待った「モジュールのお値段」ですね!
そう興奮するでない。これから説明するが、その前に、話の前提を説明しておくからしっかり聞くように。
また、もったいなんかつけて。
もったいなどつけているわけでないぞ! まず、ここで話すのはあくまで発電モジュールの価格であって、工事代金などは含まないということ。それからこれが一番大事なことなんじゃが、ほとんどのメーカーはモジュールの希望小売価格を公表しておるが、この値段で販売されることはまずなくて、普通は値引きされて販売されるという点じゃ。
うーんと、価格は一応あるけど、普通はその価格よりも安く買えるってことですか?
そういうことじゃ。このことを悪用して、「あなたにだけ特別に割り引きする」などといって、客をあおる不届き者もおるそうじゃから注意が必要じゃ。
あらまぁ、ひどい。でも、例えば希望小売価格が一番安いメーカーの製品は、値引きした後でもやっぱり一番安いんじゃないですか?
もちろん、希望小売価格はひとつの目安にはなる。じゃが、どれくらい値引きしてもらえるかは、設置工事業者から見積もりをとってみないとわからんのじゃ。
うーんと、それじゃあ、希望小売価格が高いほうの製品でも、見積もりをとったら実は安かった、なんてこともあるんですか?
うむ、ありえる。
うーん……、どうしてそういうことになっちゃうんでしょうか?
そうじゃなぁ。いろいろな理由があると思うが、大きなところでは、設置工事業者がモジュール・メーカーからモジュールを仕入れる価格があるじゃろう。発電モジュールに限らず、どんなものでもそうじゃが、製品のメーカーにしてみれば、たくさん買ってくれるお客さんには安く製品を卸すのは常識じゃ。
ああ、えーと、1足だと300円の靴下も、4足まとめ買いすると1000円になる、みたいなものでしょうか。
だいぶスケールは違うが、まあそういうことじゃ。メーカーからモジュールを大量にまとめ買いできるような大手の業者は、小さい「町の業者」さんより、モジュールをメーカーから有利な条件で買えている可能性が高いな。
それじゃあ、大手の業者にお願いしたほうが安いってことですか?
それはわからん。仮に安く仕入れていたとしても、それをいくらで売るかは業者の判断じゃからな。ただ、こういう事情があるから、実売価格はいろんな条件で変わる可能性があるということじゃ。
なるほどねー。じゃあ、同じ製品だったとしても、業者によって値段が違うかもしれないってことですね。
そう。それとここでいっておきたいのは、一般的な先入観からすると、大手の業者にお願いすると高くつきそうで、小さな業者のほうが安いと思いがちじゃが、そうとも限らないということじゃな。
そうかあ。じゃあ、いろんなところから値段を聞いたほうがいいですね。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。