光(ひかり)博士:
本業は太陽光発電システムの研究だが、世の中に太陽光発電を普及させるために、初心者を対象とした太陽光発電の教室を開いている。
緑(みどり)ソーラー(ソーラーママ):
一男一女を持つ専業主婦。クリーンで家計も助かると聞き、太陽光発電に興味津々。わからないことだらけなので、光博士の教室に勉強しにやってきた。
前回は通常の住宅向けとして最も一般的な、従量課金型の電気料金のしくみについて学びました。今回はいよいよ、気になる「深夜電力」について勉強しましょう。
博士、こんにちは! わたし、調べてきましたよ!
ソーラーさん、相変わらずはりきっとるな。で、何を調べたって?
うちの電気料金の契約ですよ。家に帰って明細を見てみたら、やっぱり「従量電灯B」って書いてありました。
じゃろうな。
従量電灯契約の場合は、時間帯によらず、使った電気に応じて料金が決まるんでしたよね! がんばって節約しなくちゃ!
そうじゃ。もちろん、いつだって電気は大切に使わにゃいかん。
それで今日は、いよいよ「深夜電力」について教えてもらえるんでしたよね?
うむ。太陽光発電との関係についても説明するぞ。
そりゃ楽しみですっ! 博士、よろしくお願いします!
さてと、前回説明した従量電灯契約は、時間帯に限らず、電気料金の単価が同じじゃったな。
使った電気の量に応じて3段階に単価が変わるということでしたけど、「時間帯」というのは無関係でした。
そう。これに対して、電気を使う時間帯によって、単価が変わる料金メニューがあるんじゃよ。夜の10時くらいから、翌朝の8時くらいまでの時間帯が安くなるというもんじゃ。
えええっ! 料金単価が安くなるんですか! そういうことは早く教えてくださいよ、博士。うちもさっそく変えなくちゃ!
まあ待つのじゃ。夜の時間帯は単価が安くなるんじゃが、代わりに昼間の単価は高くなるぞ。
あら。「光があれば影がある」って感じですか。世の中、そうそううまくいきませんねぇ、博士。
そりゃそうじゃ。
それで、安くなるとか高くなるとかって、どれくらい変わるんですか?
例えば東京電力の場合で、従量電灯ではだいたい1kWhあたり20円前後じゃったな。
はいそうでした。
深夜電力メニューでは、夜間時間帯だと10円/kWh弱くらいになり、昼間の時間帯は30円/kWhくらいになる(いずれも2010年6月現在の価格)。
まあっ! 夜は半額ですか! 電力会社は、昼夜逆転の不健康な生活を勧めているってことですかっ!
早合点するではない! これにはちゃーんとした理由があるんじゃ。これから説明するわけじゃが、どんな深夜電力メニューが選べるかというのは、契約している電力会社によって変わってくる。今回も例としては東京電力を取り上げるが、自分が使えるメニューについては、契約している電力会社のホームーページなどで確認が必要じゃぞ。
わかりましたっ、博士!
それじゃあ、東京電力が提供している深夜電力メニューについて具体的に見てみよう。選択できるメニューと時間帯、料金の関係は次のとおりじゃ。
ふうん。メニューは3種類あるわけですか。
うむ。繰り返しになるが、これはあくまで東京電力の場合じゃよ。
えーと、上の2つは「おトクなナイト」という名前は同じで、「10」と「8」の2つがあるんですね…。この2つの違いは……、あっ、夜間と昼間の時間帯が違いますね。
そうじゃ。「おトクなナイト10」のほうは夜の10時から翌朝8時までが夜間時間帯、「おトクなナイト8」のほうは夜の11時から翌朝7時までが夜間時間帯じゃ。
ええと、何が10で何が8なんでしょうかねぇ?
夜間時間帯の長さじゃな。
ああそうかぁ、10時間と8時間ですね。
「ナイト10」と「ナイト8」で、料金単価も微妙に違っておるな。この2種類は、特に条件はないから、基本的にだれでも選択できるぞ。希望なら、ソーラーさんでも選ぶことが可能じゃ。
そうですか。でも、どっちを選ぶか、どうやって考えればいいんでしょう?
生活スタイルの問題じゃろうな。小中学生の子供がいる家庭だと、朝の8時くらいまでは朝食の用意やらでけっこう電気を使うじゃろうし、夜も10時~11時くらいはテレビやパソコンで電気を使うじゃろう。そうなると、単価はちょっと高いが、「ナイト10」のほうがいいじゃろうなぁ。もちろん、昼間の消費電力が多い場合は、従量電灯契約のままにしておいたほうがいいじゃろう。
なーるほどねぇ。朝晩はいろいろと家事が忙しいですからね。ということは、電気も使っているってことですもんね。ところで一番下の「電化上手」ってのは? これこそ、朝とか夕方から夜とか、電気をたくさん使いそうなところが安くなっているじゃないですか。うちはこれがいいかな。
うーん、そうじゃなぁ。でも東京電力の電化上手は、だれでも選べるわけじゃないんじゃ。エコキュート(→用語解説)などの夜間蓄熱式機器など(総容量1kVA以上)を設置した家しか選べないことになっておる。エコキュートは、オール電化住宅向けの給湯設備じゃな。
あら残念。エコキュートなら、ご近所さんがオール電化にしたとかで、自慢まじりに説明してもらったことがありますよ。うちは選べないんですね……。
2015年3月末をもちまして補助金情報の提供は終了しました。